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異世界ヒーラー世界を治す  作者: 桂木祥子
4章 侯爵領編
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ダンジョン発見


シェヴァニーの街から遠征に出て4日目。本来の予定であれば帰路についているところであるが、ミキストリアのダンジョン(かもしれないもの)の発見報告で、討伐遠征隊は予定を延長し南進を続けていた。敵はほぼリザートマン。騎士と魔術師の混成部隊にとって強い敵ではなく、散発的にしか遭遇しない上、その遭遇はバートとミキストリアのサーチであらかじめわかっている。100人を超える討伐遠征隊の敵ではなかった。 バートの指示により、ミキストリアはサーチは続けるもののよほど危険な場合を除いて報告せず、バートのサーチに任せることになっていた。ミキストリアはほぼやることがなくなり、エルウィンの傍らで状況を見守るだけのお仕事になっていた。


(何もしなくていいのは楽ですが、暇ですわね。暇すぎですわ。

 ダンジョンの捜索は参加させてもらえない可能性も高いですわ。そうなると、その次のことを考えておく必要がありますわね……

 ライトニングをもっと極める必要がありますね。特にMPと威力の関係はもっと突き詰めたいですわ。

 ライトニングは音と光で味方もフリーズしてしまうのが欠点ですわね。もっと静かな攻撃魔法が使えるとよいのですが……)


ミキストリアは遠距離サーチとイージスを常時発動しながら、ぼうっとこの先のことを考えていた。イージスを掛けているが、警戒半径10mではただの無駄、遊びであった。今、ミキストリアの周り50mは騎士と魔術師であふれており、敵が10mまで近寄ってくることはあり得なかった。


しばらくすると先行している部隊から次々と報告が上がってきた。


「ダンジョンの入口らしきものを発見!」

「入口の扉が内側から開けられております! リザードマンが出ました! 数1!」

「リザードマン討伐完了!」

「魔物の接近を確認! リザードマンです!! 数3!」

「討伐完了!」


(やはりダンジョンですわね。サーチで見えていましたから間違いないとは思っていました)


「入口を塞げ! 扉は閉めるな! 急げ」

「土属性使いは防御柵を作れ!」


エルウィンとバートの矢継ぎ早に出す指示が聞こえてくる。


ひとしきり指示を出したバートが近づいてきた。


「さてミキストリア様、やはりダンジョンでしたな。ここは皆に任せて参りますか」

「ええ、そうしましょう」


ミキストリアはここにいても何もすることがないため、バートの言葉に同意した。


ミキストリアとバートはこの後について詳細の打ち合わせをエルウィンとすると領都に向かった。


「魔物がいませんね」

「先に発った連絡士官が魔物退治をしたのかもしれませんな」

「これなら直ぐに街道に出そうですわね」


途中からナカスチャーカの街が見えて来たため進路をやや右、南にずらし街の北門、シェヴァニーへの街道につながる門に着いた。まだ日は高かったが次の街、ラーキリア迄は丸一日の行程になる。バートはここで宿を取ると宣言した。


