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出会い

▽出会い



美鈴:春、音楽大学に通う私は4年生になった。

大学に行きながらbarで演奏のバイトをしながら生活している。


就職に悩まされていたとき


私は信じられないほどキュンとする、熱くなる恋をすた。



*広い公園の並木道



沙也加「もう4年になっちゃったね~彼氏もいないし就職も検討つかないし」


美鈴「だねー…どうしよ」


沙也加「なんか合コンとかする?」

美鈴が公園で絵を描く青年を見つける


美鈴「…」

じっと見つめる


沙也加「美鈴?」


美鈴「あ、沙也加先帰ってていいよ!私用があるから」


沙也加「そっか、あたしもバイトだしそろそろ帰るね!バイバーイ!」


美鈴「うん、バイバーイ!」



絵を描く青年に近づく



青年が振り返る。



美鈴「あ…ごめんなさい。」


修司「え、なんで謝るん?大丈夫ですよ。」

美鈴「ちょっと見ててもいいですか?」


修司「ええけど、対した絵やないですよ。」



美鈴:何私…なんでこんな積極的になってんの…

でもきっと…言うまでもなくこれは…



一目惚れ




修司がずっと美鈴を見つめる。


美鈴「なっなんですか?」


修司「いや…それバイオリンかなって思て」


美鈴「はい、私ここの近くの音大に通ってて…」


修司「なんや金持ちか、どうりで品がええな。」


美鈴「いやいや!金持ちじゃないです!実家は団地ですし車もないし!」


修司「あっはははっ」


美鈴「え?」


修司「いやいやごめんな。音大行ってる奴なんかみんな金持ちやと思ってね。」


美鈴「いや…貧乏ですよ…あの…」


修司「じゃあ僕は日も落ちてきて影も変わってきたし帰るよ。」


美鈴「あっあの…また見に来ていいですか?…」


修司「…好きにしたら(笑)じゃあね。貧乏なバイオリン奏者」


美鈴「…」



頭を下げる



美鈴:どうしよう…


一目惚れなんて初めて…

体が勝手に彼の方に動いて…


こんなに積極的になったこと初めて



本当の本当に



恋をしたんだ。






*沙也加と暮らすマンション



沙也加「えっ恋!?どんな人どんな人!?」


美鈴「とっても素敵な人!みどり公園風景画をスケッチしてたんだけど、前髪が少し長くて色白で背が高くて、それで…関西弁だった!」


沙也加「めちゃめちゃ興奮してんね~美鈴。年は?」


美鈴「あの素敵さからしたら私たちよりはかなり年上かも…」


沙也加「年上男子ね~いいじゃない。名前は?職業は?画家?」


美鈴「ん…と…」


沙也加「あんたいきなり話しかけて積極的なわりに名前も聞いてないの?」


美鈴「うん…1時間は一緒にいたのに…」


沙也加「まあ明日聞きなよ!みどり公園でスケッチしてたならきっと近所に住んでるし」


美鈴「うん!そうする!」







*みどり公園並木道



美鈴:土曜日で学校は休みだけどあの人に会うために

昨日と同じ時間に同じ場所に行った


でも彼はまだいなかった。





ー3時間後




美鈴「…今日はもう来ないのかな…帰ろう」




別にまだ他人なのに

顔見知りなだけなのに


なぜだかフラれたみたいに悲しくなってきた。



涙が出てきた…



私はもう彼の存在に

ハマってしまったみたい…







*近所のスーパー



美鈴と沙也加が野菜コーナーで食材を選ぶ


沙也加「今日どうする?」


美鈴「私はもう彼を待つのとbarのバイトで疲れたから鍋がいい」


沙也加「んーそれもそうね。鍋にしよ」




修司がカートを引いて野菜コーナーに近づく



修司は美鈴に気づく



修司「ああ!!!」


美鈴はビクッとして振り返る


美鈴「ああ!」


修司「昨日…公園の…あっ今日はごめんなさい!急に仕事が入ってもうて…それで…待たせてましたかね?」


美鈴「あっ大丈夫ですよ!…全然待ってないですし…」


修司「あ…そうなん?良かったー あ、隣の子お友達?」


美鈴「そう…沙也加ってゆうの」


沙也加は礼をする


沙也加「あたしの紹介してどうすんのよバカ(小声」


美鈴「あの…名前聞いてませんでしたよね?」


修司「あ、僕は山森修司と申します。君ら大学生に比べたらだいぶ年上やけどよろしく(笑)」


美鈴「私は花本美鈴です。」


沙也加「あのちなみにおいくつですか?あとお仕事何されてるんですか?」


修司「女子大生には言いづらいねんけど32歳やで。職業は一応画家やけど食ってけへんから絵画教室の講師やってる」


沙也加「ほー素敵ね美鈴!」


美鈴「う…うん!」


修司「はははっ おもろい友達やなあ(笑)二人ともこのへん住んでんの?」


美鈴「はい、大学が近いのでこの近くに」


修司「そうなんや。じゃあ、またな。」





*自宅マンション



沙也加「めっちゃ感じいい人じゃない!」


美鈴「なんか沙也加の前ではキャラ作ってた気がする…」


沙也加「どうして?」


美鈴「だって…昨日私修司さんに貧乏バイオリン奏者って言われたのよ!」


沙也加「はははっ いいじゃない!大人が子供に少しからかっただけよ!あたしそれ聞いてちょっと安心したわ」


美鈴「なんでー」


沙也加「さっきの感じのままだったら関西人だからちょっとは面白いんだろうけど、真面目で堅くてつまんない男にも見えたもん。そうやってからかってくれる男性のほうが絶対いいわよ!」


美鈴「そうかな~」


沙也加「とかいって嬉しかったんじゃないのー?」


美鈴「…うん(笑)」


沙也加が美鈴に軽く叩く


沙也加「ほらあ!この照れ屋バイオリン奏者め!(笑)」


美鈴「もーやめてよ!(笑)」






美鈴:修司さん、修司さん。

修司さんは私のことどう思ってるの?



図々しい女だと思った?


ただのガキだと思った?



それとも少しはいい女だと思ってくれた?



