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核武装議論より先に「旧敵国条項廃止」を優先しろ! 今、核を持ったら即座に中露が来るぞ!

作者: 中将

筆者:

 本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。


 今回は僕のエッセイ常連の方なら飽きている理論かもしれませんが、「核武装議論より先に旧敵国条項廃止しろ!」ということをこの戦争を考える時期に改めて主張していきたいと思います。



◇「核武装」で戦争はどの程度抑止できるのか?



質問者:

 まず、核武装って参政党から当選された塩入さんの「核武装は防衛で最も安上がり」と言う発言を皮切りに最近話題になっていますけど……。


 本当にそうだと思われますか?



筆者:

 まず、現状を整理したいと思います。


 昨今の国際情勢を踏まえ、「核武装論者」のメリットとしているポイントは2つだと思っています。


 一つは北朝鮮が国民は飢え、産業もロクなものが無い中でも核兵器を持っているだけでアメリカと交渉を渡り合っているように見えること。


 二つ目はウクライナがロシアから侵攻されてしまったのは1994年のブダペスト覚書によって核兵器を廃棄する代わりに安全保障を約束したのにそれをアメリカとイギリスが反故にしたこと。これによって核保有をした際の抑止力の方が上なのではないか? と言う点です。



質問者:

 確かにどちらも一理あると思いますね……。



筆者:

 ただ、忘れてはいけない論点があると思います。


 1つ目の北朝鮮は友好国として中国やロシアが支援をしているために実質的に単独でアメリカに立ち向かっているわけではありません。


 ウクライナがブダペスト覚書で安全保障をしたアメリカとイギリスはウクライナと接地していないために、実働部隊や基地常設によって安全保障をすることが出来なかったことが最大の問題でした。


 この2点から核兵器の有無で議論されるべきポイントとは別の要素が大きいと思っています。



質問者:

 なるほど……。確かにこうなると核兵器の保有が抑止力として働いているか疑問ですね……。



筆者:

 もう一つは「核保有国同士でも戦闘はある」と言う点です。


 例えばインドとパキスタン、イスラエルとイランのように事実上の核保有国同士が戦闘状態に入っていることもあります。


 これらの国々も追い込まれた場合「核を打ち合う」といった破滅的選択をする可能性もゼロでは無いと言え、「核兵器が戦争を抑止している」とは言えないと思います。


 少なくとも紛争レベルのことは数年に一回は起きていると断言できます。



質問者:

 確かに核武装を推奨している方たちは「抑止できたかもしれない例」は挙げますけど、「戦闘に至った例」についてはあまり話に出しませんよね……。



筆者:

 こういったセンセーショナルな議論についてはフラットな視点で推進派と反対派の両方の意見を聞いた方が良いです。


 また朝鮮戦争やウクライナ紛争も事実上の中国・ロシア(ソ連)VSアメリカの代理戦争です。


 これらを考慮した際に果たして核兵器は戦争を抑止しているのか? と言われると疑問があると思います。



質問者:

 あとはキューバ危機でアメリカとソ連が一触即発の核戦争になりかけたこともありましたね……。紙一重の差だったとか……。



筆者:

 そうですね。


 ただ、宣戦布告をしたり、相互の首都や重要都市を攻撃したり攻め込むといった過激な戦闘を抑止はできており、「紛争レベル」でとどまっているような気もしますから、核保有は全く無意味ではないと思います。


 しかし、「宣戦布告し合わない程度の戦闘」は核兵器保有国同士でも起きていることは頭に入れておくべきでしょう。


 サイバー攻撃など目に見えない戦争も起きていると思いますしね。



◇日本が現状で「核武装」した際の現実的かつ最悪シナリオ



質問者:

 そうなると「核武装は防衛で最も安上がり」というのは間違った見方ということで良いんでしょうか?


 根本の争いを防止できないのはリスクに対して見合っていないような……。



筆者:

 僕の考えでは「あまり効果が無い」どころか、今核武装をすることでむしろ「日本固有の問題」によって安全保障は脅かされると考えます。



質問者:

 え!? どういうことなんですか!?



筆者:

 国連憲章にある旧敵国条項(第53条、第107条)について撤廃することをもっと強く言うべきだと思います。


 旧敵国条項について簡単に解説させてもらいますと、

第二次世界大戦で旧敵国(日本、ドイツ、イタリア)に対して第二次大戦後に確定した事項を無効に、または排除した場合について発動するものです。


この際には国際連合加盟国や地域安全保障機構は安保理の許可がなくとも、当該国に対して軍事的制裁を課すことが容認され、この制裁は他国は制止できないとまであります。



質問者:

 日本にとってかなり重荷になる条項ですね……。


 ただ、一説によると「旧敵国」が国際連合に加盟した時点で「敵国条項」は実質的な意味をほとんど失い、死文化しているという話もあります。


それについてはどうなんでしょうか?



筆者:

 1995年95年9月の国連総会決議において「旧敵国条項」が死文化したとの認識と削除への投票が賛成155 反対0 棄権3で決議されています。

 2005年9月の国連首脳会合においても、削除への国連加盟国の決意が表明されました。


 ただ、ロシアは2011年や2015年に北海道の北方領土を占領している根拠として「国連憲章107条の敵国条項」を挙げたこともあります。


 “活用の意図“と言うのは見え隠れするので、旧敵国条項削除をせずに日本が核武装なんてしようものなら中露の「日本侵攻」というのはいきなり現実味を帯びてくるのです。


 日本は核を持っていても被爆国を増やすような真似をせずに、侵攻を受けても核による反撃する可能性も低いと思いますしね。



質問者:

 確かに最悪の事態ですが現実味が凄くあるところが怖いですね……。


 でも同じ境遇だったドイツやイタリアに関してはどうなんでしょうか? どうして「日本固有」の問題になるんですか?



