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異世界ヒーラー世界を治す  作者: 桂木祥子
4章 侯爵領編
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新たな攻撃魔法の研究


ミキストリアと祥子は、サラとヒラリーを養子にしたが、子どもたちの世話にかかりきりになることは出来なかった。ナクスチャーカと領都ターサミウムでのミキストリアの回復魔法の大盤振る舞いを聞きつけた人々が、街の警護に当たっている騎士魔術師団を通じて、陳情を上げてきていたからである。ミキストリアも父侯爵もその声を無視することは出来なくなっていた。


七海からのメールの返信を読んだ日、父に呼ばれたミキストリアは執務室を訪ねた。


「ミキストリアよ、少々派手にやりすぎたようだな」

「お父様、目の前にいる傷病人を見捨てるわけにも参りませんわ」

「うむ、それも道理なのではあるが…… これはどうするつもりか?」


父が陳情が書かれた何枚もの報告書をヒラヒラさせた。


「星組と街を巡りますわ」

「まぁそうするしかないのう」



~~~



ミキストリアは、星組の4人の聖魔法使いの弟子と共に、領地の主要都市を巡る「ヒーリングツアー」に出た。侍女のマリアとドーリィ、騎士団からは2班8名が護衛として帯同する。魔術師団の同行は断った。魔術師団を帯同すると、魔術師団としての活動と勘違いされるからである。この活動はミキストリアが私人としてやっていることとするのが重要だった。


まずは領都ターサミウムから東方向へ向かう街道で、一日の距離にあるクラーハへ向かう。


「マリア。今回の移動中にちょっと新しい魔法の練習をしようと思うの」


ミキストリアが馬車でマリアに話しかけると、マリアは胡散臭げな気持ちを隠す様子もなかった。


「ミキストリア様? 『新しい』魔法の練習ですか?」

「ええ」

「まさか危険なことではありませんよね?」

「もちろん、そんなことは無いと思うわ」

「『思う』ですか? ドーリィと後の馬車に乗ってもいいですか?」

「どうも酷い誤解を受けているような気がするのだけれど。それでマリアの気が済むなら後の馬車に移って構わないわよ」

「ミキストリア様、ありがとうございます。ぜひそうさせていただきます。御者をやっているランスさんや周りで護衛している騎士にも危険の無いようにお願いします」

「危険は無いと言っておりますのに……」


御者のランスに馬車を止めさせて、星組とドーリィが乗る後の馬車に移っていくマリアを見ながらミキストリアは呟いた。


「まぁ、これで心置きなく実験できますわね」


こうなったらなったらで多少の無理もできるので問題はなかった。


ミキストリアはまず、光を一方方向に出す練習をした。標準のライト魔法では全周を照らす球形の光源が出る。七海から新魔法での光源は見るなと言われているため、まずは光を変えることよりも全周ではなく2cm円に収束させることが先決と思ったのである。


この挑戦は難航した。例えばバーライト魔法は光源を筒状に変えるが、筒の表面からは360度全ての方向に光は飛んでいる。光をそもそも一方向にだけ出すというのは初めての挑戦であった。


なんの進展もヒントもないまま、クラーハに着いた。


翌日、クラーハの重傷病者を次々と回復魔法で治していった。ある怪我人は、角ウサギの角を左腕で受けて刺創となっており、それによって左腕が動かなくなっていた。傷は塞がっているが神経が損傷しているのは間違いなく、筋肉や骨の一部も損傷しているかもしれなかった。ミキストリアは星組メンバーと共同で対応してみることにした。


まず、ミキストリアが左腕に<麻酔>魔法をかける。これも初めての試みだったが、うまくいったようだった。

次に、護衛から鋭いナイフを借り、クリーン魔法を強化した<サニタイズ>魔法で除菌した。

左腕の肘をロープできつく縛り、騎士に頼んでナイフで刺創を開いた。