聞きたい



あなたの気持ちが聞きたいよ。

*数日後、美鈴と沙也加がバイトするBAR



美鈴:今日は恋の曲

今の私ならふけるきがする


沙也加「美鈴、いくわよ?」


美鈴「はい!」



私たちのバイトは

おしゃれなBARの片隅のステージで

綺麗なドレスを身にまとって演奏する仕事。


でもドレス代はただなのに時給はわりと高め。



沙也加のピアノと私のバイオリンで演奏する。


聞いてるお客様はほとんどいないけど

私たちの大切な小さなステージ




修司が店にはいる



修司:このBAR初めて来るけどええBGMかかっとるなあ

ん?生演奏…



修司はカウンターに座り注文を済ませた。


振り返ると美鈴と沙也加が演奏していることに気づく



修司「…」


店員「お客様お待たせしました。」


修司「…」

美鈴だけを見つめ、見とれる


店員「お客様?」


修司「あ、店員さん。あの子らバイトですか?」


店員「はっ大変申し訳ありません。耳障りでしたらすぐに辞めさせます。」


修司「なんで辞めさせんねん!ええ演奏やがな。」


修司はニコニコしながら美鈴をみつめて演奏を聞く



演奏が終わると修司が拍手する。



パチパチパチパチ…



美鈴は修司を見つけてハッとした。


美鈴:うそ…


沙也加「ねえ、1人だけ拍手してない?どのお客様かな」


美鈴「しゅ…さん」


沙也加「え?…うおっ」



修司が美鈴の目の前に立つ


パチパチパチパチ

修司「初めて演奏が聞けて嬉しいよ。貧乏バイオリン奏者。いや、美鈴ちゃん。」


美鈴「…!」


美鈴:うそ…うそみたいだった。


私の大好きな。


大好きな彼が目の前で

私の演奏に拍手している。


ただでさえお客様から拍手をもらったことなんてなかったのに…



修司がまじまじと美鈴を見る。



美鈴:わっ近い近い!何々!ドキドキするよ…



修司「ふふっ 綺麗だね。いつもナチュラルだけど今日はなんか別人だね。演奏もすごい綺麗だったよ。」


美鈴「あっありがとうございます


美鈴:うそ…うそみたいだった。


私の大好きな。


大好きな彼が目の前で

私の演奏に拍手している。


ただでさえお客様から拍手をもらったことなんてなかったのに…



修司がまじまじと美鈴を見る。



美鈴:わっ近い近い!何々!ドキドキするよ…



修司「ふふっ 綺麗だね。いつもナチュラルだけど今日はなんか別人だね。演奏もすごい綺麗だったよ。」


美鈴「あっありがとうございます


沙也加「やったじゃん美鈴!」


修司「沙也加ちゃんのピアノもすごく良かったよ。僕音楽のこととかわからないけど聞き入ってもうたよ。」


沙也加「ありがとうございますー」


修司「バイト何時に終わる?一緒に呑まへん?」


美鈴「私は9時ですけど沙也加は11時です。」


修司「ああ…バラバラなんや」


沙也加「いいんですよ私は!あっここで呑んで行けばいいじゃないですか!そしたらほら、私も一応いますし(笑)」




修司と美鈴2人が沙也加の演奏を聴きながら

ゆっくりと呑む。




