ダンジョン 4Fへ
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「<ステータス>」
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【宝箱】
ボス討伐報酬が入っている宝箱。ここから動かすことはできない。罠は仕掛けられていない。鍵はかかっていない。
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「鍵もかかってなく、罠も仕掛けられていないようですわ。ジェフリー、お願いしても?」
「はっ」
ミキストリアが頼むと、ジェフリーは躊躇う様子もなく宝箱の蓋を大きく開けた。鑑定の通り、罠もなく蓋は何事もなく開いた。
「「「「おぉーーーー」」」」
「ジェフリー、何が入っていて?」
宝箱を開けて覗き込んだジェフリーに、ミキストリアは声をかけた。
「ミキストリア様、金塊と果物、袋が入っています」
ジェフリーが立ち上がって、宝箱の正面から退き、ミキストリアに場所を譲る。ミキストリアが覗き込むと、自然金のナゲット多数と薄茶色の拳大の果物、袋であった。
【金塊 10kg】 金の塊。純度84%。
【ブラッディペア 10kg】 魔界の梨。血の味を好む魔物が好む。食用可。
【ブラッディペアの種 1kg】 魔力を含む水で育てることができる。
「これは梨の一種でブラッディペアというものですわ」
ミキストリアはステータス魔法で鑑定し、周りに集まってきた隊員達に言うとブラッディペアを一つ取り上げた。梨に似た実であった。クサントスが寄ってきて手に持ったブラッディペアにかぶりつこうとするので、思わずミキストリアはブラッディペアを落としてしまうと、ブラッディペアは落ちて潰れた。果肉は赤く、飛びちった果汁も真っ赤である。クサントスは落ちて潰れたペアを美味しそうに食べ、飛び散った汁もペロペロとなめ取ってしまう。
「魔物が好むという話は本当ですわね」
ミキストリアがそう言うと、宝箱からもう一つを取り出してクサントスの前に置いた。クサントスは嬉しそうにかぶりつく。
「このまま、ここで休憩することとしましょう」
ミキストリアは、興奮した面持ちで宝箱を代わる代わるに覗き込んでいる隊員達の背中に声をかけた。
「「「「はい」」」」
「クサントス、一度に食べてしまうと無くなってしまうので、少しずつ食べるのが良いかと思いますわ。種も入っていたので、戻ったら育ててもらいましょう」
2個のブラッディペアをあっという間に平らげたクサントスはもっと食べたい様子であったが、ミキストリアが声をかけると納得したようにミキストリアの傍に横たわった。長い舌を出して口の周りを舐める。ブーディカも近寄ってきて横になった。
「ブーディカ、ブラッディペアを食べてみますか?」
「ギギャギャイ」
ブーディカは首を振るのだった。
(ブーディカはお肉好きですわね。クサントスは人喰い馬だけあって血の味がするというブラッディペアが大好物のようですが)
ミキストリアはこの制圧作戦で初めてMP回復ポーションを使った。ミキストリアは最大MPも多く、効率的な魔法の使い方をするのでほとんどの遠征でポーションを使うことは無かった。今回のボス戦はミキストリアが主戦力となり、かつ大出力の攻撃で倒す必要があるため、その代償としてのMP消費は多く、600MPを切る程度にまでMPを消費していたのだった。魔法レベル25に相当するMP残量であるが、ほぼ1日の行動がこの後に控えていることを考えると、まず少ないMP回復ポーションを利用して先に進むほうが良かった。
一時間の休憩の後、ミキストリア達は4Fへ降りる階段へ向かった。
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4Fに降りるとそこは森であった。
20mほどある、太く、白い樹皮の木がどこまでも続いていた。空は広がった枝と葉でほとんど見えず、森が薄暗かった。どうやら雨は振っていないようである。木々の間には膝下ほどの低木や草が茂っており、降りてきた場所にあるちょっと開けた空間から獣道が森の中へ続いていた。
「この獣道を行くしかないですが、2列分の幅はありませんわね。1列で、注意しながら進みましょう」
ミキストリアが森を見て言うと、隊員は頷いて配置に付く。と、クサントスとブーディカが何の気負いもない様子で先に獣道に進んでいった。
「やる気満々ですわね。わたくしたちも続きましょう」
ミキストリアのサーチは複数の敵性対象を見つけていたが、それらが近寄ってくることもなく、またこちらから進んで下生えの低木や草を超えて討伐に行くのも躊躇われ、注意を向けるだけで獣道を慎重に進んだ。獣道はうねるように左右に曲がって進む。
「この先にアネクネ、1。ノンアクティブ。警戒!」
ミキストリアは先頭を行くホーウェルまで届くように声を張り上げた。騎士たちは得物を構えなおした。
しばらくするとクサントスとブーディカが歩みを止める。ブーディカはコピシュを取り出し警戒体制だ。
「木の中程にアネクネです」
ホーウェルが前を見たまま声を上げた。ホーウェルが足を止めたことで全体も停止する。
(アラクネは木の上ないし巣で獲物を待ち構えているのが習性と聞いていましたが、はて?
