魔導ジェットエンジン 2
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誤字報告ありがとうございました!
「へぇ、色々考えてはいるのね」
「当たり前よ。
さっきも言ったが、こいつは前から空気を吸って後から火を吹く。こいつ自身もそれなりに熱くなる。この台に乗り出したり後に回ったりしないでくれよな。前にも出ないでくれ。何度も試運転はしてるしそれなりに出来上がっているつもりだが、耐久試験やら限界試験はしてねぇ。警告を無視する奴の安全までは知らねぇぜ?」
ミキストリアは周りをみまわして皆が頷くのを見て言った。
「ええ、分かったわ」
アキトはコクリと頷くと弟子に指示を出す。
「よし。稼働させるぞ。固定器具を確認しろ」
アキトの声で弟子が2人がかりでエンジン本体と台を繋ぐ柱、台を床に固定している金具の固定を揺さぶってゆるみの無いことを確認していた。
「あちこち吹っ飛ばないように固定してあるんだがその確認だ。まぁ今日はそこまで出力は上げねぇが、万が一のための安全管理ってやつだな」
ミキストリアはアキトが安全に細かく気を配っていることに感心して見ていた。
「よし、行くぜ」
アキトはそう言うと、台の上でエンジンと紐のようなものでつなげられている操作盤をいじった。エンジンからフワーという音が出る。エンジンの後、開け放たれた扉の位置に開かれた風車がかすかに動いたようだった。
「まずは風の魔石で風の流れを作るんだ。で、点火っと」
アキトが操作盤を再び操作すると、エンジンからボボボボボという小さな音が出始め、後の風車は極ゆっくりと回り始めた。従者や護衛から、おおぅと声が上がる。
「この状態で火の魔石を使って小さなフレイムバーストを連続して出しているんだ。これをもう少し大きく、短い間隔で出すとこうなる」
アキトがまた操作盤をいじった。エンジンの音はバババババというより大きなものになり、音の間隔も先ほどよりは短くほとんど連続しているように聞こえた。風車は今やカラカラと音を立てて勢いよく回っていた。エンジンの後方からは熱気が出ているらしく、陽炎のように景色を揺らしていた。
「「「おおおおぉ」」」
「何かすごいですわね」
ミキストリアも思わず声を上げていた。
「これが待機状態?」
「あ、あっと、それよりはちっと出力を上げたかな。待機状態は最初のボボボってやつだな」
「「……」」
「えっと、ここはこれで良いだろう? 同じものを船につけてあるから試しに乗ってみねえか?」
アキトはいうなり再び操作盤をいじってエンジンを停めた。エンジンは静まり、風の魔石が起こすフワーという音だけになった。
「エンジンの中は熱くなってるからな。ああやってゆっくり冷えるようにしてあるんだ。さ、行こうぜ」
アキトは扉を出て湖畔に向かった。護衛騎士を先頭にミキストリアも祥子と続いた。
湖畔に沿って少し歩いた先に小さな桟橋があり、10mほどの船が停められていた。船の真ん中後よりにはエンジンが付けられていて、1本あるマストには帆はかかっていない。
「これよ」
(アキトの有頂天ぷっりは終わりませんね。まあ、大したものであることは間違いないわけですが)
そんなアキトに祥子が絡んでいった。
「ちょっとアキト。あの船ももう試してあるんでしょうね? まさか今日が初めてってことは無いわよね? さすがに私もミキも、初めての水上実験に付き合うほど無謀ではないわよ?」
「さすがにそれはねーよ。1人、2人でなら何回も試してある。大勢乗せるのは初めてだがな」
「大勢は初めてなのね……」
「そりゃそうだ。ここにいるのは俺と弟子2人だし、ほかのやつを呼ぶわけにもいかねぇしな」
「それもそうね……」
「そうだな……。まず、俺と弟子とで軽く走らせる。そのあと、祥子やミキストリア様を載せるってのはどうだい?」
「まぁ、そのくらいが妥協点かな」
「それでよろしいですわ」
アキトは弟子と二人で船に乗り込みエンジンを始動させて桟橋を離れると、バァァァァァーと爆音を出して進む船を操縦して沖合に出ていった。後から見るエンジンはオレンジ色に揺らめいていて、炎が出ていることが良くわかるのだった。
「速い……の?」
祥子が誰に聞くとでもなく呟く。
「わたくしにもちょっと……。お弟子さん?」
ミキストリアは桟橋に残ったもう一人の弟子に声をかける。
「あ、ミ、ミキストリア様。えーっと船が速いか、というご質問ですよね?
帆を上げて全力で走らせる場合と比べるとまだまだ遅いと思います。ですが、いつも順風ばかりではありませんし、エンジンもまだまだ全力ではありませんので、もう少し速くはなるかと思います。エンジンの強度とか、船の強度が上がればもっと早くもできるかと思います」
「そうなのですね。ありがとう」
「いえいえ、もったいないお言葉でございます」
読んだいただき、ありがとうございます。




