ラミーア会見2
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王宮からの帰り、馬車が動き出すのを待ってミキストリアはローレンスに視線を向ける。
「お父様」
ミキストリアは、続く言葉を言えなかった。
「ミキストリア、力をつけるのだ。ミキストリアが正しいと思うことを完遂できるだけの力を」
厳しい顔で応える父にミキストリアは戸惑った。
「予も侯爵の意見に賛成じゃ。ミキストリアよ。そなた国を取る気はないのかぇ?」
ラミーアが扇で表情を隠して話に割り込んでくる。
「ラミーア、なんという事を言うのです。わたくしはそんな気は全くありませんわ」
ラミーアは目を細めて続けた。
「ならば誰かに付かねばならん。侯爵か? ヴァレリウス公爵か?」
ミキストリアは慌てた。謀反を唆している様にしか聞こえないからだ。
「だから何の話なのです!? 国王陛下に付くに決まっているではないですか」
「ラミーア殿、私の意見に賛成してもらった感が全くないのだが」
父も眉をひそめている。
「その国王の次の話に決まっておる。リチャード王は中立派と言ったな?」
「ええ」
「中立派といえば聞こえはいいが、逆にいえば大きな方針を示せておらぬということじゃ」
「「……」」
「都度、最善手を取るというのは受け身ということ。波が小さいうちはよかろうが、後手で受け切れる波だけとも限るまい」
「……」
お父様が頭を振った。
「ラミーア殿、侯爵家は王家に仇なすつもりは一切ありませんぞ」
「忠義であるな」
ラミーアは扇で表情を隠したままローレンスに言う。その眼はローレンスの考えを見透かしているかのようだった。
「忠義者の侯爵の戦力は国内随一になったな?」
「そういう風に言われておりますわね」
「……」
「忠義者の持つ最強の戦力を、王を守るためでもなく、国境を守るためでもなく、唯々王都から離れた場所に無為に置かねばならん」
「「……」」
「派手に火の粉が舞うことであろうな」
「「……」」
「そして、火の粉を振り払った後に残るのは侯爵家に近い貴族のみ。対立が無くなれば中立もなくなる。受け身でい続ければその鼎の軽重も問われるだろうて」
「王は火を起こす家を許さないでしょう」
お父様が窓の外に眼をやって小さく言うと、ラミーアは笑みを深くした。
「それが王家のためであろうな。だが次代はボンクラだ」
「ラミーア!」
「ラミーア殿、言葉に気をつけていただかねば」
「ふふ、侯爵も内容に異議はないようだな?」
「我々周りのものが盛り立てていけば良いのです」
「担ぎ上げられた玉座に黙って座っているうちはそれで良かろうがの」
「「……」」
「女神の導きと道が違えることも、この先あり得るであろ? 覚悟は今から持っておくが良い」
「覚悟……」
「うむ」
ローレンスは開き直ったような表情でミキストリアを向く。
「ミキストリア、これは代々、当主を継ぐものに語ることなのだが、王の錯乱に備えよ、ということもその語り継ぐ教えに含まれているのだ」
「錯乱ですか」
ラミーアが面白そうな眼で見てくるが、ミキストリアは父の話の落ち着き先が気になった。
「ああ。これは今どうこうという話でなく、心構えに近いものだ。
到底受け入れられないような命令を王から受けたらどうするのかを決めておけということだ」
「お父様は決めてあるということですわね」
「勿論だ」
「お聞きしても?」
「あぁ、大した内容では無いからな。もしそのようなことがあったら、まずはお諌めし、それでも駄目だったらその命令には従わない、と決めている」
「従わない場合にどうなさるのです」
「それはその時の状況に依る。諌め続けるか、逃げるか、戦うかだな」
「それ以外の選択肢はありませんわね」
「そうだ。だからこの方針は身内には話しても構わんのだよ。方針そのものよりもその覚悟を持つ、ということが重要なのだ」
「わかりました。お話いただきありがとうございます」
「うむ。ミキストリアも同じ立場になりかねんからな。ミキストリアがどのような方針とするのかミキストリア自身が決めると良いが、同じように覚悟が重要だということは覚えておくが良い」
「承知しました。わたくしもお父様と同じ方針ですわ。覚悟もつけるよういたします」
「うむ。しっかりな。ラミーア殿もよろしくお願いします」
「客分であるからな、食い扶持の分は働こうぞ」
読んだいただき、ありがとうございます。




