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礼美編1

「 黒猫先生呼んだぁー?」


職員室に二人の女子生徒が入ってきたかと思うと片方が大きな声をあげる。

いちごだ、小柄で目が大きくとても愛嬌を感じさせる。


「 おいおい職員室で大きい声はやめろよな、他の先生も仕事中なんだぞ」


黒猫は窘めるように言うとそのまま続けた。


「 いやーよく来てくれた、薄々感づいているだろうが」


「 あぁー昨日の大会の事ですね?もう対局は残ってないって聞いてすることないし帰っちゃったんだけどまずかったんですかぁ?」

黒猫先生の顔を下から覗き込むようにいちごは尋ねた。


「 別に何か問題が有ったわけじゃない、出来れば表彰まで残ってくれたほうが先生も話をしやすかったんだが、まあそれはそれだ。

  二人が勝ってくれたおかげで舞もたくさん指すことが出来たし、良い経験になっただろ。

 何れにしても大会は棄権するつもりだったが、お前らを県大会に強制出場させる訳にもいかんだろ。

  それより二人とも部活に興味ないのか?二人とも帰宅部らしいじゃないか?担任の情二先生に聞いたぞ」


「 あぁー私は普通の女子高生になるためにこの学校に入ったんですよぉw」


「 ・・・私も・・・似たようなものです。」


明るく話すいちごに対し礼美は元気無く答えた。


「 二人とも中学では相当活躍してたようだな、いちごは県大会優勝、礼美は全国三位か」


「 あの頃は強かったのですよぉw」

 少し口先を尖らせ目を斜め上を見ながら話すいちご、本気とも冗談とも取れる。


「 おいおいー、あの頃って昨年中学三年の記録だぞ、まだ半年も経ってねぇ。

 こんな弱小将棋部じゃ一人だけ強くても練習も出来んから入部しないのも分かるがいきなり二人居るじゃねぇか、それに男子の部でもカズは強ぇーぞ、結果は出せとらんが、

 そういや二人は学校入る前から知り合いか?こんな田舎に同時に引っ越ししてきたみたいだが」


「 私は礼美さん知ってましたよ、中学じゃ有名人でしたから、私なんて全然だしぃーw」


「 引っ越しは偶然です、中学の時はあまり他人に興味がなかったものですから存じあげておりません」


礼美は少し冷たい印象か、他人に興味が無いというのは本当だろう。中学の部活といえば一生懸命頑張った記憶くらいしか残らないものだ。


「 礼美さんは全国の会場でも一際輝いてたからのぉーw」


このキャラクターだ、いちごは知らない人ばかりの会場でも友達を作って騒いでいたに違いない。

それにしても凸凹コンビだ。騒がしいいちご、と、大人しいというか落ち着いた雰囲気の礼美。


「 特に用事が無ければこの辺りで失礼します。」


礼美は深々と頭を下げる。


「 お、おお、引き留めて済まんかったな、男子部も強いのが足りんくて困ってるからたまには覗いてやってくれよ。

俺も部活の時間だから顔を出さんとな、顧問も仕事だ」


黒猫先生が言い終わるや否や、礼美は職員室の出入り口に向かって歩き出していた。

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