バートとミキストリアは往路でも使った宿に部屋を確保すると、その足で冒険者ギルドに向かった。


日はまだ高く、ギルド内部は閑散としていた。侯爵家の紋章をつけた一見して騎士と魔術師とわかるバートとミキストリア達は場違いで人目を引くのだった。


「こんにちは。あ、侯爵家の皆様、今日はどういった御用ですか?」

「うむ。ギルマスに少々頼みがあってな、話がしたいのだ」

「ギルマスですか? あ、聖ミキストリア様もご一緒とは。い、今すぐ呼んできます」


受付嬢は、ミキストリアが同行していることに気づき弾けるように席を立つと急いだ様子で階段を上がっていった。


「ミキストリア様の聖人扱いも浸透しておりますな」


バートが半ば呆れたように呟いた。


「回復魔法が使えればどなたにも出来ることですのに、少々大袈裟ではないかと思いますわ」

「いえいえミキストリア様、グレータヒール以上を何度も連発できる回復魔術師も多くありませんから」

「聖魔術師も特訓したほうがいいかもしれませんわね」


ミキストリアのセリフにバートが何か言いかけたところで、ギルドマスターを連れた受付嬢が戻ってきたので会話が中断されたのだった。


「ギルドマスターをしておりますアリトンです。バート様にミキストリア様、今日はどういった御用ですかな?」

「アリトン殿、討伐遠征でオークを沢山狩ったのでな、そのお裾分けだよ」


ミキストリアは解体所にオーク10匹とリザードマン5匹を出した。中型の魔物が15匹も入るミキストリアの収納を見て、ギルドマスターはじめ居合わせた人は声もなく驚くのだった。


「魔物の群れは大部分退治したので、大きな問題はこれ以上起こらんだろう。討伐隊用として15㎏ほど肉を宿に届けてくれ。後はギルマスの好きにして構わん」


その後、先発した連絡士官が朝一でラーキリアに向かったことも確認した。


解体所から受付に戻ると、ミキストリアは大銀貨を出しながらギルマスに頼んだ。


「ギルドマスター、シェヴァニーに早馬を頼みたいのです。明日の午後早くに着くように」


アリトンは、大銀貨が危険な品であるかのように大慌てで手を引っ込めた。


「聖ミキストリア様、素材をこんなに頂いてますので、これ以上頂けません。早馬くらいギルマス権限でどうとでもさせていただきます」

「え? ですが」


周りでやり取りを聞いていた冒険者の一人が周囲の輪から出てきた。


「ギルマス、何カッコ付けてんだ。聖ミキストリア様にはウチの婆さんも治してもらった。ギルマスに言われるまでもねぇ、俺がひとっ走り行ってくらぁ」

「お前だってカッコ付けてるじゃねぇか。俺だって聖ミキストリア様にはご恩がある。俺に行かせろ」

「いや俺だって」


次から次へと自分が行くと言う冒険者が出てきて収集がつかなくなった。


(これがぐだぐだというやつでしょうか? さてどうしましょう)


ミキストリアは笑顔のまま成り行きを見守っていたが流石に困惑も感じてギルマスに視線をやる。


「ええぃお前ら、そこまでだ! 話がまとまらねぇ。聖ミキストリア様の恩を言い出したら街の住民全員になりかねねぇ。最初に言い出したモーリー、お前が引き受けな」

「おうよ、ギルマス!」


ミキストリアは紙を貰い、サラサラとシェヴァニーに居る祥子に宛ててメッセージを書いた。まだ秘密だがナカスチャーカ近くでダンジョンが見つかったこと、それがここ最近の魔物出現の原因であると推測していること、その確認のために遠征が延びたが無事にやっていること、今ナスカチャーカに居てこれから領都に行くこと、すぐにシェヴァニーに戻るからそこで待っていてほしい、と言うような内容である。


(こうして祥子に手紙を書くのは初めてですね。何と言いますか照れますわね)


ミキストリアは赤面しながらメッセージを仕上げたが、周りにいた冒険者ギルド関係者が何かを悟って温かく見守るような目になったのには気づかなかった。


書き終わると、ミキストリアは大銀貨を一枚、ギルドの受付カウンターに置いた。


「どなたも代金をいらないと言うので、こちらに置いておきますわ。そうですね、孤児院にモーリーさんの名前で喜捨するのが良いと思いますわ」



翌日、バートとミキストリアがラーキリアを目指して移動しているとちょうど昼前ごろ、ラーキリアから来る大隊とすれ違うことになった。ちょうど昼どきであり、情報交換を兼ねて大休止することとなった。


中隊2つというエルウィン団長の依頼に対して、大隊つまり中隊3つ分の人員が送られてきていた。これは、最初に出た中隊を交代させる、という侯爵の意図があった。ミキストリアはこれを大いに喜んだ。


(お父様、ありがとうございます! これでシェヴァニーに居る祥子達も安全に戻ってこれますわ)


バートとミキストリアは翌日夕方、領都に戻った。10日ぶりの領都であった。


読んだいただき、ありがとうございます。評価、感想おまちしてます。

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