すかさずリディが殺菌、レイチェルは神経修復、メーシャは骨修復、アルベルタが筋肉修復と単機能に注力した魔改造ヒールをかけていく。最後にミキストリアが血管修復を意識しつつ軽くヒールをかけ、血を拭き取ると患者の左腕はもとの刺創もナイフによる切り傷もなく治っていたのだった。


「う、腕が動く! 指も……。こんなことがあるなんて」

「上手くいったようでよかったですわ」

「うぅ、ミキストリア様、皆様もありがとうございました!」

「魔物相手に無理は禁物ですことよ。それでは、ごきげんよう」


この成功に気を良くし、以降は4人の星組メンバーが担当を代わりながら重症病者の回復にあたった。全てが成功するわけではなかったので最後にミキストリアがヒールをかけていたが、そしてそれによって不十分だった対応が補完されることもあったのだが、大半の場合にミキストリアのヒールは「仕上げ」をするだけで良かった。


これにより星組の経験も増えて魔法レベルアップが加速し、ミキストリア一行はより多くの傷病者に対応できるようになった。


とはいえ、クラーハにミキストリアのMPを枯渇させるほどの重傷病者は居らず、残ったMPで宿に戻ったミキストリアはレーザー魔法の研究を継続するのだった。



クラーハを出てクリアテブへ向かう日もマリアは同乗を遠慮がちに申し出てきたのでミキストリアは承諾した。


ミキストリアは、高度な回復魔法をかける際に手のひらを患部に向けるようにしているのをクラーハの活動で改めて思い当たり、それをライト魔法に転用しようとしていた。ライトを中空に出すのではなく、手のひらから真っ直ぐに光が出るイメージにしたらどうかと思い当たったのである。うまくいけば手のひらサイズに収束した真っ直ぐの光が出せるようになるはずだった。


(さて、やってみましょう。ライト魔法ですからMP多めでも危険はありませんよね?)


「<手のひらからまっすぐ光が出るライト>!」


カーテンを閉め薄暗くした馬車の中で魔改造ライト魔法を発動する。効果の程は不明であるが、詠唱の直前にステータスにある「術式改造」スキルも意識に登らせた。手のひらは薄暗くなった一角の壁に向けた。


ミキストリアの手のひらの向こうで、壁が30cmほどの輪郭のぼやけた円状に照らされていた。


(できましたわ! 想定していたものよりも円が大きいですが、まずは成功でしょう。次は思い通りにこの円を小さくすることですわね)


クリアテブ、シーキージケスと回復と移動を繰り返し、街道を逆にたどってクラーハに戻ってくるころには、ミキストリアは手のひらからのライト魔法を2cm円に収束させることができるようになっていた。


さらに、領都にもどるころには、パルス状にその光を点滅させることができるようになっていた。


レーザー魔法として攻撃力を持たせる準備ができていた。


ミキストリアのステータスも変化していた。



ミキストリア ユリウス・マルキウス

種族: 人族

年齢: 20 (=24=)

職業:

 聖人候補(推薦:ナクスチャーカ、ターサミウム、侯爵領東部 [new])

 侯爵家魔法師団 魔法研究分隊 分隊長

 祥子の同性パートナー、養親

状態: 異常なし

LV: 38

MLV: 51 [up]

HP: 818/818

MP: 2699/2699 [up]

腕力 74 / 体力 85

知力 150 / 精神 160

速度 74 / 器用 139

幸運 101

スキル:

 聖魔法 IV [up]、闇魔法 IV [up]、雷魔法 II

魔法多重起動

 術式改造 II [up]

パッシブスキル

 魅了

 三角関数

 人体構造

 魔法連携 [new]

 異世界言語理解(読む、聞く) ※チート

属性:

 女神ユグラドルの導き(中)

 養子x2


(魔法連携という見知らぬスキルは例の星組みんなとヒールを掛けたからでしょうか。謎ですわね。

異世界言語理解スキルが復活しているのは七海さんとのメールのやりとりの手伝いをしたからですわね。

時間があったらこのあたりの謎も解きたいところですわ)


読んだいただき、ありがとうございます。評価、感想おまちしてます。

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