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芽生え  作者: 黒薔薇あず


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社会人五年目②

失業保険を申請する為、公共職業安定所に通った。通称「ハローワーク」だ。私は自己都合退職だった為、失業手当の給付制限期間があった。当時は二ヶ月程だ。失業手当を受け取るには幾つか条件があるが、ハローワークを通じて求職の申込みをしなくてはならない。ハローワークにあるパソコンで求人を眺めていたが、いまいちピンと来る求人はなかった。私は手に職をつけたい気持ちがこの時は大きかった。ハローワーク内にあったチラシで「職業訓練」なるものがあると知った。職業訓練とは、就職を目指す人が、役立つ知識やスキルを無料で学ぶことができる国の支援制度だ。学ぶ内容によっては資格も取得できる。それに、金銭的支援も大きかった。失業手当の待機期間はなくなり、受講手当や通所手当と呼ばれる交通費も支給された。就職で路頭に迷ったら是非、活用することをお勧めしたい。

美容にはもともと興味があった為、「ネイルスクール」に通うことも考えた。だが、募集時期のタイミングが合わなかった。私は「WEBデザイナー」を目指すことのできる訓練に挑戦する事にした。一人前になれば在宅で仕事ができることも叶う職業だ。コロナの影響を受けて需要が高まったのだろう。倍率は高かったらしい。簡単な履歴書のようなものを提出した。書類審査に合格した後、面接を受けた。幾つか面接を受けてきた経験はあるが、何度やっても緊張する。運が良かった。無事に訓練校に通う資格が与えられた。

訓練校では様々な年齢層の方と出逢った。私と同年代や私よりも若い人も勿論居たが、年上の方が多かった。同じ様に転職を考え、新たなスキルを身に付けたいと思っている人、子育てが落ち着いた為、再度社会に出ようと考えている主婦の人、東京で仕事を見つけ生活していたが、地元に戻り就職を考えている人、中には、仕事を定年まで勤め上げ、リタイア後に新たなチャレンジをしようと考えている人など、様々な境遇を持つ人々達と就職活動の一貫として講義に取り組んだ。新鮮だった。今までは同年代の人と学舎に通った経験しかなかったからだ。

講義の内容は、WEBデザインの基礎知識や「コーディング」と呼ばれるプログラミング作業、「Adobe」というソフトウェアを使い、「Photoshop」や「Illustrator」での作業技術なんかを学んだ。コーディングの作業が特に楽しかった。「HTML」や「CSS」というプログラミング言語を使って、WEB上に表示される仕組みを作る作業だ。文章の構造を指定したり、色やレイアウト、文字のフォントや写真なんかを設定したりして一つのサイトを創り上げる。黙々と作業できるのが自分には合っていた。Photoshopでの写真加工作業も楽しかった。初めて使うツールばかりで最初は戸惑ったが、慣れれば熱中できた。真面目な表情を微笑んでいる様に見せることもできるし、美肌加工なんかもできる。ただIllustratorは上手く使いこなせなかった。オリジナルのロゴデザインや、チラシやポスター、商品のパッケージデザインなんかを作成できるが、センスがいる。試行錯誤して取り組んだが「私にはデザインセンスが無いな」と感じた。

有意義な講義内容だったが、そもそもの職業訓練の最終目的は「就職すること」だ。訓練に通いつつ、就職活動も必要だ。訓練校で、企業が説明会を開いてくれていたので幾つか聴取した。WEBデザインを学ぶ中で、私は「WEBコーダー」と呼ばれる職種に就きたいと思った。ただ、コーダー自体の求人は殆どなかった。WEBデザイナー自体の求人も余り多くはなかった。「未経験」だと更に求人は少ない。あっても、「WEBディレクター」と呼ばれる職種の見習いから始める求人が殆どだった。WEBデザイナーとして一人前になるまでは、自分のやりたい作業だけでご飯が食べられる程にはなれず、現実はそう甘くなかった。

結局、クリエイティブ系の求人を多く扱う人材派遣会社に登録し、派遣社員として働くことにした。「正社員では無いが責任も大きくなく、相談できる身近なエージェントもいるから心の余裕は出るだろう」と考えたのだ。幾つか求人があったが興味を引いたのは「メディア関係」の求人だった。とは言っても、新規事業運営の一員としてのサポート係のような内容だったが。履歴書と職務経歴書を先方に提出して、後日顔合わせがあった。一緒の業務に携わるであろう上司達は人柄が良さそうだった。社屋も綺麗だった。まるで、ドラマや映画に出てくる様な綺麗なオフィスだった。「ここで働いてみたい」と胸を躍らせた。そんな経緯を経て無事に派遣先が決まったので、再就職が叶うと同時に訓練校は途中退校した。

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