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雷哭ノ桜花戦記 ― 奪われた鍵を求めて  (表)  作者: 田舎のおっさん
第4部

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111/117

第5部 第1話(表)

――戦は、形を変えて戻る


 朝の光は、穏やかだった。


 剣の音はない。

 号令も、怒号もない。

 それでも、桜花はすぐに分かった。


「……終わった戦は、

 終わったままじゃいないな」


 矢上が、苦笑に近い息を吐く。


「ええ。

 第4部の戦が終わったことで、

 逆に動き出したものが多すぎます」


     ◇


 陣は整い、人も戻り始めている。

 街道は機能し、水も流れ、

 民は日常へと戻ろうとしていた。


 だが――

 戻り切れていない。


 戦は終わった。

 しかし、力関係は固定されていない。


     ◇


 桜花は地図を広げる。


「ここを見ろ」


 指先が示すのは、

 第4部では前線にならなかった地域。


「黒鋼が退いたことで、

 別の勢力が動く」


 矢上が、表情を引き締める。


「……中立だった連中ですね」


「中立は、

 均衡がある時だけ成立する」


 桜花は、淡々と言った。


「均衡が崩れた今、

 次は必ず“分かりやすい欲”で来る」


     ◇


 第4部の戦は、

 思想と責任の戦だった。


 だが――

 第5部は違う。


「次は、

 守るか終わらせるかじゃない」


 桜花は、剣に視線を落とす。


「取るか、取られるかだ」


     ◇


 矢上が、静かに問う。


「……明るくは、なりませんね」


 桜花は、わずかに笑った。


「いや」


 顔を上げる。


「分かりやすくは、なる」


 それでいい。

 逃げ場のない戦。

 言い訳の効かない勝負。


     ◇


 伝令が駆け込んでくる。


「桜花様!

 西方より急報です!」


 桜花は、立ち上がった。


「聞こう」


 第5部の戦は、

 もう始まっている。


 雷は鳴らない。

 だが今度は――

 誰の目にも分かる形で、

 血の匂いが近づいていた。

ここから第5部に入ります。


第4部では、

「どう終わらせるか」

「何を引き受けるか」

を中心に描いてきました。


第5部では、

その選択の“結果”が、はっきりと形になっていきます。

戦は、より分かりやすく、

そして、より逃げ場のない形で戻ってきます。


重さは残していますが、

物語としては、前に進みます。

桜花も、黒鋼も、

次は違う局面で、違う判断を迫られます。


引き続き、

《雷哭ノ桜花戦記 ― 表裏双章 ―》

表と裏、両方から描いていきます。


もし「続きを読みたい」と思っていただけたら、

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