萩病院への殺意
今でも恨みはあるぞ!
水木!大塚!
ヤブ医者で使えない老害が!
さっさと死にやがれ!
和樹は片手にカフェオレとチョコレートを食べながら空をじっと見ていた。
「あれ?和樹さんどうしたんですか?」
宇美は寂しげな顔をした和樹に歩み寄った。
「いや、18の時の夏を思い出していただけだよ」
そう言って和樹はまた空を見ていた。
夕暮れの空は何か和樹を思い出そうとしていた。
「確か萩病院に入院した時が夏でしたよね?」
そう宇美は和樹に聞いた。
「ああ、俺には18の夏にやりたいことがいくつかあった。でも、それは叶わなかった」
和樹はそう言って片手を拳にして額に当てて涙を流していた。
「ずっと、楽しみにしていた修学旅行や夏休みの思い出や仲間達とのばか騒ぎがや料理コンテストに参加できなくて悔しい思いをしたよ」
そう和樹は涙を流しながらずっと悔しがっていた。
それは仲間である守永や津森や松浦や岩本と遊べなかった事に後悔していたからであった。
「水木や大塚のバカ医者はどうせ金の事しか考えてなかったんだ。そのせいで大切な時間を全て失っちまった。悲しいぜ」
和樹はそう言ってカフェオレを飲み干して涙を流していた。
「和樹さん、前に話しましたよね」
宇美はそう言って和樹の両手を優しく握って和樹の右目に流れる涙を口で吸いとるようにして涙を飲んだ。
「宇美ちゃん?」
和樹は宇美を見た。
「楽しい思い出が作れなかったなら私が和樹さんの為に一緒に楽しい思い出を造ってあげますねって!」
宇美はそう言って笑顔で和樹に抱き付いた。
和樹は大塚や水木の様な最低な医者に出会い後悔しかなかったが小さな体に優しい心を持つ宇美に出会いそれは変わっていった。
だが『心を持たない科学や医療は悪魔の力だ』と昔見た特撮の言葉を和樹は思い出していた。
しかし和樹は思い出した。
自分が退院して一緒に遊んでくれたのは守永や津森や岩本や松浦達だったと。
彼等には恩がたくさんあり今でも返したいと考えていた。
「ありがとね、宇美ちゃん」
そう言って和樹は宇美に抱き付いた。
「和樹さん苦しいです~!」
宇美は和樹にそう言った。
このふたりは今も愛し合うであろう。
あんなやつらには地獄がお似合いだ!




