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異世界ヒーラー世界を治す  作者: 桂木祥子
4章 侯爵領編
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七海からのメール


ミキストリアと祥子は七海からのメールの返事を気長に待つことにしていた。こちらの朝が向こうの朝とは限らない。そもそも時間の進みが4倍違うのだから、向こうの1日はこちらでは4日であろう。


ミキストリアと祥子は、簡単な近況と、ライトニングがうまく行ったが音がすごいので奥の手にして他の攻撃魔法として別の攻撃魔法が必要と考えていることなどを追加で書き送った。


ある朝、この前と同じように興奮した様子の祥子が部屋に入ってきた。その様子だけでミキストリアは理由を察した。


「マリア、また2人で話すことができたようですわ。朝食と、お母様、サラ、ヒラリーへの言伝をお願い」

「承知しました」


マリアもサマンサももう慣れたようだった。


「もうすぐ魔法効果が切れてやり直しになっちゃうから食べながらでもいい?」

「問題ありませんわ」


マリアとサマンサが朝食を用意して別室に下がると祥子がその姿を見ながら言った。


「七海から返事が来てたのよ。中身を読むわね。<メール内容を表示>」


ミキストリアは興奮を抑えきれなかった。自分や祥子、アキトのように異世界に移転したり、戻ってきたケースは他にもあったかもしれないが、別世界に移転したり転生したりしたうえで、元の世界と連絡がつくというのは他に例がないと思ったのである。


(あるいは、わたくしたちがそうしているように必死になって隠しているのかもしれませんわね)


「うわ、長っ」

「どうしましたの?」

「七海の返事がめっちゃ長いよ。これは読むだけでMP使いそうだなぁ。足りるかな」

「またMP切れになると大変ですので、もし疲れてきたらそこで切り上げてまた明日にしましょう。今日全部読む必要はありませんわ」

「そうね」


七海のメールは長かったが、祥子はぎりぎり最後まで読むことができた。ネットアクセスも消費したMPが切れると表示が消えてしまうため、MPを注ぎ込み続けるか、スクロールする、別のページを開くなどアクションを起こす必要がある。どちらにしてもMPの消費は避けられない。朝食を食べながら読める量ではなかった。結局、朝食を食べながらではなく、祥子がメールを読み上げ、それをミキストリアが要約して書き残すという形でいったんメール本文の全部に目を通すこととした。


七海のメールは要約でも長かった。


・元気でやっている

・2人が居なくなったのは驚いたが、予想していたことでもあり、ミキストリアの希望であることも知っているので良かったと思っている

・祥子が一緒なのも驚いたがよかったと思っている。がんばれ

・手紙は届いた。が、翌日には消えたw でもコピーは取ったので大丈夫ww

・メールが来たのも驚いた、って言うか笑った

・結婚はものすごく驚いた。いつかはするかもと思っていたが。思っていたより早かった

・子どもについては想像外でマジで驚いた。できたら詳しく

・家、車、お金については了承した

・家や車が朽ち果てるのは忍びないが、自分が代りに使うのもちょっと違うと感じている

・家と車は売って、2人がいつ戻ってきてもいいように大きめの家を用意して待っている予定。けど4人で帰ってきたら狭いかもしれんがその場合、最初は我慢せよ

・子どもだけこっちに来るなら面倒をみるので、新しい家が用意できたら知らせるのでそっちに来るように

・すぐ来るなら鎌倉の家で待つが、ただ待つのはしんどい。やっぱり売る方向で

・銀行口座についてはいろいろと面倒っぽいので具体的にどうするかは未定。お金は使わない予定だが自分の口座に移すかも

・攻撃魔法についてはレーザー魔法はどうか? <URL>

・緑色の単色光を真っすぐ2cmくらいの円に収束するように出す

・一定時間出し続けるのと、パルスで出すのと両方練習すると良いかも

・緑が出せたら目に見えない光も試してみては

・オレンジの光を出してそれを赤に変え、そのまま変え続けると赤外線になって見えなくなるが光は出続けているのでそれで試す

・逆に、青の光を出しそれを紫に変え、そのまま変え続けると紫外線になって見えなくなるが光は出続けてこれも強力なはず。試すべき

・ある程度威力が出たら光を大きくするのもあり。光が細いと指先を傷つけるだけだが、光が太ければ手が無くなる

・この魔法で出た光源を直接見るのは厳禁


「いやー長かった。MPぎりぎりだよ。ちょっとくらっとする」

「祥子、大丈夫??? ゆっくり朝食摂りましょう」

「なんとか大丈夫。ゆっくり食べるわ。それにしても七海も過激だなぁ」

「思い起こせばライトニングのあたりから過激でしたわ」

「そういえばそうね」


ミキストリアはメモをいくつか祥子に渡し、横目で見ながらの食事となった。


(お母様が知ったらものすごく怒られそうですわね……)


「家や車は思い出がありすぎて七海がそのまま使うのはつらいのかもね。悪いことをしたわ」

「売るということでしたので、そのあたりは七海さんも納得のことなのかと思いますわ」

「そうだといいわ。子どもだけであっちに行く? これってフラグじゃない?? どうなの!?」

「七海さんがいるなら安心ですわ」

「いやいやいやいや、七海のところに行けるかどうかもわからないし、帰ってこれるかもわからないのよ? ダメよ!」


眼を釣り上げて言う祥子はミキストリアもめったに見たことがない。ひょんなことから祥子の子どもへの気持ちを聞けたような気がした。


「そうですわね……。それに帰れたとしても、1年でこちらで4年ですから寂しいですわ」

「そうよ、ダメダメ」



「それより、祥子」

「なに?」

「夕方ころMPがまた溜まったら返事しましょう。夜にメール読み書きするのは無しにして」

「なんでよ?」

「よ、夜に祥子がMP使い切ると、そ、その、スキンシップができなくなるからですわ」

「なっ! 朝からなんてことをいうのよ!」


祥子の大声で、恐る恐るマリアが部屋をのぞいた時、ミキストリアと祥子は顔を赤らめて気まずそうに目をそらしていた。



ミキストリアは七海が紹介してきた Webページでレーザーの原理を学び、ライト魔法の改造に挑戦し始めた。


読んだいただき、ありがとうございます。評価、感想おまちしてます。

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