ランチのお誘い
短いです…
祥子は業務によって出社したり在宅リモートワークしたりと柔軟な働き方をしていた。ある日、出社して都心に来ている祥子は七海に誘われてランチを一緒にすることになった。
「七海、最近忙しいって言ってたけど、ランチに誘うなんて珍しいわね」
「うん、ミキちゃん抜きで話したいこともあってさ」
祥子は七海のその台詞に身構えた。お気楽なランチにならないことがわかったからである。
「それはどんなこと?」
「ショーコはついていくつもりなんでしょ?」
「な、何を急に。どうしてそう思うの?」
「見てればわかるよ。どんだけ長いのよ、わたしたち」
「敵わないわねぇ」
「で、どうなの?」
「行けるかどうかなんてわからないじゃない」
「そうね」
「でも行けるなら」
「そっか」
「七海は?」
「正直、興味はあるよ」
「うん」
「でも違うかな、って」
「うん。そっか」
「なんかごめん」
「七海が謝ることじゃないでしょ」
「そだね。でも」
「でもほら、七海が言ってた3人でなんかやろうってやつ」
「うん」
「それをやって、わたしたちが行っちゃったら七海だけ残るってことでしょ」
「そうなるね」
「面倒ごと全部お願いすることになるから、今のうち謝っておくわ」
「何それ、笑う。いや笑えないじゃん!」
「ふふふ」
「行くなとは言えないしねぇ」
「うん」
「ミキちゃん帰りたがってるしねぇ」
「そうね」
「ショーコはあっちで何するの」
「それが悩みなのよ」
「やっぱりか」
「ミキは個人プレータイプだから、組織力で頑張る的な感じ?」
「日本っぽい」
「あと情報? 内政チート?」
「まぁそうなるよね。魔法で無双とか、キャラかぶるし」
「ま、行けたらっていう、全部仮定の話よ」
「ショーコはわかんないけど、ミキちゃんは戻るよ」
「そう思う?」
「こっちに骨を埋めるならあんなこと言わないよ、女神様も。『力をつけろ』って修行に来たってことじゃん」
「やっぱりそうよね」
「うん。ショーコは行っても用が終わったら帰されるかもね」
「えー、そんなことあり?」
「わかんないじゃん。だからショーコが戻ってきても大丈夫なように、わたしは残るよ」
「わたしが行けたらってことだけどね」
「まぁそこは頑張ってお願いするしか」
「女神さま、お願いします」
「いつ、って言うのも問題」
「そう?」
「ミキちゃん最近すごいじゃん」
「そ、そうね」
「もう十分に力ついたって、いつ呼び戻されても不思議はないよ」
「ま、待って、わたし準備できてない」
「だから早くしないとって今日言おうかと」
「ふぇーん」
「まぁ、頑張りなさいな」
「色々ありがとう」
「お土産よろ」
「帰ってくる前提!?」
「「あははは」」
初めこそ身構えた祥子だったが、進むべき方向が固まり、すっきりとした気分だった。
またこれは、遠くない将来に必ずくるであろう突然の別れに向けて、七海が祥子に送る惜別だった。
七海の気遣いが嬉しかった。
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