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そういうとこ

作者: 菱田哲

僕の『そういうとこ』を考えてみた。思い返そうと思った。

『俺に娘がいたらあんな男と出かけるような娘にはしない。あれっ見てみなよ。』

20代前半だろうな?若いカップル。


先日の日曜日、夕飯は同居する僕の母と大学受験を間近に控えた次男と妻の4人で評判のファミリーレストランへ出かけた。日曜日の夕飯時は混むから早めに行きましょう。並ぶの嫌いでしょ?


各々にお腹を満たして車に乗り込み、帰りにコンビニに寄って甘いものでも買って帰ろうかと相談していた時に1台の黒いピカピカに磨き上げられたスポーツカーが障害者専用駐車スペースに迷う事なくバックで止めた。障害者専用駐車スペースの枠線は通常の駐車スペースの四角の枠線よりも明らかに広い。

そんな障害者専用スペースに滑り込むようにハンドルを切り返し駐車した。


日曜日の夕飯時、評判の店の入り口近くの駐車場は満車に近い状態。次から次へとなだれ来るお客さんの車は第2駐車場に立つ警備員によってこちらこちらと手招きされ飲み込まれて行く。誰もそれに逆らうお客はいないのに。


『もしも、俺に娘がいたとしてあんな事を平気でする奴とデートには行かせない。ドライブなんてもっての外だ。きっとアイツはそういう家で育てられたんだろうな。アイツの親もあのスペースに駐車するような親なんだろうな。』この僕の話を次男も後部座席におばあちゃんを気使いながら座らせてから常識外れの馬鹿カップルの顔を窓越しに覗きながら聞いていた。

助手席で黙って眺めていた妻が『私の娘ならここは駐車してはいけないスペースよ。出してちょうだいって言うと思うわ』って言った。


長男は大学3年生で県外で大学生、次男も予定では4月には家を出て県外で大学生活をはじめる。結婚したての若い2人にも選挙権も得た成人になる2人の息子を持つ時間を間違いなく過ごしてきた。2人ともそろそろ50代になろうとしている。そりゃ生活していれば些細な事で喧嘩もした、子供の教育の考え方で大声で怒鳴りあいもした。

でもそういうとこ。そういうとこがこの人で良かったと思う。そういうとこなんだよ。つまり、そういう事だよ。『俺はファミマのシュウクリームのデカイやつね』って言いながら満車の看板を脇を通って出口専用との警備員の手招きにアクセルに優しく右足を添えた。




僕の『そういうとこ』です。

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