◆気になる存在◆
◆気になる存在◆
「見たよ〜。夕実〜。朝から手つないで登校なんて見せつけてくれるじゃな〜い?」
「おはよ〜、真咲。あれは違うの。
手をつないでたんじゃなくて正確には引っ張られてたが正解!」
「どっちが正解でもそんなことどうでもいいの!
結局一緒に来たことは事実でしょ?
とうとう夕実も涼太君の熱烈アピールに心動かされたのかな〜??」
また真咲は〜・・・・・。
朝から私で遊ぶつもりなのね・・・・・。
でも、正直涼太に心が動いてるのは事実なのかも知れない。
特に今日は涼太のことが気になって仕方がない。
誰かが呼ぶ
「涼太〜。涼太君」
っていう名前にすら反応しちゃうし、
涼太が話してる声はどんなに遠く離れててもなぜか聞こえちゃうんだよね。
これって、きっと凄く涼太を意識してるからだと思う。
「誰かに取られる前にさっさとOKしちゃいなさいよ。」
昨日敬子に言われた言葉が胸をよぎる・・・・・・。
そうなんだよ・・・・・
涼太は私なんかに固執しなくても、黙っていても女の子が寄ってくる存在。
きれいな肌にサラサラの髪。
思わず足を止めて見惚れてしまうほど魅力的な微笑み。
細く引き締まった身体。
柔らかく、安心させてくれる響きの声。
どこをとっても悪いところが見当たらない。
私にとって完璧な存在なんだよ、涼太は・・・・・・。
きっと付き合うことになったら、そんな涼太を独占したくて、私だけを見ていて欲しくて
チョットのことで嫉妬してしまうんだと思う。
「こんなはずじゃなかった・・・・・・」
涼太にそう思われて軽蔑されるくらいなら、最初から好きにならない方がいいんだよね。
でも・・・・・・
もうすでに私の胸は苦しいの。
どんなに自分に意地を張っても、心が叫んでるのが聞こえるよ。
「涼太が好き!!涼太と一緒にいたい。」
誰か・・・・・・。
勇気を私に下さい・・・・・・・・。