ダンジョンから帰還
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「ミキストリア様」
やってきたのは魔法師団の団長バートと配下の魔術師4人であった。
「あら、バート団長。お久しぶりですわ」
ミキストリアは数歩移動して仲間たちを背にしながら笑顔で言った。
「またどえらい事になっておりますな。
念のため確認ですが、その魔物たちは人に害をなさないという事でよろしいですかな?」
これは本当に形式上の質問であった。事を構える気があるのであれば、団長を含むとはいえ5人の魔術師がどうこうできる相手ではない。バートが4人を連れているのは伝令など業務のためであり戦闘のためではないことは明らかであった。
「バート団長。誰に対しても害をなさないというのは、誰であっても無理でしょう。
彼らは、敵対しない相手には害をなしませんわ」
ミキストリアは眉を顰めてバートの台詞を否定すると、真顔になって言い換える。
「ごもっともですな。紹介いただけますかな?」
バートが深く頷いた。
ミキストリアがそれぞれを紹介すると仲間たちは、手を振ったり、ブヒンと鳴いたり、お辞儀をしたり、ツンと上から目線で見下ろしたりした。
「な、なるほど。私は侯爵家の魔法師団を預かっとるバートだ。よろしく頼む。
では、参りましょう」
バートの先導で地上に戻った。最長予定よりもずっと短い期間で戻ってきたが、久しぶりの地上は眩しかった。1年が終わろうとしている時期で寒風が身に染みる。
地上では騎士団団長エルウィンと多数の騎士魔術師に加えて、制圧に同行した隊員も待っていた。ダンジョン村のはずれに陣幕が張られ、食事が用意されていた。
「ミキストリア様と仲間の皆さんはどうぞこちらに」
エルウィンが陣幕中央の大きなテーブルにミキストリアを案内した。魔物たちはにミキストリアの後の低いテーブルが用意されていた。
「いかんせん、どの様な用意をすれば良いかさっぱりでして、ラミーア殿には席を、他の方にはローテーブルにしたのですが、よろしいですかな?」
「ありがとうございます、エルウィン団長。これで結構ですわ」
ミキストリアが答えながらラミーアに視線を送る。
「うむ。相伴を許そう。うまいものを出すのだぞ?」
ラミーアの尊大さは隊員から聞いていたのか、エルウィンは眉をピクリと動かすだけだった。
エルウィンはナクスチャーカから料理人を呼んできており、ダンジョン内での野営料理とはちがう、手の込んだ料理にミキストリアたちは舌鼓を打った。
「うむ。さっぱりしているがこれはこれで旨いぞ」
ラミーアも赤ワインをカパカパと空けながら上機嫌にしており、ミキストリアは少しばかり胸をなでおろした。ブラッディペアの残りが少なくなってきたからである。種があるとはいえ、それが実をつけるまで、つける事に成功するとしてあるが、まだまだ時間がかかる。
「ミキストリア様、この後のお考えをお聞きできますかな?」
食事中はダンジョン内での話に終始していたが、食事も終わりクッキーにお茶が用意されると、伺う様にエルウィンが切り出した。ラミーアは我関せずと次々とワインを空けている。
「この者たちの居場所をどうするか、と言うことがまず第一。
もちろんお父様に報告相談が必要ですが、そのためには街道を通って領都に行かねばなりません。途中の街や領都で騒動がおきるようなら、ここからシェヴァニーに行き、シェヴァニーの別邸を一時的にせよ彼らの住まいにした上で父にシェヴァニーに来てもらうことも必要かと。
街で騒動が起きないのであれば、もちろん領都に行くのが一番ですし、それに反対するものではありませんわ」
「街の騒動は問題ない、というか何とかなるかと思います。ただし、お仲間は、ラミーア殿以外は泊まれる宿がありません」
「その通りですわね」
「ですので街に着いたら城壁のすぐ外に陣を張りそこに泊まるしかないでしょう」
「ええ。まぁダンジョン内では野営でしたから後2泊それが続くと思えば問題ありませんわ。わたくしも陣で休みますわ。よろしくって?」
ミキストリアはそういうと、最後の部分でラミーアを見る。
「む? 予か? ミキストリアがそう決めたのであれば構わん。この酒は用意するのだぞ?」
「はいはい」
「……ミキストリア様、ご理解いただきありがとうございます。では、その様に」
エルウィンはラミーアのセリフにまたも眉をピクっと一瞬顰めると、話を切り上げて準備の指示を出しに人を出ていった。
(団長に心労をかけてしまいますわね……)
ミキストリアはエルウィンの背中に向けて謝った。
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