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封赦*葎札  作者: 一ノ瀬 水々
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Ecto*Plasm*Card

これは、科学ではなく“人間”が発達した世界のお話。

 野山を走る少年がいた。大きな瞳に短い黒髪を携えた精悍な顔つきである。木の上に登ってさらに上を見上げた。その視線の先には、山頂が大きくえぐれた形の、通称三日月山がある。

「今日も自己ベストを更新してやるぞ!」

 言うや否や少年は山に向かって走り出した。木々の間を飛ぶように駆け抜け、途中動物たちを追い越しながら、あっという間に三日月山の頂に到達した。眼下には彼の属する村が見える。一息入れながら、腰にぶら下げた袋から弁当を取り出した。

「やっぱり昼ごはんはここで食べるに限るよ。母さんも来ればよかったのに」

 包みを開けると、そこには大きなおにぎりと、一枚の手紙が入っていた。


 シィンへ。日が落ちるのが早くなってきてるから、早く帰ってきなさいよ。


 母の文字で短く要件が書かれていた。「ありがと、母さん」と笑顔で手紙をポケットにしまって、シィンはおにぎりにかぶりついた。


「さて、家の手伝いもあるしそろそろ帰るか」

 荷物をまとめて帰り支度を済ませる。その時、ふと眼下の村に目をやると、赤い煙が昇っている。「敵襲の、狼煙だ・・・」シィンの鼓動がドクリと強く波打つ。彼の家自体はこの三日月山の麓にあり、村から離れている。しかし、村には彼の大切な、大切な友人や親戚が多く住んでいる。

「行かなきゃ」

 居ても立っても居られなくなったシィンは、足元にくっきりと足形が残るほど強く蹴り出し、先ほど山を駆け上がった時とは比べ物にならない速さで村に向かっていった。


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