クサントスもブーディカも攻撃しませんね。攻撃されてもいませんが、これはどう言うことでしょう?
確かにノンアクティブとサーチではなっていますが)
ミキストリアは、縦列の真ん中あたりから抜け出し、状況を見るためにホーウェルの後ろまで進んだ。
「ミキストリア様、これ以上は前に出ませんように。あそこの木です。クサントスとブーディカが包囲している木です」
ホーウェルが指す先では、クサントスとブーディカに前後に挟まれた木の中腹にしがみついているアラクネがいた。
(何か様子がおかしいですわね。脚が足りませんわね)
嘆願するような目で見てくるアラクネにミキストリアが違和感を感じていると、脚が外れたのかアラクネが木から落ちる。クサントスとブーディカが驚いたように一歩飛び退くと、ドサっと音を立てて木の根元に落ちたアラクネは転がって獣道に出た。
ミキストリアはホーウェルの後ろから出てブーディカに近寄る。
「ミキストリア様!」
ホーウェルが制止してくるのを背を向けたまま右手を上げて、大丈夫、待機、とハンドサインを送った。
ブーディカの後ろから覗き込むと、アラクネは背を下にひっくり返っており、気を失っているようだった。見ると、8本あると言われる手足は3本失われており、蜘蛛となっている下半身にも傷があるようだった。獣道そばの草が赤黒く染まっていく。
ミキストリアはおもわずステータスを調べた。
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種族: アラクネ
年齢: 4
職業: アラクネの女王
状態: 瀕死
LV: 48
MLV: 52
HP: 1/4813
MP: 50/2272
腕力 97 / 体力 103
知力 170 / 精神 202
速度 227 / 器用 302
幸運 72
スキル:
危機察知
糸
風魔法
属性:
魔法攻撃耐性
強者の誇り
【糸】 様々な糸を出して利用する。
【強者の誇り】 敵対する相手が蜘蛛種の場合、可能な限り命を取ることを避ける。
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ミキストリアがステータスを見ようと思う間もなく、アラクネは白い光に包まれだすのであった。
「え?」
(ステータス見ただけですわ? 攻撃もしていませんし、威力制圧も使っていませんのに、なぜこの白い光が……)
「ミキストリア様、どうされましたか?」
ミキストリアが白い光に包まれるアネクネを前に立ち尽くしているのをみて不思議になったか、ホーウェルが近づいてきて背後から声をかけてきた。
「なんでもありませんわ。また仲間が増えるようで、名前を考えていたのですわ」
「左様でしたか」
ホーウェルの声からはホーウェルがミキストリアの説明を信じたのかどうかは判別できなかった。
ミキストリアはブーティカの背中から出た。
「あなたを仲間として受け入れますわ」
読んだいただき、ありがとうございます。




