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ショートショートII「浮気」

作者: 有沢翔治

 わたしの恋人は最悪だ。浮気をしている上に、いつもとことん白を切るのである。相手は解っている。長い髪の女。しかしどんなに問い詰めても白状しようとはしない。

 ある日の晩なんて、その女がクローゼットの中ですすり泣いていた。それで、たまらずわたしはクローゼットを指差した。

「白い服が見えてるんですけど?」

「え、お前、なに言ってるの? そんなもの見えないじゃん」

 動揺しているらしく、青ざめ、声も震えている。しかしなおも浮気は認めようとはしない。つくづく嫌気が差してくる。さも本当にいないかのように振る舞っているのだから……。

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