◆縮まる距離◆
◆縮まる距離◆
涼太の付き合ってる宣言は納得がいかなかったものの、それ以外はとっても楽しい時間を過ごせた。
しかも、朝はあんなに涼太に纏わりつく女の子の視線が痛かったのに、
堂々と交際宣言したのが功を奏したのか、そんな視線を向けられることもなかった。
でも、実際付き合ってるわけじゃないんだけど・・・・・・。
「じゃ〜、今日はこれで解散。また是非開催しましょう!」
今回の主催者、ボーイッシュの彼女が場を占める。
彼女は、中川 麗香ちゃん。
中学からバスケを始めて、高校でも続けるらしい。
かっこよくて憧れちゃうな。
「また明日ね〜。」
「ばいば〜い!」
皆それぞれ自分の家へと帰っていく。
さ〜、私も帰ろう。
「夕実、送るよ。」
「えっ。いいよ。もう遅いんだから早く帰らないとおうちの人心配するよ。」
「夕実を暗い夜道一人で帰らせるわけにはいかないよ。」
えっ?
なんか涼太今凄く優しいんだけど・・・・・・。
いつもの強引さがなくて、ちょっとキュンってしちゃうじゃない。
「大丈夫・・・・だよ・・・・・。」
「クスっ。女の子は強がらなくていいの。」
ちょっと、涼太どうしちゃったの??
なんか凄くドキドキする・・・・・・・。
まるでホントに私たち付き合ってるみたいじゃない。
「ね〜、涼太。
どうして私なの?」
素朴な疑問を投げかけてみた。
涼太は、少し驚いた様子で、
「初めて僕の名前呼んでくれたね。」
嬉しそうに微笑む亮太。
やだ。
どうしよう・・・・・・。
急激に自分の気持ちが傾いていくのが分るよ・・・・・・。
「夕実に初めて裏庭で会ったとき、凄く背中が寂しそうだったんだ。
それで、気になって近づいたら急に
『頑張るぞ〜!』
なんて叫びだしてさっ。
何か一人で抱えて強がってるように見えたんだ。
だから気になっちゃったっていうのがきっかけだな。」
なんで?
何にも誰にも話してないのに、涼太は私の寂しさ分かってくれるの?
今まで我慢していたものが溢れ出し、涙が頬を伝った。
これじゃ〜、涼太に迷惑かけちゃう。
涼太に気づかれないようにそっと涙を拭い、わざと明るい声を出した。
「そうなんだ。今日は送ってくれてありがとう。
もう家すぐ近くだから大丈夫だよ。
また明日ね。」
涼太の顔を見ることは出来なかった。
きっと今涼太の顔を見たら泣き崩れてしまうから・・・・・・。
「そっか。じゃ〜、また明日な。」
そう言うと、涼太は元来た道を帰って行った。