◆下校◆
◆下校◆
一日中涼太のことばかり考えている間に、いつも間にか下校時間。
「夕実。帰るよ。」
「へっ??」
「何変な声出してんの?ほら、行くよ。」
私のカバンを持ち歩き出す涼太。
「待ってよ〜!!」
急いで涼太の元へ走っていく。
「何で涼太と帰らなきゃいけないのよ!!って言わないんだ??」
嬉しそうに私の顔を覗き込む涼太。
言えるわけないじゃん・・・・・・。
自分の気持ちに気付いちゃったんだから・・・・・・。
こうして涼太と一緒にいられることが嬉しくて、ドキドキして、幸せなんだから・・・・・。
「もう、知らない!」
私の精一杯の強がりに優しい笑顔をくれる涼太。
「夕実、今日急いでる?」
「ううん。大丈夫だよ。何で?」
「ちょっと買いたいものがあるんだけど、付き合ってもらってもいい?」
「うん。別にいいよ。」
やった〜。
少しでも長く涼太といられるのなら、どこにだって行くよ。
それに、涼太の買いたい物って何だろう。
凄く気になる〜。
駅の近くの雑貨屋さんみたいな所に到着。
女の子が喜ぶようなかわいらしいものが沢山並んでいる。
へ〜。涼太って顔もちょっとかわいらしい中性的な感じだけど、
こういうお店も好きなんだ。
いつも口調は柔らかいけど、強引で男っぽい感じがあったから、ちょっと意外かも・・・・・・。
あっ、涼太買い物終わったみたい。
結局何買ったんだろう・・・・・・。
どんなものに興味があるのか知りたかったけど、
あんまりくっついて歩いてジロジロ見るのも失礼だし、
何よりも私自身が見ているだけで楽しめるお店だったってこともあって、
涼太が何を買ったのかは結局分からなかった。
「涼太ってこういうお店好きなんだね〜。
ちょっと意外。」
お店を出て早速聞いてみた。
「嫌いじゃないけど、ここに入ったのは初めてだよ。」
そう言うとニッコリ微笑んで私の手を握ってきた。
「朝は、ちゃんとつなげなかったからね。」
そう言ってラブつなぎしてくる涼太。
嬉しいけど・・・・・・
恥ずかしいよ・・・・・・。
だって、こんなにも涼太が近くにいる。
近づけば近づくほど涼太のこと好きになっていく自分が怖いくらい。
その後とりとめもない話をしながら家へ向かう。
あと少しでこのつないだ手も離さなきゃいけない。
家に帰れば一人・・・・・・。
もう一人の生活には慣れてきたけど、こうやって人のぬくもりを感じてしまうと、
一人になった時寂しく感じちゃうんだと思う。
家に近くなるほど口数の少なくなる私。
そんな私を包み込むように優しく握られた手に力を入れる涼太。
「うち、ここのマンションなんだ。
送ってくれてありがとう。嬉しかった。」
精一杯の笑顔を作り涼太の顔を見る。
「はい。これプレゼント。」
そう言うと、さっきのお店の袋を渡された。
「えっっ?誰に渡せばいいの?」
「何、意味の分からないこと言ってるの?
僕から夕実への初めてのプレゼントだよ。」
「ど・・・して・・・・?」
「夕実、今日誕生日なんでしょ?
急だったから、いいもの買ってあげられなくてごめん。」
そう言うと、ちょっと恥ずかしそうに私から目をそらす涼太。
「知ってたの?何で?
私、そんなこと何も言ってないのに・・・・・・。」
「くすっ。彼女の誕生日ぐらい知ってて当然でしょ?
まあ、本当のこと言えば、斉藤さん(真咲の苗字)が教えてくれたんだけどね。」
「嬉しい///開けてもいい?」
「もちろん。気に入ってもらえると嬉しいな。」
そっと開けると、そこにはキラキラ光るハートのストラップが入っていた。
なんて綺麗なんだろう・・・・・。
揺れるたびに光に反射してキラキラ光る。
まるで涼太みたい・・・・・・。
そこにいるだけで光り輝いて、私に温かい気持ちをくれる涼太と同じ。
「ありがとう・・・・・。」
そう言うのが精いっぱいだった。
「何で泣くの?」
「嬉しくて・・・・・・。」
その瞬間私は涼太に抱きしめられていた。
「僕、絶対夕実を守るから・・・・・」
「ちょっ、ちょっと・・・・・涼太・・・・・
ここ、外だよ・・・・・。」
「あっ、ごめん////」
赤くなる涼太。
涼太のかわいいところ発見!
もう、涼太にはかなわないや。
どんなにあがいても、涼太を嫌いになんてなれない。