グラリオン島2
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「……ちょっといろいろと理解が追いつかないのですが……」
「まぁ慌てることはありません。税が変わるのは来年から。回復魔術師の手配と学園も今すぐではなく、準備に少々時間もかかります。
もう一つ、侯爵家でやるのは町の警備ですわね。今は必要ないでしょうが、今後は頻繁に島の外から人や荷物が出入りすることになりますから、いろいろな揉め事や諍いもあるでしょう。侯爵家で町の衛兵を組織することになりますわね」
ミキストリアは国が何もしないという指摘に次々と今後の活動方針を挙げて答えていった。
「……はぁ」
「わたくしの本拠はシェルストンに置きますが、頻繁にリアにも来ることになるでしょう。島と王国本土を行き来する人のためにも宿が必要ですわね。町に宿ができればわたくしも利用することになります。皆さんで協力して町を大きくしていってください」
「「「は、はい」」」
「……」
(虎の方……確かアルビュレン。まだ何か引っ掛かっているようですわね)
ミキストリアは1人浮かない顔のままでいるアルビュレンに笑顔を向けた。しばらくそのまま見つめているとやはり気まずいのか話出そうとして口を開いては止めると繰り返した。
ミキストリアはわかりやすく首を傾けた。
そのサインを受け取ったか、アルビュレンはようやく口を開いた。
「領主様……」
「アルビュンレンだったわね?、何かしら?」
「あの、はい、アルビュレンです。領主様は、なぜ新しい町をつくるのだ、いや、ですか? 我々ハーフとは一緒に暮らせないということ、ですか?」
ミキストリアは少し驚いたという顔を作った後、笑顔に戻した。
「まぁ、随分と真っすぐなご質問ですわね。ですがそういうのも嫌いではありませんわ。
新しい町を作る理由ですが、この島にはリアと、もう1つ西側にブラッシャの町がありますが、どちらも北向きに開けた港町だからです。どちらも北からの風に弱いのです。そのような風が滅多にないことも聞きましたが、今後もないとは言えませんし、もしあったらどちらの町も容易に被害にあうのです。そのような時に避難できる場所として東側に、しかも南向きの海岸から少し離れた場所にシェルストンの町を作ったのです。南風で被害が出るようなときにはこちらかブラッシャに避難してきますし、皆さんも北風で被害がでるような場合にはシェルストンに避難するのです」
「……」
「もちろん、リア、ブラッシャの町の住民でシェルストンに住みたいという人は引っ越してくれば良いのです。わたくしもこちらに家を作るかどうかまでは決めておりませんが、頻繁こちらには来て皆さんと交流する予定ですわよ」
「……」
隣で祥子も大きく頷いていた。
「私の遠い故郷は人間しか住んでいないので、皆さんのようなハーフの人と話すのも初めてです。嫌うどころか仲良くしたいと思っていますよ」
「……」
「そうそう、桟橋も1つ大きなものを作りましたが、足りませんわね? ですので、もう1つ作りましょう。島の外との出入口はこのリアを主とすることしますわ。風向きでリアが難しい時にはブラッシャやシェルストンも使えるようにするのが良いと思いますがまずはリアと思っていますわ。
桟橋のような大きな話は侯爵家の事業として行っていきますが、町の運営は今まで通り皆さんで取り計らってください。もちろん相談や提案はいつでも歓迎しますわ」
アルビュレンはまだ完全に納得した様子ではなかったが、話だけで納得できるものでもないだろうと、ミキストリアは気に留めない。町長や他の自治会役員たちは、ミキストリアが景気のいい話ばかりするのですっかり毒気を抜かれたようだった。
「逆にわたくしのほうからも聞きたいのですが、皆さんはブラッシャたシェルストンに移って住んでもよいという気はありませんか? それとも人族と同じ町は嫌ですか?」
「なんですと!?」
「いやいや、領主様」
「我々が人族から嫌がられているのです。嫌がられているのをわかって行く者はいないでしょう」
ミキストリアは祥子と顔を見合わせた。
「そういうことですのね」
「それなら、シェルストンに行くのは問題ないわね」
「ええ。ブラッシャの人の意見は行って、これから聞くことになりますが、少なくともシェルストンに居るものでハーフを嫌う者は居ませんわ。もしそのような不届き者が居たら桟橋から海に落としますわ」
ミキストリアが冗談めかして言うと逆に町長や役員は固まってしまうのだった。
「あ、はぁ、それが本当ならシェルストンも悪くはない、のかもしれませんな」
町長は気の抜けたような声で言うのがやっとであった。
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