筆者:

 ドイツやイタリアはNATO加盟国であり、核保有国であるフランスやイギリスが近くにあることから「核共有」と言うのも事実上できている感じになっています。


 ですから、「旧敵国条項は日本固有の問題」と言っても過言ではなく、日本が自主的に動かなければどの国も積極的に「旧敵国条項削除運動」をしてくれないでしょう。


 更に地政学的にも中国、ロシア、北朝鮮と言った核保有国が近くにあることからドイツやイタリアよりも日本は悪い境遇にあると言えるでしょう。



質問者:

 なるほど……。日本が自ら動いて頑張るしかないということですね……。



筆者:

 時折、インド太平洋やアフリカ諸国への資金援助の際に「常任理事国入り」などというワードが躍ることがありますが、

 それよりも「敵国条項削除への協力」の方が侵攻防止のためには遥かに大事であり率先して解決するべきことだと考えます。


 その交渉が出来ないのに海外支援だの国際機関への拠出金などをバンバンと大盤振る舞いしている事態は異常だと僕は考えます。



質問者:

 参政党さんはそう言ったことを考慮できないんでしょうか……。



筆者:

 参政党の公式ホームページでは、


『旧敵国条項を一刻も早い削除を促すための、外交活動を推進(長かったので要約)』


などとあるんですけど、頑張って探さないと中々見つからないので、優先順位を最も高くしているわけでは無いように思います。


 僕は強力な武器を持てば持つほど「旧敵国条項発動リスク」が上がるために何かしらの強力な武装をしたいのであればあるほど最優先課題だと思うんですけどね。



質問者:

 95年の国連の決議では「賛成155 反対0 棄権3」なのにどうして廃止されなかったんでしょうか?



筆者:

 まず、国連憲章改正には、国連加盟国の3分の2の賛成に加え、安全保障理事会の全常任理事国(アメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシア)の批准が必要になります。

 そのために、中露の説得が必須なんです。


 ただ、直接言ってもあの2国には無意味なので、インドなどの両国の共通の友好国などから説得してもらうなどの様々な努力が必要だと思います。


 その道のりは「ずっと日本政府がサボってきた」ことも相まってかなり長いように思います。



質問者:

 中々壁は高そうですけど、安全保障はそう簡単には盤石にはならないということですか……。



筆者:

 核兵器などの強力な武器を保有するかどうかの議論より前に必ず、旧敵国条項を廃止しなくてはいけないと思います。


 「真の意味での戦後の終わり」というのは100年経って解決できるかどうか? と言うレベルだと思います。

 その際には戦中に生まれた方すらも残念ながらほとんど生きていらっしゃらないでしょうね……。



◇「リスクの低い武装」とは?



質問者:

 核武装は戦争を抑止できているか怪しい上に、

 その前段階の旧敵国条項の廃止も難しいことは分かったんですけど、

 逆に何をどうすれば日本の防衛力って高まるんですか?



筆者:

 何もミサイルなどの「強力な武器を持つこと」のみが防衛や安全保障では無いと考えます。


 特に食料自給率は非常に低く、肥料すらも輸入に頼っていることから実質的な自給率は10%前後とすらも言われています。


 そんな中で海上封鎖でもされてしまえば、備蓄米放出も相まって瞬く間に日本国民は餓死し、「戦わずして降伏」といった事態になるでしょう。


 ミサイルや戦艦を勇ましく製造したところで、餓死して何も使えないまま終わることも容易に考えられます。


 金属を食べて生きることが出来る人種に日本人が進化すれば話は別だと思いますけど流石に不可能だと思いますしね。



質問者:

 食料が完全に無くなれば国民側から反乱起きそうですよね……。



筆者:

 また、原油の9割以上がアラブ地域からの輸入に頼っており、日本近海に眠っている資源開発をしなければならないでしょう。


 水素や人口石油といった未来的なクリーンエネルギー開発をするのでも良いですから、とにかく資源問題を解決しなければ前に進めません。


 現状、武器・農業・資源の3つの部門でアメリカに隷属していることから最低でも後者2つからは卒業していかなくてはいけないのです。



質問者:

 確かに農業生産力強化(農家の戸別保障)や資源開発をして旧敵国条項発動は考えにくいですね……。



筆者:

 後はサイバー防御ですね。日本はサイバーセキュリティが非常に脆弱であるために世界で最も攻撃を受けている始末です。


 機密データを抜き取られるだけで色々と影響しかねないので、この点の対策は必須だと思います。


 僕は文系なので何をどうしたらよくなるとか現状の課題についてまでは詳しく分からないんですけどね(笑)。



質問者:

 しかし恐ろしいのは、旧敵国条項だけでなく農業生産力、資源開発力、サイバー防御の対策どれも見えないんですけど……。



筆者:

 「能動的サイバー防御」の議論があるぐらいですね。


 国民側から声を上げていかないとどれも実現できないと思います。


 僕はそのお手伝いをしていきたいと思っていますのでどうぞこれからもご覧ください。


 今年でついに戦後80年、「次の戦争」を絶対に引き起こさせないように皆さんで議論していき、より良い日本を作っていけたらなと思います。

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おじゃまします。 やっぱりまた来ました。 この季節。毎年考えてしまいますね。戦争だけは勘弁。 やっぱり問題点は、地政学的な兵站戦の脆さなんですね。 超兵器作っても、核兵器持っても、海上封鎖で兵站が…
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