グラリオン島で初治療 2
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老猫人の体を包んだ光が消えると、顔色は良くなり、唇の紫色も薄くなり、手首の腫れも引いてわからなくなっていた。
「「おおおぉぉー」」
連れ合いの猫人も案内のローリーも驚きの声をあげる。
「上手くいきましたわ。ですが、完全に治ったということでもないようですわね。もう一度ステータスを診ますわ。<ステータス>」
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状態: 弱毒(解毒しきれなかった毒が残っている)
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「まだ少し毒素が残っているようですわ。<解毒ヒール>」
ミキストリアはそういうとヒールをかけ、さらにステータスを確認して毒状態が解消されたことを確認した。
「これでもう大丈夫なはずですわ。とはいえ体力は落ちていますから数日は無理をせず栄養のあるものを食べるのが良いでしょう」
「あ、あ、ありがとうございます! なんとお礼を言ったら……」
「いえいえ、お爺が治って何よりですわ。ではごきげんよう」
「え、ま、待ってください。お、お代とか!」
「いえ、わたくしは医者ではありませんし、この子らもまだ修行中の身。お代は要りませんわ」
「ですが」
「元気になって働き、町を発展させるのに力を使ってくれれば良いですわ。ではこれで」
ミキストリアはそういうと、ローリーと星組の弟子をうながしてそとにでた。
「ローリー、次へ案内を」
「は、はい」
ローリーはあっけに取られた様子であったが慌てて案内のために先導して歩く。
「領主様」
どうやらこの町の住民は領主呼びで決めたようだった。
「ローリー、何でしょう?」
「お爺を救っていただき感謝します」
「できることをしたまでですわ」
「ええ、そうだとしてもあの2人の感謝の気持ちは変わらないでしょう。ですが、それを町の掌握のための人気取りとしてやるのは如何かと」
「貴様、無礼にも程があるぞ! 良い加減に態度を改めろ!」
苦しそうな表情で言うローリーに、護衛騎士が噛み付く。
「まぁ、ランス。私の代わりに怒ってくれてありがとう。でも、上辺だけの追従よりもこう言った本音の意見が聞けることは大事なのです」
「ですが、ミキストリアさま」
「良いのよ、ランス。信頼は勝ち取ったものでなければ価値が無いわ」
ミキストリアはランスを宥めるとローリーに向き直る。
「ローリー、貴重な意見をありがとう。これは町の状況を知るのに一番簡単な方法なのと、それによって町の活力が増えて町が栄えていくことに繋がるからやっていることなのです。人気というか感謝を受けることに繋がるのは、あくまでも結果というか副産物であって、それを目的にはしていない。そこは町の青年会でリーダーをしているローリーには理解してほしいですわね」
「……よくわかりません」
「すぐにはわからないかも知れませんが、先入観無く見ていけば自ずとわかるでしょう。ところで次はどちら?」
「もうすぐです。ええ、あの家です」
町長の選んだ2人目の患者は、ローリーと同じくらいの年恰好の犬人であった。寝台の上に寝かされており、手足をぶる、ぶる、と引き攣らせるように震わせている。仰向けにした口は薄く開かれており、時折ぶるっと震える度に涎を垂らしては、傍に居る妹に拭かれるのだった。
「あ、ローリーさん」
「奴の調子はどうだ?」
「見ての通りずっとあの調子。ご飯もろくに食べれないし震えもだんだん酷くなってきて、このままだとお兄ちゃん死んじゃう……」
「領主様をお連れしたんだ。奴を診てくださる」
「え? 領主、様?」
「話は後だ。領主様、お願いします」
ローリーは話を切り上げるとミキストリアに向かって頭を下げた。
(思えばこの島に来てから真摯に頭を下げられたのはこれが初めてかも知れませんわね。ともかく)
「ローリー、知り合い?」
「幼馴染です」
「そうなのですね。でもわたくしたちのやることには変わりありませんわよ」
そう言うとミキストリアは寝台に近づいた。
「では診ますわよ? <ステータス>」
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HP: 10/50
MP: 38/38
状態: 神経毒(麻痺、痙攣、消化障害)
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「どう?」
ミキストリアが弟子を振り返ると、皆が眉を八の字にし難しい顔をしていた。
「あら。そんな顔をするものではなくってよ?」
「すみません、ミキストリア様。やはり毒でしょうか。詳細はわからないのですが、毒とだけはなんとなく」
「私もです」
「私はまだ」
「まだです」
「毒症状はまだまだわたくしも経験が足りていませんからね。皆で取得していきましょう」
「「「「はい」」」」
「この方はヘビ毒にかかってしまったようですわね。見てもわかるように、体の痙攣、それから麻痺症状があります。食べ物の消化もうまくいっていないようですわね」
ミキストリアが自分の鑑定結果を話すと4人の弟子は頷きながら真剣に患者を見つめていた。
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