ダンジョン 4F 2
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「あなたを仲間として受け入れますわ」
ミキストリアはこの成り行きに色々と納得いかない点も多かったが、仲間にしない理由があるわけでもなく、仲間が増えることでこの先の制圧が楽になることは明白でもあるので、アラクネを受け入れることにした。
アネクネを包む光が強く光り、すぐに消えた。アネクネの体はひと回り小さくなったようだった。アネクネがふらふらと体を起こした。
「<失った脚を戻して! ヒール>!」
ミキストリアが両手をかざし回復魔法を掛けると、手のひらから出た白い光がアラクネを包む。数秒ほど眩いていた白い光が消えると、アラクネの脚も元の通りになり、腹の傷もなくなっていた。
「これでだいぶ楽になるのではないかしら。
あなたはアルティン。アルティンと名付けます。
それから、これを飲むと良いでしょう」
ミキストリアはアルティンに近寄り、MP回復ポーションを渡した。アルティンは横たわったままポーションを受け取ると、蓋を開けて臭いをかぎ、眉を顰めながらもポーションを飲み干した。
アルティンは立ち上がると、頭を下げた。
「ご主人様、助けていただきありがとうございます。死にかけていたところを救っていただいた御恩は忘れません」
ミキストリアは小さく笑うと首を振った。
「アルティン、あなたは喋れるのね。でも、わたくしのことを主人と呼ぶのは止めて欲しいですわ。
あなたはわたくしの従魔ということですけれど、女神様は『仲間にせよ』と仰せです。わたくしの言うことに従ってもらう事も多くありますが、わたくしは主人ではないし、あなたは奴隷では無いのですわ」
「分かりました。では、ミキストリア様と」
「ええ。それで良いわ。
紹介すると、こちらががブーディカ、あちらがクサントス。みんな仲間よ。仲良くね」
「はい、ミキストリア様。ブーディカ姉様、クサントス姉様、よろしくお願いします」
「まぁ、アルティンは挨拶が上手ね。
ちょうど昼時なので、ここで昼休憩にしましょう。他の人の紹介はその時にね」
ミキストリアはスエーレを呼び、周囲3mの範囲の木を風魔法で切り倒してもらう。もちろん、間近に敵がいないことはサーチで確認してあった。スエーレが風魔法を発動すると、切られた低木や草は地面に落ちて消えて消えるが、白い木々は枝が絡み合って倒れない。ミキストリアは木を全部収納した。
適当な切り株に各自が場所を取る。アルティンはミキストリアの横にきた。ブーディカとクサントスがやってきて、ミキストリアの後ろに位置する。
「せっかくですからオークナイトのドロップ肉を食べてみましょう。
アルティンも食べる? 他の何かにする?」
ミキストリアは収納からオークナイトの肉とその他の食材、調理器具や食器などを取り出した。
「ミキストリア様、私もミキストリア様と同じものを食べてみたいです」
「ええ、良くってよ。肉は焼いてしまって良いのかしら? それとも生が良い?」
「今まではなんでもそのまま食べていましたが調理した肉も食べてみたいです」
「クサントスもお肉でいいかしら?」
ミキストリアは後ろを振り返ってクサントスに話しかけた。クサントスが首を縦に振ったのを見てミキストリアは微笑んだ。
「焼く?」
クサントスは、ブヒヒンと唸ると、縦に首を振った。
「では一緒に調理してもらいましょう。
ラシード、お願いね」
「はっ」
「ミキストリア様、クサントス姉様も調理した肉が楽しみだそうです」
アルティンがクサントスの唸り声を通訳する。ミキストリアは笑った。
「あら、アルティンはクサントスとの話せるのね」
クサントスはブヒブヒとアルティンに向かって唸った。
「はい。今、様をつけるな、姉さんと呼べと叱られました。クサントス姉さん、わかりました」
「仲良くなってくれて安心したわ。
ところでアルティン、あなた糸を出して、このシャツのようなものを作れない?」
ミキストリアは、収納から替えのシャツを取り出して見せながら言った。
アルティンはアラクネだけあって上半身は女性の体、下半身はへそのあたりから下は蜘蛛の腹になっている。上半身は裸で、豊満な胸も剥き出しなのだった。食事の準備は当番制で半数の隊員が動き回っているが、当番でない隊員は目を逸らして気まずそうにしていた。
「このままではダメなのですか?」
「ダメよ。目のやりどころに困るもの」
「今まで何も着たことは無いのです」
「ええ、そうでしょうね。でもわたくしと一緒に来るには、胸を出したままというのはダメなの」
「胸をしまわないとミキストリア様と一緒に行けない、と言う事ですか?」
「ええ、残念だけど、そうなってしまうわ」
「わかりました」
アルティンは渋々といった様子で頷くと蜘蛛のお尻から糸を出し、見る見る間に織ってミキストリアが見せたものと同じシャツを体のまわりに作り上げた。
「これでよろしいでしょうか?」
ミキストリアはあまりの手早さに唖然としていた。ステータスの器用がずば抜けて高いのは見ていたが、目の前で起きたことが信じられない。
「ミキストリア様? これでは拙かったでしょうか?」
返事をしないミキストリアに不安になったか、泣きそうな顔つきで聞いてくるアルティンの声に、ミキストリアはハッと我に返った。
「いえ、アルティン。完璧よ。あまりにあっという間にアルティンがシャツを作り上げるのでびっくりしていたのよ」
「そういうことでしたか。よかったです」
「ええ。ところでアルティンは大怪我をしていたけど、あれはどうしてかしら?」
アルティンは泣きそうな、悔しそうな表情をすると、俯きがちに話し始めた。
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