◆最悪な出会い◆
◆最悪な出会い◆
あれから早いもので二週間が経ち、今日は高校の入学式。
まだ、突然発作のように涙が襲ってきて、泣き崩れてしまうこともあるけど、
何でも一人でやらなければいけなくなった今、
日々忙しくてゆっくり悲しみに浸る暇がないのはある意味いいことなのかも知れないな。
新しい制服に身を包み、不安と期待を胸に学校へと向かう。
『ひかり高等学校入学式』
校門を入ると歓迎ムード一色で、堅苦しい入学式の雰囲気とは違い笑顔で迎えてくれる先輩達。
そう。
こういう雰囲気に惹かれて私はこの高校を選んだのだった。
しかも、イケメンぞろい。
新一年生の女の子たちは、みんな目がハート。
みんなこの学校で素敵な人を見つけて恋愛する気マンマンなんだね。
私も、そのつもりでいたんだけど・・・・・
しばらくはいいかな。
自分に余裕がなくて、そんな浮かれた気分になんて到底なれそうにもないや。
私は少し新鮮な空気が欲しくて裏庭に出た。
あ〜気持ちいい!!
都会にあるにも関わらず緑が豊富で、自然を肌で感じることができるのも
この学校の魅力の一つかも。
「頑張るぞ〜!!」
空に向かって大声で叫んでみた。
お父さん、お母さん聞こえた?
私は負けないよ。
いつか歳をとって二人の元に向かった時、
「良く頑張ったね。」
そう言って褒めてもらいたいから。
「クスッ。何を頑張るのかな?」
「ぎゃっ///」
「驚かせてごめんね。でも、ぎゃっ///って・・・・・
色気がないな。」
何よ。この人。
せっかく気持ちよく叫んでたのに、勝手に入り込んできた挙句の果てに、色気がないですって??
あったまきた〜!!!
「ちょっと、あんた、何なのよ。
突然やってきて名乗りもしないで。失礼じゃない。」
「ごめん。ごめん。あんまり気持ちよさそうに叫んでるから、邪魔しちゃ悪いかと思って。
僕は、一年の加藤 涼太。よろしくね。」
邪魔しちゃ悪いって、邪魔しまくり・・・・・・
って言うか、やめてよ。
そんな素敵な顔で微笑まないでよ。
怒れなくなるじゃない。
よくよく見るとかなりイケメンだ。
中性タイプのイケメンっていう表現が一番合ってるのかな〜。
童顔で、かわいらしい感じだけど、甘すぎずいい感じの男らしさが出てる感じ。
「何、じっと見てるの?
もしかして僕に見惚れちゃった??」
「バッカじゃないの。
なんで、あんたみたいな失礼な奴に見惚れなきゃいけないのよ!!
自惚れないでよ!!!」
げっ。最悪・・・・・
ちょっとでもイケメンだなんて思った自分が馬鹿だった・・・・・。
「まだ君の名前聞いてないけど。」
「名乗る必要なんかないでしょ!同じクラスかどうかも分からないのに。」
「君っておもしろいね。僕にそんなこと言う人初めてだよ。」
そう言って、また素敵な笑顔を見せる。
う〜。こいつしゃべらなきゃいい男なのに、なんで顔に似合わず性格極悪なの??
「私は、あんたの周りにいるような女の子とは違うの。一緒にしないでよ。」
あ〜、頭がおかしくなりそう。
あんなイケメン間近で見たのも初めてなら、イケメンに絡まれたことも初めて。
私はただ平穏無事な生活を送りたいだけ。
あいつといると調子狂うよ。
あっ、そうだ。
式の前にクラス分け発表されてるはずだよね。
特に知っている子はいないだろうけど、私は何クラスかな?
張り出されたクラス分けには・・・・・・。
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:
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加藤 涼太
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:
:
松田 夕実
:
:
ゲゲッ!!!
最悪。こんな偶然ってあるの〜??
何もあいつと同じクラスにならなくたっていいのに・・・・・・。
これが涼太との出会いだった。