礼美編 (莉愛vs虹)1
「 たのもーんごwwww」
「 姉貴、何言ってるのか分かんなねーからその語尾やめろよ」
毛凛高校将棋部に道場破り?が来ていた。莉愛と龍である。
「 おーおー情二先生から聞いている、わざわざ遠くから来てくれたみたいだね、情二先生はどちらに?」
「 こっちです、北海道から姉弟が里帰りするって聞いてね、県代表クラスの里帰りだ、このチャンスを逃すのも勿体ないからとうちの黒猫先生にも声を掛けたんだが今日はお見合いらしくてね、まあタイミングが合わないのは仕方ない、ということで先週お手合わせ願った毛凛高校さんどうかな?といきなり訪ねて来てしまって申し訳ないねー」
「 それは先日も聞きましたよ、ふふっ、先週2-3で負けてから虹野姉妹も気合い入ってね、姉も妹も少しだけ囲うようになったんです、いまだに喧嘩将棋というのでしょうか?本質はあまり変わってないのですけどね」
「 姉の莉愛さんが高1、弟の龍くんが中3、お姉さんは高校県代表クラスは間違いなくあるし、練習試合には丁度良いと思って声を掛けさせて頂いたんですが、なんせ急な話ですんません」
「 ただ、二人しか居ないからどうやって対局の組み合わせをどうしましょうね?折角強い方の胸を借りられるチャンスなのでなるべくみんな指させてあげたいけど」
「 盤駒が5組あるなら5面指しでも構わないんごwww」
「 ちょっ姉貴は黙ってろよ、高校県代表クラスが2人居るんだろ?片方で精いっぱいじゃねえか、順番に指して貰った方が良いんじゃねーの?」
「 弟くん、龍くんといったかしら?あなたも結構指されるの?」
「 いやー俺はアマチュア三段クラスしかないですよ、姉貴の足元にも及びません」
「 あらあら、うちの部員も二人以外は一級とか初段とかそんなレベルだから出来ればお相手してあげて欲しいかしら、うちは女子高なのもあってモテるかもよ?」
「 そんなん興味ねーですよ、将棋はいくらでも指すけど、初段相手なら3面指しでも良い勝負になるし」
龍は顔を赤くして俯いた、下を向いていてはっきり分からないがモテると聞いて顔がにやけているようだ。
「 そうしたらお姉さんが二面、弟くんが三面で良いかしら?少しお二人には大変かもしれないけど」
「 莉愛が三面指すんご!龍より少ないのは気分が悪いんご!」
「 姉貴、その語尾やめてくれよ、一緒にいるこっちの方が恥ずかしいんだよ」
結局莉愛が三面同時に指すことになった。
先鋒- 龍---紅子
次鋒- 龍---雪
中堅-莉愛---ひかり
副将-莉愛--桜(虹野妹さくら)
大将-莉愛--百合(虹野姉ゆり)
「 よっろしっくねー」
「宜しくお願いします」
紅子の元気の挨拶を口切りと同時に対局が始まる。
「 うっわ、二面って結構大変だな、道場のおっさんが二面指ししてた時3段だったから余裕だと思ったのに、って今度はこっちかよ」
「 龍、何慌ててるんごwww同時に声を聴く訓練のようなものんごwww」
莉愛は虹野姉妹とひかりの3人相手に全部ノータイムで返していた。読んでいるのは局面ではなく三人の心の声だ。
なにこの子?読み通りにノータイムで指してくる、不思議な感覚を感じた姉の百合はちらっと桜を見る、桜も同じことを感じたのだろう、同じタイミングで姉の百合の方を見た。なんかおかしい。