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雷哭ノ桜花戦記 ― 奪われた鍵を求めて  (表)  作者: 田舎のおっさん
第4部

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112/117

第5部 第2話(表)

――分かりやすい兆し


 昼前、陣に戻った桜花は、まず人の顔を見た。

 剣の傷より、心の揺れを見る癖は、もう抜けない。


「……空気が変わったな」


 矢上が頷く。


「はい。

 第4部の戦が終わったことで、

 “遠慮していた連中”が動き始めています」


 桜花は、地図を受け取る。


 点が増えている。

 国境でも、前線でもない場所に。


「ここ……ここもか」


 指先が止まる。

 街道脇の要衝。

 資源と人の流れが交わる場所。


「黒鋼が見ている場所と、重なるな」


     ◇


 伝令が駆け込んでくる。


「桜花様!

 西方の中立勢力が、兵を集めています!」


「理由は?」


「“治安維持”との名目です」


 桜花は、短く笑った。


「分かりやすいな」


 守るためでも、終わらせるためでもない。

 取るための理屈。


「矢上。

 第5部の戦は、もう始まっている」


     ◇


 桜花は、剣を見下ろした。


 第4部では、

 抜く理由を削ぎ落とし、

 振らない選択を重ねてきた。


 だが今回は違う。


「次は、

 迷っている暇がない」


 分かりやすい敵。

 分かりやすい目的。

 分かりやすい被害。


 読める。

 だからこそ、急がねばならない。


     ◇


 桜花は、命じた。


「先行部隊を出せ。

 だが、威圧はするな」


「交渉、ですか」


「違う」


 桜花は、はっきり言った。


「主導権を取りに行く」


     ◇


 第5部の戦は、

 思想の戦ではない。


 正義を語る前に、

 剣が振られる。


「……黒鋼」


 心の中で名を呼ぶ。


「お前が“分かりやすく来る”と言った意味、

 よく分かった」


 桜花は、前を見据えた。


「なら私は、

 分かりやすく止めに行く」


 戦は、

 もう静かではいられない。

ここから第5部に入ります。




第4部では、


「どう終わらせるか」


「何を引き受けるか」


を中心に描いてきました。




第5部では、


その選択の“結果”が、はっきりと形になっていきます。


戦は、より分かりやすく、


そして、より逃げ場のない形で戻ってきます。




重さは残していますが、


物語としては、前に進みます。


桜花も、黒鋼も、


次は違う局面で、違う判断を迫られます。




引き続き、


《雷哭ノ桜花戦記 ― 表裏双章 ―》


表と裏、両方から描いていきます。




もし「続きを読みたい」と思っていただけたら、


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