恋と好き
「へぇ」
若い男がそう言い放つ。
「な、なによ」
若い女がそう言う。
「別にー。ただ、お前ってそんな趣味があったんだなって思ってさ…」
まじまじと、若い女が持っているその紙を見続けている。女が持っているのは、二次元キャラ、つまり、アニメーションキャラだ。
「別に、私の趣味なんだから、あんたには関係ないじゃない！」
「いや、否定してるわけじゃない。ただな、お前みたいなリア充っぽい奴にしては意外というかなんというか、まぁつまり、成績優秀、容姿端麗、スポーツはそこそこのお前にしては…ってやつだな」
男は納得したように頷きその場を後にしようとした。が、女が男の袖の裾を引っ張り引き止めた。
「私は、あなたみたいな男は大っ嫌い！」
と言って、成河高校三年六組の教室を全力疾走で後にした。
男はその場に取り残されて、ボーぜんと、立ちすくみ
「俺、嫌われたの？」
そんなことをこの誰もいない教室でポツンと、呟いた。
次の日の朝、男は一人で登校。ちなみに清々しい快晴である。男はいつも早めに登校して、好きなライトノベル小説を、十分程度読む。そしていつものホームルームを受け、友達と喋ったり、話題がなければまた、本を読む。そんな学校生活だ。
「ホームルーム始めるぞー」
チャイムが鳴って先生が入ってきた。そして、一人一人名前を呼び出席確認をする。
「んー？なんだ、今日は、川上は、休みか…」
先生が口に出した川上咲、そいつは昨日、男に「大嫌い」と言い放った女のことである。
「まぁあとで家に連絡…」
ガラガラ…
教室の後ろのドアを、勢いよく開けたのはその川上だった。
「すみません。遅れました…」
弱々しく、今にも泣きそうなその声はなんだか、小さい頃の彼女にみえた。
「なんだ遅刻か、珍しいな川上。でも、どんな理由があれ、遅刻は良くないぞ！気をつけなさい」と、少し怒られ、自分の席に着いた。そしてそのままホームルームは終了。
川上は机に突っ伏したまま動かない。話しかけようにもなんだか話しかけられない男。その男の名は天童龍樹。いたって普通の高校生。ただ、勉強だけは優秀で、川上と学年トップを争うぐらいの実力者である。ただ少し、コミュ障な部分があり仲が良くないとあまり話さないタイプなので、今の状況みたいに、話しかけようにも話しかけられない状況なのである。
「ねぇ、天童、なんで話しかけないのよ」
机に突っ伏している机がそう言った。否、机に突っ伏している川上がいったのだ。
「え、い、いやだって、なんか、すごい落ち込んでるし話しかけたらなんか、まずいかなぁって思っちゃって…」
自分がコミュ障だと悟られたくなかったらしいが。
「あんたってやっぱりコミュ障なのね」
バレてた。
「ご、ごめん…」
「別に謝らなくてもいいわよ？知ってるんだし。もともとそう言う人だし？」
そこまで言わなくてもと思った天童は少し口が引きつっている。
授業はいつものようにけだるく受けて、昼休みになった。
天童は、教室を出て、一階の食堂にパンを買いに行くのだが、今日は、生姜焼き定食を頼んだ。ご飯はおかわり自由で、400円。なかなか高校生のお財布には優しい。とまぁこんな説明はいいとして、十五分程度でその定食を食べ終わった。
「少し食べ過ぎたかな…まぁでも確かにパンは飽き気味だったから仕方ないんだけど…」
そんな独り言を口にして階段を上がっていたのだが、
上から見覚えのある女子生徒が階段を下ってきた。
「あら、奇遇ね。あなたも食堂で食事を？」
「まぁな、パンも飽きてきたしね…それより、なんでそんなことを聞いてきたんだい？」
「まぁ、その、そう！…気になっただけよ！」
なんだこのツンデレは。ありきたりすぎて逆に引くわ。
「そうか」
天童はあまり興味なさそうにその場を立ち去ろうとしたのだが…
「ま、待ちなさいよ！！」
「今度はなんだよ。まだなんかあんのか？」
正直、少ししつこいと天童は思ったのだろう。女子生徒を少し並んだ表情になっていた。
それを女子生徒は察したのか涙目になりながらも
「ほ、放課後！ 屋上に来なさい！話したいことがあるのよ！」
それじゃ、と言って女子生徒は階段を駆け下りていった。
天童自身はめんどくさいと思いながら自分の教室に戻っていったのだった。
「なぁ、川上、俺、放課後、あいつに呼ばれちまったんだけど…」
それだけで川上は察したらしい、暗い顔だった顔がさらに暗い、いや、怖い顔になった。
「それ、私に関係ある？」
「い、いや、急にどうしたの？」
相当怒っている。なぜかはわからないが相当怒っているのが見て取れる。
そして、川上は天童の胸ぐらを掴み
「あんたって、本当に大嫌い！」
天童を突き飛ばし教室から勢いよく出て行った。
天童は唖然とした表情のままなんでそんな顔するんだよと思った。いや、口に出ていたかもしれない。
初投稿となります。
文章は自信がありませんが、こんな主人公いいなとか、こういうヒロインいいなとか自分がいいなって思ったことをこれからかけたらいいなって思っています。
よろしくおねがいします！
