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書店部の内部事情  作者: 片羽京介
第三章『期間限定イチャラブキャンペーン(死)』
27/103

放送委員にまで介入してくる奴!


短いです(´・ω・`)







指数関数




今日で先週の二乃舞騒動から一週間経ったことになる。


相変わらず校内では「いよいよ二人で登校か!」とか「あ、あの人…」という感じのひそひそ声などが絶えない。


それどころか、先ほど圭太から恐ろしい話を聞いてしまった。


「し、親衛隊…?」

「ああ、親衛隊らしい」


朝っぱらから非現実的なワードが教室内に飛び交っていた。


「もちろん深千代さんのな。お前につくのはせいぜいツンデレ妹好きな変態くらいだろ」


余計かつ意味不明な一言はいらない。


「…何が目的なんだ、そいつら?」

「そら、高嶺の花には高嶺にいてほしいんだろうよ」


彼氏なんか作ってありふれた女子生徒に成り下がるな、ってか。何様だよ。


「厄介なのは、単純にお前のことを恨んでいる一派もそこに属しているってところだな」

「え、俺恨まれてるの?」

「らしいぜ。 今まで何人もの男共が遠目から眺める存在だった深千代さんを、お前が横からかっさらってったんだからな」

「な、なんだよそりゃ。俺は昔から玲菜の…あ、いや」


危ない、無意識にまた失言を繰り返すところだった。


…ん、いや、まてよ。

もしかして今この瞬間も、俺は“役目”を演じきるべきでは?


……ここで逃げ腰になっていたら計画倒れだしな。よし…。


「横からかっさらう? 何言ってんだよ。昔から俺は玲菜のずっと横にいたぜ!」


ビシッ!

という擬音を個人的につけたいね。


頭で復唱すると恥ずかしさの塊だが、口に出してみるとこれがなかなか爽快だ。小芝居をしているような感覚になるからな。


「…ってあれ?」


「…」

「…」

「…」


気がつくとクラスは静まり返っていた。会話が急に途絶えてシンとなるこの感覚は、何か日常が一変してしまったかのようで怖い。



…ま、まさか。俺の演技があまりにも下手だったからみんな怪しんでいるのか?


そりゃあ恥じらいがなかったかといえばもちろんあったし、声だって上ずっていたかもしれないが。



「…スト」

「え?」

「瀬名君ってロマンチストだったんだね」

「ああ。もしかしたら何か本か映画の影響じゃないか?」

「ちょっと瀬名君にはそのセリフはまだ早いかなぁ」


…く、何だよ、言い回しが情熱的過ぎたってかよ。

だって見せつけるにはインパクトが大事だって理事長も言ってたし…。


斜め後ろに目をやれば、玲菜が自分の机で「石化」していた。

お前も頑張れや!


相変わらず、喋れば喋るほど墓穴を掘る幽霊コンビである…。





扱いやすい見世物と化している自覚が芽生えつつある中迎えた昼休み。


「何故そんなに不機嫌なのか、友よ」

「つーん」


いつもの放送室で隣り合っている俺と奈留の間に、今日はまともな会話が成立していなかった。


時々彼女の口から発せられる謎の擬音は、おそらく「私はツンツンしています」と意訳されるのだろう。


その理由すら教えてくれないので、未だに人外のツンツン星人とは意思疎通が取れないでいる。


「お前の予約している本はちゃんと電話で指定配本取れたから心配するなよ」

「つーん」


こいつもずいぶんと子どもなことをする。奈留って一人っ子なのかな?


まったく玲菜といい奈留といい、猫被ってる奴は精神が幼稚で困る。ここは本屋の店長である俺が大人の対応を…。


「ん、玲菜…猫…本屋…」


何か引っかかるぞ。一昨日の放課後は玲菜に電話で呼び出しくらって、だから奈留と別れなきゃならなくって、そしてその時…。


「もしかして月曜日に言ったことを怒ってるの?」

「さあ、知りませんね」


ツンツン星人の外装が剥がれた!

ってかやっぱりそこか。


「付き合ってないと言った二日後に『玲菜は俺の物』宣言をする、附属高一の二枚舌、瀬名悠里…」

「おたくの新聞は相変わらず事実の歪曲が酷いなあ。誤解だぞ奈留」


何が俺の物宣言だ。服従的な意味でそうできたら気持ちいいだろうけどさ。


奈留と目を合わせようとしても無理矢理にそっぽを向かれてしまう。


これはこれでまた懐かしい彼女の一面ではあるのだが…。



コンコン。



その時、放送室のドアをノックする音が聞こえた。


俺は反射的にテーブル上のマイクのスイッチを確認したが、今回は明かりがついているわけではなかった。奈留も何もしていない、と言わんばかりに首を横に振っている。



ガチャ。



てっきりいつもの理科教諭かと思っていたのだが…。


「はろー、お邪魔するわね」


入って来たのは、前回そのドアを蹴り開けた狂気のキャプテン・ジャスティスこと玲菜だった。


俺は前回の件から、またも反射的に上半身をガードする態勢をとった。


「え、深千代さん。どうしてここに…?」

「玲菜でいいわ、私も奈留って呼ぶから。で、そこの子ども」

「誰が子ども店長じゃ!」


いきなりの挑発に闘犬よろしく噛み付く俺。

何故この場に玲菜が。放送室なんて来ても何も…ハッ!



「お、お前まさか…」

「??」


玲菜のやろうとしていることにがく然とする俺と、頭にハテナの浮かびっぱなしの奈留。



…お前、そこまでやるのか?!




「もちろんやるわよ。二人の愛の公開書店員トーク(死)を」









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