グラリオン島
感想、評価お待ちしております!!
誤字報告ありがとうございました!
その島はグラリオンといった。
大陸の東端を占める王国本土は、南海と呼ばれる大きな湾を挟んで南側でクオルト半島に面する。クオルト半島からさらに南の洋上にポツリとあるのがグラリオン島であった。
このクオルト半島は、王国が大陸の東に覇を唱え平定した後も、小国が群雄割拠し戦乱の残る地であった。時に南海を挟んで向き合う王国も戦乱に巻き込まれ、また同盟国のために王国から争いを仕掛けることもあり、戦乱は長く続いた。王国がゆっくりとではあったがその覇権を半島に及ぼし、最終的に半島全部を王国として併合することで長い戦乱の時代に区切りがついたのだった。
グラリオン島の開発はほとんど進んでいない。半島の併合に合わせて島が王国領土となった後も、半島の平定が第一で、放っておいても問題を起こさない、起きても王国本土にまで影響を及ぼさないグラリオン島のことまで手が回らなかったからであった。
ユリウス・マルキウス侯爵領から船で沿岸を南下すること2週間、ミキストリアはグラリオン島北部の町リアに上陸した。
この島が貸与されることが決まってすぐ、侯爵は人を送り込み島の東側に町を造らせていた。そのための人や資材を乗せた船はひっきりなしにリアに着き、リアの人々を驚かせた。またこの島がミキストリアによって統治されるという知らせに困惑し不満を募らせてもいた。そこに到着した帆を掛けずに走る船はさらに住民を驚かせた。
ミキストリア達が乗った魔導ジェットエンジンで走る船は、大きなトラブルもなく、すべての寄港地で帆走で同行する船を置き去りにして着いていた。長距離航行の実験としても大成功であった。風向きを気にして無理な進路をとる必要もないため乗り心地もよいというのが乗員の感想で、評価も上々であった。ミキストリアはこの結果で、自分たちが「島流し」ではなく、実家と好きな時に自由に行き来できると気分を良くしていた。
リアの町はハーフと総称されるハーフエルフや獣人族が造った町で、町に1つある教会の教会長マシュワンもハーフエルフである。ミキストリアと祥子は教会で町の代表と会うことにしている。
~~~
「ミキストリア ユリウス・マルキウスです。この度、このグラリオン島がわたくしの食客であるラミーアに貸与され、わたくしが領主として統治することになりました」
ミキストリアはテーブルの向こうを見回した。町長は熊人のニッキーで、そのほかに自治会役員である兎人のエルドレッド、犬人のチャンドレア、虎人のアルビュレン、牛人のショーンが参加している。
「今までは代官が決めた金額を税として代金に支払っていたそうですわね。今後はわたくしが税を受け取りますが、今年1年は昨年と同じ金額とします。来年から3年間は2割、その後は3から4割、町の発展を見てからとします」
2割、3割と言ったところで、町長がびくっと反応する。
「領主様、発言をお許しいただけますか?」
「ええ」
「ありがとうございます。そのように税を払ったら生活が成り立たなくなる者もでるかと思います」
ニッキーは大きな体をさらに姿勢よくすることで大きく見せ、まるで、簡単には言うことを聞かないというかのようだった。
(早速予想通りの反応ですわね)
「今2割以下の税というのは、今までの代官が『どうせこのくらいしか収入がないだろう』と島の住民を見下して安く見積もっていたからなのです。馬鹿にされていたのです。税が安くて良いという考えがあるかもしれませんが、本来の実力を低く見られてそれに甘んじるというのは人の尊厳の問題ですので、わたくしは許しませんわ」
「……」
「3割の税を払っても大丈夫だとわたくしは考えていますが、それはわたくし達が来たことでこの島が大きく発展するからです。発展することで皆さんの収入も増える。生きていくのがギリギリの収入の2割、3割ではなく、大きく増えた収入の2割、3割です。払う税は多くなりますが、手元に残るものも多くなるのです」
ミキストリアは笑顔のまま町の代表を見回した。
「な、なるほど、よくわかりました。ですが、領主様、安く見られていたかもしれませんが、逆に言うと我々は国に何もしてもらっておりません。何もしてくれない国に、ただただ税を払うのは、しかも収入が増えるから税も増えるというのは、簡単には納得しない町民も多いでしょう」
この程度はまだまだ想定内であった。
「何もしない国に税を払うのは納得できないという心情はわからないでもないです。ですが、わたくしが統治するとなれば、何もしないということはありませんわ。まず、回復魔術師を町に派遣します。わたくしの派遣する回復魔術師は優秀ですので、四肢の欠損以外は治すことができますわ。治療は無料とはしませんが、怪我や病気を治して働き続ければ十分元が取れるというような金額になるでしょう。
それから読み書きと簡単な計算を習う学園を町に作ります。子どもの参加は無料、朝から始めて昼ごはんを食べて終わりです。
魔法を学ぶ学園も作りますがこれはこの町ではなく、侯爵家が新たに島の東に開拓したシェルストンに作ります。寮も作りますので魔法を学びたい人はシェルストンに来てもらうことになりますね。魔法学園は有料ですが、侯爵家が貸しますし、卒業して侯爵家の魔法師団に入団すればその借りたお金の返済は免除になりますわ」
読んだいただき、ありがとうございます。




