ダンジョン 5F 4
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まさに圧倒的であった。
ボス部屋に入るなり、ラミーアはスケルトンキングやスケルトンロードを歯牙にかけず、靴の踵をカツカツと鳴らして進む。半身で指を突き出す様に右手を上げると、5本の指から次々と風の斬撃が飛んだ。
スケルトンキングもスケルトンロードもラミーアを見て立ち上がり、何やら慌てふためいた様子であった。スケルトンキングは腰に佩く剣に手が届くかどうかの時点で無数の斬撃に撃たれ、鎧の破片や、肋骨やら胸椎やら骨の破片を撒き散らした。ガクガクとスケルトンキングが震える中、斬撃は止まることなく続き、核が壊れるビシッという音と共にスケルトンキングは消えていった。
スケルトンロードが狼狽える中、ミキストリアは浄化の杖を使って聖属性に変えたレーザーを放った。
「<パルス グリーンレーザーー---->!!」
ミキストリアはパルスレーザーを連続で撃った。緑色の小さな輪が連続でスケルトンジェネラルに当たる。アーマーに穴が開き、振り回す手が千切れ、胸の骨が砕け、露出した核が破壊される。その間8秒間であった。
ミキストリアが、ふぅと大きな息を吐くと、同じく2体のスケルトンジェネラルを粉砕したラミーアが小さく目を見開いた。
「ほぅ、なかなかやるではないか」
いうなりラミーアは残り1体のスケルトンジェネラルを倒してしまうのだった。
「これで良いな? さあ、地上に帰るとしようぞ」
ラミーアが振り返るとにこやかに言う。
「っ、ちょっとお待ちなさい! 色々と決まり事があってそれをしないといけないのですわ。
王を務めていたらおわかりでしょう?」
ミキストリアが慌てて言うとラミーアは不思議な顔をする。
「王であった時も、これで困った事はなかったが?」
ミキストリアは思わず、遠い昔の国の家臣達の苦労が見えてしまう様で、半眼になる。
「まわりの家臣団が優秀だったのね……」
ミキストリアがラミーアとあれこれとたわいもない話をしていると、グリンダが近寄ってくる。
「ミキストリア様、魔石を収拾しました。宝箱もありました」
宝箱には、アダマント、ミスリル銀、金のインゴットがそれぞれ20kg入っていた。インゴットなので純度100%である。
「骨だけに面白みがないのぉ」
ラミーアが訳知りのように言うが、誰もがうなずいていた。
「ラミーアの話の通り、この部屋には別の階層に行く出入口はありません」
「ご苦労様。それではここがこのダンジョンの最奥、ということで撤収します!」
「「「「はっ!」」」」
ミキストリアが宣言すると笑顔の返事が返ってくる。ラミーアとミキストリアでボスであるスケルトンキングとその取り巻きを秒殺してしまったため、他の制圧隊員は余力がある。休憩は要らなかった。
隅々まで巡って討伐したこともあり、5階を出るまで新たな魔物に出会うことは無かった。
4階へ戻る階段はボス部屋に出るが、ボスはまだ復活しておらず、4階の地下ダンジョンには何もいない。ミキストリア達はそのまま地下をでた。うっそうとした森である。
「行きは獣道で会敵したものだけを討伐しましたが、ジャイアントキラーベアとジャイアントキラーボアは一般の冒険者には脅威でしょうから退治しましょう」
森へ出たところでミキストリアそういうと、ラミーアはあからさまに嫌そうな顔をする。
「ミキストリア? そんな弱い者は気にするだけ無駄ではないかぇ?」
「いえいえ、大事な領民、国民ですわ」
「いったい何だって人間はこんなに弱くなったのか? おお、嘆かわしい」
「ですが、それがこの時代の現実ですわ」
「まぁ良いわ。予が出よう。クサントス、予を乗せやりや?」
クサントスに乗って行くと言うラミーアに、クサントスは露骨に嫌な顔で、ブルブルと唸った。
「クサントス? 協力してください。早く地上に戻れますわ」
「ぶひー」
やれやれしょうがないとばかりにクサントスは首を振った。
「ミキストリア、予がわかるのは10匹のジャイアントキラーボアにジャイアントキラーベアだ。この10匹で良いな?」「ええ、わたくしのサーチでも10匹ですわね」
「あい解った。そなたらは4F入口に向けて進むが良い。予はすぐに追いつこうぞ」
「はいはい、気をつけて」
ミキストリアは対応が雑になって行くのを止められなかった。ラミーアは気にしなかったようで、クサントスに横乗りすると獣道を外れて森に入っていった。
「さあ、参りましょう」
〜〜〜
植生が変わり白い木が密に生える地点まで戻ってもラミーアとクサントスは戻ってこなかった。
往路で野営した場所はほぼすべての切り株が木に戻っていた。残りのいくつかは切り株のままで、その切り株でようやくそこが野営地点であったとわかるだけであった。
元野営地点に着き、野営準備を命じようとしたところ、切り株で残っていたものが一瞬のうちに周囲の木と同じ大木になり、張り出した枝で左右の木の枝をミシミシと押しのけた。
「おお」
「ほぅ」
(切り株が数日の間にどうやって木になるのかと思ったら、こういうことだったのですね)
ミキストリアも隊員達もあまりの不思議に木を見上げていた。と、数本横の木から何かが落ち、ドサドサッと獣道そばの草むらに転がっていった。
「あれは!」
アルティンが悲鳴のような声を上げて草むらに近づき、それを引き出すと体長120cmほどのアネクネ、おそらく子供のアネクネ2匹であった。
「あなたたち、いったいどうしたの?」
アルティンが、ひきづられてフラフラとする2匹のアネクネに問いただす。
(サーチに掛からなかったということは敵性ではないということ。弱っているからでしょうか?
それにしても子ども? それにしてはアルティンと蜘蛛の体部分の色が違いますわね)
子どもアネクネは未だ人語は話せないらしく、ギイギイガシャカシャと音を上げていた。
「ミキストリア様、この子らは木の裂け目に隠れて暮らしていたそうで、恐ろしい雰囲気がなくなって出てきたものの、食べるものもなく、我々を襲おうと思うにも力も出ず、落ちてしまったと言うことです」
「あら、そうなのね」
「ミキストリア様」
「何かしら?」
ミキストリアは、アルティンの言いたいことがわかる様な気もしたが、敢えて口に出させる事にした。
「この子たちを救っていただけませんでしょうか?」
ミキストリアは小首を傾げた。
「それは構わないけど、どうやるのかしら? 戦って倒さないといけないのだけど、可哀想な気がするのはわたくしだけかしら?」
「あ、ああ、そうでした。うーん………」
交渉がうまくいかないのを察したのか、子どもアネクネはうつむき、1匹は崩れ落ちてしまう。
「アルティン? あなたが責任を持って面倒を見ると言うのなら戦う必要もないのではないかしら?」
「ミキストリア様!」
アルティンは上半身をクネクネさせて喜んだ。
「でもその子が悪いことしたらあなたも責任を負う事になるのよ? それでも良くって?」
「はい、しっかりと躾けます」
「では、その様になさい。<ヒール>、<ヒール>。これでいいかしら。
今日はここで野営しましょう」
ミキストリアは近づいてくるラミーアとクサントスの気配を感じていた。
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