礼美編9
「 あわわわわわわ」
舞は両手を目の前に当てた、指と指は離れとても隠せていないのだが・・・
「 礼美やっるぅーw」
嬉しそうにはしゃぐいちごの方をに目をやる礼美、 慌てて目をそらし斜め上を向き唇を尖らせるいちご
「 ふいーふぃーふいー」
いちごは口笛を吹いているように見せかけたいのか? どう見ても口笛は出ていないのだが・・・
「 あっすあ、あのっす」
カズが言葉にならない言葉で話そうとした瞬間、礼美が先に口火を切る。
「 それでは私はこの辺りで失礼します」
ふと立ち上がる礼美、後ろでは先輩二人が相変わらず楽しそうに将棋を指している。
「 やったな箱めー」
「 喰らえ沖ー」
黒猫先生は離席していたようだ。
礼美がドアを開けようとしたら丁度黒猫先生が戻って来てドアを先に開けた。
「おお、今度はどうだった?」
「2人とも勝ちですよ」
「2人とも?引き分けなら解るが勝ちってなんだよw」
「次から勝てる魔法を掛けてあげたの」
「なんだよ魔法って」
黒猫先生は周りを見渡した、頭を抱える沖とドヤ顔の箱、いつもの風景だ、両手を顔に当て隙間から目が覗く舞、唇を尖らせ斜め上を向きながら礼美の後ろに着いてくるいちご、状況はあまり理解出来なかったが、口をパクパクさせるカズが1番気になった。目の焦点も合ってない。
「どうした?カズ」
「あ、あぁ柔らかかったっす」
「おーい、カズこっちの世界に帰って来い」
「何が有ったんだ?」
「レモンの香りが・・・」
「だめだこりゃ、魔法が利いてるのか知らんが大丈夫なんかなあ」
「それでは改めて失礼します」
深々と頭を下げいつものようにツカツカと教室を出る礼美と後ろ向きに手を振りながら出ていくいちご
「まったのぉーw」
扉が閉まったあと、微動だにしない舞とカズ、2人を交互に見比べた。
「全く何があったんだか」