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雷哭ノ桜花戦記 ― 奪われた鍵を求めて  (表)  作者: 田舎のおっさん
第4部

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109/110

余韻回(表裏共通)

――戦いのあとに残るもの(表裏共通)


 街道に、剣の音はもうなかった。

 風が通り、土の匂いが戻り、鳥の声が遠くで響いている。


 戦いは、確かに終わった。


 だが――

 何もなかったことには、ならない。


     ◇


 桜花軍は、街道を押さえたまま陣を整えていた。

 勝利を宣言する者はいない。

 凱旋の声も上がらない。


 それでも、兵の顔には疲労と同時に、

 **「守り切った」**という静かな安堵があった。


 守れた場所。

 通した命。

 剣を振らずに終わらせた戦。


 それらは、確かな事実として残っている。


     ◇


 一方、黒鋼軍は整然と後退した。

 混乱はない。

 追撃を許す隙もない。


 勝たなかった。

 だが、崩れなかった。


 この戦で黒鋼が得たものは、

 土地でも、物資でもない。


 「これ以上斬らなかった」という選択そのものだ。


     ◇


 この一戦で、世界は少しだけ形を変えた。


 ・街道は、依然として桜花側の管理下にある

 ・避難路は確保され、民は戻り始めている

・水源と橋は破壊されず、機能を保ったまま残った


 だが同時に――


 ・黒鋼軍は主力を温存した

 ・戦力差は決定的に崩れていない

 ・両軍とも「次」を見据えている


 勝敗はつかなかった。


     ◇


 この戦は、

 領土を奪う戦ではなく、

 思想をぶつけ合う戦だった。


 守るために剣を抜く者。

 終わらせるために剣を下ろす者。


 どちらも、正義ではない。

 どちらも、悪ではない。


 ただ、

 それぞれの責任を引き受けた。


     ◇


 桜花は、人の側に立った。

 黒鋼は、兵の側に立った。


 それだけの違いが、

 この戦のすべてだったのかもしれない。


     ◇


 雷は鳴らなかった。

 だが、雲は消えていない。


 次の戦は、

 もっと分かりやすく、

 もっと避けられない形でやって来る。


 この戦で生まれた“余白”は、

 やがて埋まる。


 その時、

 剣を取る者も、

 取らない者も、

 もう言い訳はできない。


 戦は終わった。

 だが、世界は前に進んでいる。

ここまで、第4部を読んでいただき、本当にありがとうございました。


この章では、

「勝つこと」よりも

「どう終わらせるか」

その一点をずっと描いてきました。


剣は抜かれ、ぶつかり合い、

それでも最後は振り切られない。

そんな戦いがあってもいいんじゃないかと、

書きながら何度も考えました。


桜花と黒鋼は、

同じ戦場に立ちながら、

違う責任を背負いました。

どちらが正しいかではなく、

どちらが何を引き受けたのか。

そこを感じてもらえたなら、この章は十分です。


田舎のおっさんが、

自分なりに「選択」と「責任」を考えながら

本気で書いた戦記です。

ここまで付き合っていただけたこと、

心から感謝しています。


第5部では、

空気が少し変わります。

戦は、もっと分かりやすく、

そして、より逃げ場のない形で戻ってきます。


もしこの物語を

「ここまで読んでよかった」

「続きを見届けたい」

そう思ってもらえたら、

ブックマークや評価で応援していただけると、

次を書く大きな力になります。


また、次の章でお会いしましょう。


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