序章
お嬢様女子高での特権階級、生徒会を巡るドロドロが解決したりしなかったり。を目指しています。
よろしくお願いします。
辻褄が合わないところとか、後からちょこちょこ直したりしてます。
西日の差し込む廊下を、三人の少女たちが足早に駆けていく。
大方の生徒は下校したのであろう人気の無い廊下に忍び笑いと足音が小さく反響している。
「さっきのアレは傑作だったよねー。」
緩くウェーブのかかった栗色の髪を、耳の横でお下げに結っている少女が桜色の唇を綻ばせて言う。
長い睫毛に縁どられた、やや下がり気味の大きな瞳が少し意地悪気に細められる。
少し前を歩いていた背の高い少女が少しだけ歩を緩め振り返った。短く整えられた髪が頬にかかる。
「うん。ウケた、ウケた。さすが会長!あの娘も、え!?て顔してたもんね」
ともすれば美しい少年の様にも見える端正な顔立ちをしているが、口の端をにっと上げると、仄かに女性らしい色気が香る。
「これで明日も来てたら、逆に尊敬してしまうかもしれない。私」
言葉を重ねるのは真ん中を歩く、見事な黒髪を日本人形の様に胸の辺りで切りそろえた少女だ。
黒目勝ちな瞳と青白いほど白い肌、紅い唇。
少女の心持ちゆったりとした口調に少女たちは足を止め、弾ける様に笑いさんざめく。
「て、鍵!時間大丈夫?職員室しまっちゃうよ!」
長身の少女が慌てたよう言うと、少女達は笑いの余韻を漂わせせながら再び廊下を駆けるように歩きだした。
くすくす、くすくす、と笑い声が小波の様に廊下に響く。
三人の影が廊下に黒く長く伸びていた。