美鈴:せっかく隣同士にいるのに彼の口数は少なかった。


それにまた緊張して私も話せなかった。



話したいことがたくさんあるのに…



でも、この時間が心地よかった。




終わらないでほしかった。


時間がとまってほしかったくらい…






こんなに人ゆ好きになったのは初めて。





そんな人に私は出会った。










典型的な明るい関西人かと思いきや


今みたいに静かでミステリアスな雰囲気もある


普段は無愛想な表情だけど

話してみると可愛い笑顔を見せる



ギャップが激しくて

まだよくわからない彼



でも、彼にどんどんハマって行く





彼を知りたい。




彼を








▽夢






美鈴:私には夢がある。




オーケストラに入って海外を回って演奏する。




ただこの夢を叶えられる人はほんの一握り。




ましてバイオリンは数が多いから

切り捨てられる確率の方が高かったりする。






そんな夢を彼も持っていたりするのかな








*みどり公園



桜を眺める美鈴。




バイクから降りる修司を見つける。




少しずつ修司に近づく。




美鈴:!



修司さんが…泣いている。





修司が美鈴に気づく




修司美鈴「あっ…」





修司「…見られたな(笑)情けないとこ」


美鈴「…」


修司「これ、やる」


修司は美鈴にたくさんのキャンパスを渡す


美鈴「え いただいていいんですか?」


修司「いらん。こんなの」


美鈴は修司の絵をひとつひとつじっくり見る。


修司「…」


美鈴「こんな繊細な絵を描くんですね!とっても綺麗です!独特の世界観に引き込まれそうというか…」


修司「うまいって言わへんねや」


美鈴「えっいやうまいですよ!うまいこと前提で感想を…」


修司「いや、珍しいな。素人やったらまず お上手ですね! とか調子ええことしか言わへんから。そうやって細かく感想言うてくれた方が嬉しいわ。」


美鈴「わかりますそれ!」


修司「え?」


美鈴「私も大学の先生以外はありきたりな感想しか言われないというか… 上手いならまだいいですけど、全部同じに聞こえるってよく言われるんです(笑)だからその気持ちすごいわかります。」


修司「なんかあれやな、やっぱり美術と音楽って同じ芸術やねんな。」


美鈴「え?」


修司「わかる人にはわかる!やろ?」


美鈴「その通りですね!」


修司「はははっ なんや美鈴ちゃんと話してたら元気出てきたわ(笑)」





美鈴:楽しかった。


修司さんと笑っている時間が


とても楽しかった。



その後たくさん話した。




でも修司さんがなぜ泣いていたかはわからなかった。


*自宅マンション




沙也加「やだ!またまた新展開じゃない!さっすがプロなだけあって絵もすごいわねー飾ろ!飾ろ!」


美鈴「うん!うん!でも、なんで泣いてたんだろう。」


沙也加「ん~絵が評価されなかったんじゃない?私たちだってダメだとわかってはいてもダメ出しされるとヘコむでしょ?

