闇飾り
周りの人は言いました。
「オズは完璧な子」
だと・・・。
周りの人は何時も言いました。
「オズは美しい子」
だと・・・。
オズは毎日綺麗にしました。
綺麗な洋服。
綺麗な髪。
綺麗な肌。
綺麗な飾り。
オズは毎日完璧でいました。
完璧な知識。
完璧な踊り。
完璧な歌。
完璧な姿。
周りの人は欲しがりました。
隣に置きがりました。
「オズと歩けば羨ましがる」
「オズと居れば自慢になる」
皆がオズを欲しがりました。
だからオズは完璧でいました。
皆の期待に答える為に・・・。
皆を失望させない為に・・・。
今日もオズは言われます。
「完璧で美しい」
と・・・。
オズは一人の人に聞きました。
「どこがいいの?」
と・・・。
その人は答えました。
「勿論美しい所」
と・・・。
オズは別の人にも尋ねました。
「どこがいいの?」
と・・・。
その人は答えました。
「当然美しい所」
と・・・。
誰に聞いても同じ答え。
ある日オズは汚れた姿で皆の前に現れました。
誰もオズを見ませんでした。
誰もオズに興味を示しませんでした。
オズは知りました。
皆「姿は見ても心は見てはいなかった」のだと。
オズはまた綺麗な姿で現れました。
皆はオズに群がります。
オズに話掛けます。
オズを誘います。
「違う・・・」
「違う・・・僕は宝石じゃない・・・飾りじゃない・・・人形じゃ・・・ない・・・」
オズは気付きました。
人として見てくれてはいなかった事に。
心から必要と思ってくれてはいなかった事に。
誰も愛してくれてはいなかった事に・・・。
オズは両目を潰しました。
綺麗な髪を切り落としました。
そして喉を潰しました。
美しかったオズ・・・。
完璧だったオズ・・・。
オズは世界を捨てました。
光の世界を捨てました。
一人ぼっちになったオズ。
だけど寂しくはありません。
小鳥の歌声を静かに聴けます。
風の優しさを沢山感じる事が出来ます。
花の香りに包まれて眠れます。
オズは初めて心から感じました。
「幸せだ・・・・」
~おわり~