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異世界ヒーラー世界を治す  作者: 桂木祥子
2章 修行編
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新魔法の改良


物理防御魔法イージスを形にしたミキストリアであったが、収納で対応できない火魔法、風魔法の防御のアイディアは完全に行き詰まっていた。


これは祥子も七海も同じであった。2人にとってはそもそも火魔法も風魔法も、想像でしかなく、雲を掴むような話だったのである。まだ土魔法で岩が矢になって飛んでくるというほうが、原理はわからなくても、物理現象として考えることができた。火魔法の火は何が燃えているのか、そもそも燃えているのかどうかもわからない。風が矢のように飛んでくる、刃のようになって切れるというのは、作り話の世界であり、科学的な知識で対応できるとは思えなかったのだ。


ミキストリアにしても、火水風土魔法を使えないため、使ってみせることもできず、また、具体的な説明も難しかった。


「困ったよねぇ」


心底困ったような表情で言う七海が、ミキストリアには不思議だった。


「七海さんは何が心配ですの? こちらには火魔法を使える人はいませんわよね?」

「うん、いないよ」

「では何を?」

「火魔法なんかはないんだけど、似たようなものはあってさ、例えば火炎放射器」


ミキストリアは、七海が向けてきたスマホを見た。筒のようなものの先から2メートルほどの炎が一直線に伸びていた。


「これは、火を噴き出す道具ということですのね」

「そう。あと、催眠ガスとか毒ガスとか、その空気を吸うと寝ちゃったり毒に侵されたりするのもあるの」

「みき、前にテラスに殺虫剤を撒いたことがあるでしょう? あれは虫用なんだけど、人用って言うのもあってね……」

「何という……」

「うん、ひどい世界だと思うよ、ミキちゃん」

「……」

「風魔法とは全然違うと思うけど、こういう空気系も防げたら良いなーって」

「……」

「まぁミキちゃんが何か思いついても試せないけどね」

「そうね。わたしたちが魔法使えるわけでもないし」

「殺虫剤かけるのも無理だしね」

「だから、もし万が一の時に、効くかもしれないくらいで、出す練習だけかなぁ」

「どのようなものを七海さんは考えてらして?」

「例えば、……」


そう言って七海が言ったのはいくつかの案だった。


「キャンセル」ー魔法の発動をなかったことにする。もともと言っていた案。

「フリーズ」ー瞬間冷凍。火には効きそう。空気系も温度が極限まで下がれば液化するかも。冷えて重くなれば軌道も変わる可能性も。


「フリーズはクールダウンの極端なやつで、火も凍る、わけはないけど消えちゃう的な」

「そういうことですのね」


ミキストリアは、本来真面目な性格なので、七海に言われたことを自分の中で消化しようと真剣に考えていた。元々こちらの世界での危険の話で、魔法を無効化するような防御は必要にはならないということには気づかなかった。


ミキストリアは、バーライト魔法の光を 物理的に接触することなくキャンセルする方法を見つけるべく実験を始めた。バーライト魔法の光源にバーライト魔法やライト魔法を重ねると消えたり消えなかったりした。その違いは分からず、ライト魔法の延長線上には答えはない気がした。


次にバーライト魔法に、雷魔法であるライトニング魔法を重ねてみた。ライトニング魔法を光源に当てるのは難しかったが、当たればバーライト魔法の光は消えた。少なくとも、魔法で魔法を打ち消すことができるのはこれで判明した。


「さすがだね、ミキちゃん」

「頑張ったわね、ミキ」

「思いの外難しくはありませんでしたわ。拍子抜けというものですわ」

「なんかミキちゃんがドヤってる」

「まぁ、防御魔法なんて使うチャンスがない方がいいからね」


ミキストリアはその後も試行錯誤を繰り返した。今までのライトニング魔法は威力を上げるために、終了点を地面にしていたのだがそれをやめ、開始点と終了点で光源を挟むようにした。命中率は上がったがライトニング魔法が負けて光が消えないこともあった。


ミキストリアは、開始点と終了点を近づけることで減ったMP消費を以前と同じMPを使うことで威力を上げ、安定してライト魔法をキャンセルすることができるようになった。



フリーズは簡単であった。発想も温度調整魔法「クールダウン」の極限版だったからである。キャンドルの火はすぐに消せるようになり、カセットコンロの火も消せるようになった。どこまでの火なら消せるのかは試せないままだった。


「心配は残るけど、できるのはここまでだね」

「これ以上は試せないわよ」

「ミキちゃん、良くやったよ、すごいよ」

「お二人のおかげですわ」



ミキストリアが苦労したのはこの後だった。この段階では火や魔法効果を迎撃できるようになっただけである。発見する必要があり、それはサーチ魔法であった。


イージス魔法の一部である常時発動のサーチ魔法を改善して、火や毒ガスなど収納できないが危険なものを検出する必要があり、さらには区別する必要があった。イージスのサーチは単純化しすぎていた。ミキストリアは試行錯誤を繰り返し、低MP消費で一定期間常時発動し、危険なものを発見し、収納できるものとできないものを区別するようなサーチ魔法を完成させた。


その後は簡単で、収納できれば収納、できないものは念のためフリーズした後、追い打ちでライトニング魔法を改造したキャンセル魔法を当てるように連携するだけであった。


バージョンアップしたイージス魔法の誕生である。実戦でのテストこそできなかったが、ミキストリアの高度な魔法に翔子も七海も安心した。その2人の様子を見てミキストリアも安心すると同時に苦労が報われた気になるのであった。


読んだいただき、ありがとうございます。評価、感想おまちしてます。

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