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彼らの目指す未来とは
狸が目覚めたのは、山小屋の中、毛布にくるまれて、だった。
最初、狸は自分の存在がうまく認識できなかった。
自分は何をしていたのか。ここはどこなのか。そして――
――なんで生きているんだろ。
たしか、自分は昨夜、猟師と戦ったはずだ。朧気だが、かなりの妖力を使ったのは憶えている。そして、
――刺された、よね?
胸には矢、背中は短刀。尻尾は切り落とされた。あの傷で生きているわけがない。
ならここはあの世か、と周りを見ても、ただの山小屋だ。天国にしてはお粗末だし、地獄にしてはつまらない。
じゃあ傷はどうなった、と視線を下げて、
『?』
体が包帯に巻かれていた。医者ほど綺麗ではないが、素人ほど下手ではない。
一体誰が、という疑問と一緒に、一人しかいないという答えが出る。
そこで、小屋の戸が開いく。
朝の光に照らされたその人影は、惑うように揺らめいて――
――彼らはともに歩んでいく。