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異世界ヒーラー世界を治す  作者: 桂木祥子
4章 侯爵領編
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シェヴァニーの討伐戦2


2日目、ゴブリンと食べ残ったオークを焼却処分にした後、野営地を引き払って南進した。たびたび魔物に遭遇するが、バートとミキストリアのサーチで事前に魔物の位置や数を把握しているエルウィンは的確に部隊を配置し危なげなく全てを対処していた。ここまでミキストリアはヒールを使っていないのが如何に安定した討伐だったかを証明していた。


「何というか楽ですな。楽して文句を言ったらイカンのですが」


エルウィンの言う通りだった。


5kmほど進撃した箇所では、昨日ミキストリアが見た魔物の影が濃いところだったのだが、それぞれの群れは群れは多くても10匹であり、それを事前に察知した情報を持つ騎士団により包囲、個別に殲滅されるのだった。全く危うげがなかった。対象の魔物を討伐して後始末が大変になるところもミキストリアの収納で終わるので進撃も速かった。


「うーむ、収納魔法が使える魔術師を養成して隊に加えるべきですな」


バートがエルウィンに言う。


「その通りだな。進撃速度がこうも変わるとはな。サーチによる敵の事前察知も有効だ」

「うむ、全くだ」

「団長、このことはお父様には伝えてあるのですが、実はサーチも収納も闇属性なのです」

「はい? 今何と?」

「その2つとも闇属性魔法なのです」

「何ですと!?」

「それが事実とすれば、いや、ミキストリア様を疑って言っているのではないですが、あまりにも、そう余りにも常識はずれな内容ですぞ」

「ええ、最終確認中ですがおそらく間違いありません。団長に報告する間も無く討伐に来てしまったので申し訳ないのですが」

「いえ、最終確認中とあればそれもやむを得ませんでしょうな」

「あぁ、それでお館様は闇属性の騎士を探していたのか……」


エルウィンは先だってローレンスに呼ばれて騎士の中で闇属性を持つものがいれば連れてくるように言われたことを思い出したらしくその話をミキストリアにした。


「お父様が闇属性を確保しようとしているのですわ」

「ええ、それは急ぎすべきことですな」


それから2kmほど進んで野営することとした。この戦闘回数をこなす進撃の速度としては、異常に速かった。


3日目、2kmほどは魔物の数が少なく、その後の3kmはオークでなくリザードマンばかりであった。リザードマンは二足歩行し、前腕で武器を使って攻撃してくる魔物である。膂力も強く、鱗模様になった外皮も硬いために準備が無い場合には強敵であるが、リーチが短いために、リザードマンの間合いの外から攻撃できる武器・能力があり、リザードマンの攻撃を防御や回避できれば問題のない敵である。逆に、出会いがしらなど、リザードマンの間合いで戦いなる場合には要注意なのだが、ミキストリアが常時遠距離サーチしているこの遠征では何の問題もなかった。


「オークは出ずリザードマンばかりか」

「一体どう言うことかさっぱりわからんな」


ミキストリアはサーチをMP増量で強化した上、範囲を絞りつつ方向を振って広範囲をサーチするという「ミキストリア式レーダースキャン」で2km先を探索していた。ミキストリアも100m半径くらいのサーチはできるのだが、さすがに30㎞先まで1m幅のサーチ範囲を伸ばすことはできず、4、5㎞先までが限界であった。今回はロックバードの件もあり、高さ方向へもサーチ範囲を広げているため2㎞先がサーチ限界なのである。


「団長!」

「どうしました!?」

「これは、……ダンジョン?」

「ダンジョン?」


あまりの予想外に団長2人もミキストリアの言葉をおうむ返しするだけだった。


ミキストリアは眉を軽く八の字に顰めた。ミキストリアにも意味がわからなかったからである。


「ええ、この先の魔物はリザードマンばかりなのですが、その先にダンジョン、正確にはダンジョンの入り口があるようです」

「ダンジョン!? それは確かですかな?」

「わかりません。わたくしもダンジョンがサーチに出てくるのは初めてで……」

「それももっともですな。ダンジョンといえば王領に一つあるだけ。それがあるからその地は王家管理になったとも言われるほど」

「距離は?」

「約2kmほどでしょうか」

「そこまでの魔物は?」

「ほぼすべてリザードマンです。少なくありませんがこの人数であれば問題ないかと」


エルウィンは目線を落としてしばらく考え込むと、意を結したかのように顔を上げる。


「行ってみるのが一番ですな。

 連絡士官! お館様に報告だ。ダンジョンと思われるものを発見、確認に向かう、と」

「団長! 上申」


エルウィンの副官のジェストであった。


「何だジェスト、申せ」

「はっ。我々のこれまでの進路からすると、ここから東に出ればナクスチャーカに近い街道に出ると思われます。お館様にお願いした中隊とは早ければラーキリアで、こちらが早ければ領都で落ち合うことになります。バート隊長に出向いていただき、抜本的な方策をお館様と練ったうえダンジョンの抑えにかかるべきと」

「ジェスト、言い分はもっともだ。連絡士官はシェヴァニーに戻るのではなく、東ヘ進み街道から領都に向かうのがよいだろう。

バートを送るのも賛成だ。ただし、ダンジョンの詳細がもう少しはっきりしてからにすべきだろう。ダンジョンがあるかもしれない、いやミキストリア様の言葉を疑うわけではないが、ダンジョンがあるというだけではお館様も具体策は立てられん。

であるから、ダンジョンかもしれぬものを発見したという第一報は今送る。東行きでな。

その後、ダンジョンの様子などもう少し詳細が分かり次第、バートを送る」

「それがいいであろうな」


バートも賛成した。


「連絡士官は分隊を1つ連れていけ。街道まで、いや街道でも会敵することもある。ミキストリア様はおらんから楽はできんぞ」


エルウィンは悪い笑顔で連絡士官を見た。


「はっ。では私がブラボー隊第1分隊を連れて出ます」

「よし。途中、中隊にあったら街道に出た地点を知らせ、中隊はそこから西進してこちらに合流するように伝えよ。中隊が動けばこちらでもわかるから合流できるはずだ」

「はっ」

「お館様には詳細判明し次第バートを送ると申し伝えよ」

「はっ」

「ナクスチャーカに着いたらシェヴァニーの別邸に帰りが、そうだな……、3日遅れるという早馬を出せ。問題は全く起きていないが、侯爵家にとって重要な発見があったので遠征を伸ばす、と。秘匿扱いだ」

「はっ」

「行け」


エルウィンは連絡士官がその場を離れていくのを見送ると、残った指揮官達を見回した。


「さて、ダンジョンだとしてどうするかの作戦を立てておかねばならんな」


この日はここに陣を張り、作戦会議となった。


読んだいただき、ありがとうございます。評価、感想おまちしてます。

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