それと似たような感覚じゃないかな」


美鈴「そっか…そんな感じかな」










*修司が勤める美術教室




ひとみ:「修司?いるの?」



生徒が帰った後の教室で修司が黙々とデッサンしている






ひとみが後ろからゆっくりと修司に近寄る




修司は美鈴をにこやかに描いていた。




ひとみ「それ新しい彼女かなんか?」



修司はビクッとして振り返った。



ひとみ「図星か(笑)」


修司「そんなんじゃないですよ。なんなんですか久々に教室なんか来て。ひとみさん今個展の準備真っ最中でしょう?」


ひとみ「やっぱり敬語にさん付け?もう前みたいに呼んでくれないのかしら?山森くーん」


修司「あなただってそうでしょ」


ひとみ「昨日はごめんなさいね。個展のスタッフからハズして…あと美術館の会長にひどいこと言われたんだって?」



ー回想ー


*記念美術館にて



会長「あなたが本城さんのスタッフになるなんて100年早いわよ。あなたたちの噂は知ってるのよ。本城さんはあなたと別れてからすごく有名になっていい作品を描くようになったの。」


修司「何がいい作品だよ。あんなの猫かぶってるだけだ。ひとみさんの作品はあんなもんじゃない」


会長「あなた今何をおっしゃったかわかってるの!?あなたが本城さんを語る資格はないの!あなたも何度かここに作品を売り込みに来るけど

あなたの作品はただの落書きなの。美術館で取り扱えるほどいい作品じゃないのよ!」







ー回想終ー



ひとみ「なんて言われたの?」


修司「…言わない」


ひとみ「教えてよ~どうせまた泣いたんでしょ?子供みたいに!あはははは(笑)」


修司「うっさいねん!からかいに来たなら帰れや!お前の顔なんてもう二度とみたくないわ!帰れ!」


ひとみ「…なによ。せっかくコネでスタッフに入れようと思ったのに~ はいはい帰りますよ~」



ひとみが教室から出て行く。




修司「コネで入ったって嬉しないわ…はあ…」




そして自分の書いた美鈴の絵をみて微笑む。






修司「よう出来たなあ…」










*みどり公園




美鈴:学校帰りも土日も、よくここに来る。


もしかしたら彼に会えるかもしれないから。






修司がキャンパスを抱え、ベンチに座っている。





美鈴「しゅっ修司さん!!」


修司「あっ美鈴ちゃん!」


美鈴「何してるんですか?また、風景画ですか?」


修司「いや…ここにいたら君に会えるかなって思ってさ」


美鈴「えっ…」


修司「ごめん、ストーカーみたいやななんか(笑)これ渡したくて」


美鈴の似顔絵を描いたキャンパスを美鈴に渡す。


美鈴「えっ…これって…」


修司「そう、美鈴ちゃん。似てるかな?写真とかももってへんから記憶だけを頼りに描いてんけど…」


美鈴「すごい似てます!細かいところまですっごく!でも…どうして私を…」


修司「あ…いや…あの、昔先輩に大好きな人を丁寧に描いて渡して告白すると絶対上手くいくって聞いて…さ」


美鈴「え?」


修司「ふふっ 気づいてんでしょ?(笑) 僕、美鈴ちゃんのことが好き。大好き。」


美鈴「…!」




美鈴:いっ…意味がわからない…


これは夢なんだよね…


すっごく幸せな夢を見てるんだよね…







修司「別に付き合いたいとかじゃないんだ。伝えたかっただけってゆうかさ」


美鈴「じゃあダメなんですか?」


修司「え?」


美鈴「じゃあ、付き合ったらダメ…なんですか?」


修司「…いいの?」


美鈴「…はい」


修司「やっ…やったーーー!」






美鈴:嘘みたいだった。



彼の行動は本当にわからなくて

毎回私をドキドキさせる。



照れながら喜ぶ可愛い彼の顔がいつまでも忘れられなかった。






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