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心の話

作者: 奈宮伊呂波
掲載日:2026/04/24

本当にごめんなさい。

 30歳は人生の答え合わせ。

 人が生まれてからやってきたことの結果が30歳の時に現れるということらしい。

 30歳になると仕事では中堅として後進に頼られ、家庭を持ち、親として子を育てている。そういう姿が世間一般で言う「普通」なのだろう。

 俺の両親は、父が26の時、母が24の時に俺を産んで育てている時期だ。だから俺はこうして文を書いている。

 両親はここでいう答え合わせにおいて、良い点を取っているのではないだろうか。

 愛し合う相手がいて、その結晶たる俺を育てていたのだ。

 そうして、高得点出した両親が育てた俺ももうすぐ30歳になる。あと3年くらいだ。

 どうだろうか。

 自信を持って答え合わせに臨めるだろうか。

 無理だ。

 高得点を出した両親と対象に、俺は何も成し遂げていない。

 仕事も、恋人も、友人関係すら何も。

 頼られる人間どころか、現場で何も考えられない空っぽな脳みそしか持ち合わせていない。ある程度は出来るかもしれないが、本気になることが出来ない。いや、本気になりたくないのだ。いずれ本を出すと大口を叩いておきながら実際はだらだらと適当に文字列を重ねているだけ。本気なら売れてる作品の分析でもすればいいのだが、しない。

 愛し合う相手どころか、自分のことさえ愛せられていない。探そうともしない。いずれ素敵な人が空から落ちてくるとでも思っているのだろうか。どこかのラノベよろしく。

 女性から拒絶された回数は何回だろうか?

 たぶん10回もない。たったそれだけだ。要するに、俺はビビってるのだ。怖いのだ。傷つきたくないのだ。挑戦することを恐れている。

 友人が少ないのはなぜだろうか。いや、いるにはいる。今でも声をかければ10人くらいは反応してくれるだろう。

 ただ、彼らを友人と呼ぶかは微妙なところだと思う。俺は彼らに自らの胸の内をさらけ出したことがあるだろうか。まあ、ない。

 つい先日、気を病んだ時にメッセージを送ってくれた友人を裏切ってしまった。要するに、俺はここでもビビってるのだ。彼とは通話で俺の話を聞いてくれるということになっていたのだが、俺はそれをほっぽかした。

 話をしたとして、どうなるというのだろうか。俺の悩みが解決するだろうか。たぶん、しないだろう。なぜなら、俺が胸の内を明かすのをビビってるからだ。

 と、まあ、こんな風に俺の人生は失敗の繰り返しでできている。

 その答え合わせがあと3年でくるのだ。恐怖でしかない。かと言ってその恐怖を取り除く努力もできない。どうせ失敗すると思っているからだ。この27年間できなかったことが、いきなりできるようになるだろうか。俺には到底そうは思えない。御託を並べず挑戦しろ。そう言われて当然だが、やりたくないのだ。努力を。ただ作業を続けることはできる。

 人の言葉を信じ、人が俺のことを好きだと信じ、自分を信じることをやりたくないのだ。

 とてつもない労力がいるだろう。他人にとってはそうでも無いかもしれない。

「生きてれば恋人くらいできる」と当たり前のように言ってのける人がいる。

 そんな人には俺の気持ちは分からないだろう。なぜなら俺もそんな人の気持ちが分からないからだ。

 疲れた。

 何も成せなかった、これからも成せない人生に何の意味があるだろうか。

 人を信じず、自ら一人ぼっちになった愚か者は何に縋ればいいのだろうか。

 親は「もっと帰ってこい」と言うが、どこに合わせる顔があると言うのだろう。高得点を取った親と、0点の俺。恥ずかしくて会いたくもない。何も相談などできるわけがない。

 昔、俺は「この曲に救われました」という言葉を疑問に思っていた。曲は何も助けてくれないよ?ただの曲だよ?と思っていたのだ。そんな俺が曲に縋っている。だが何も変わらない。何も救われない。変わらず俺は1人だ。

 仲良くゲームしていた彼女と久しぶりに話した。明らかに俺に対する興味を失っていた。たぶん、何か俺が裏切ったのだろう。彼女にとっての「俺」を維持できなかったのだ。どうでもいいと思われて当然だ。

 ちなみに彼女は既婚者なので、そういうことはない。

 そんな彼女に相談なんてできるだろうか。いや。

 迷惑だと思われて、縁を切られるのがオチだ。だから何も言えない。気丈に振る舞うのだ。

 いや、実際そんなことはないのかもしれない。久しぶりに話すので、彼女の方も少し何を話すか困っていたのかもしれない。

 どちらだろうか。俺への興味を失ったのか、話に困っていたのか。俺は前者だと思う。そう思うほうが楽だからだ。俺は1人になりたがっている。人間なんてすべて滅んでしまえと思っている。その方が楽だからだ。

 本当は1人になんてなりたくないのに。1人から脱却しようとすればとてつもない苦痛が待っているとわかっているからだ。その苦痛を乗り越えられないと思っているのだ。でもみんなはその苦痛を乗り越えている。すごい。勝てない。

 俺はみんなより劣っているのだ。だから誰も愛してくれない。

 愛することを恐れている人間を誰が愛すのだろうか。

 誰も愛しやしない。

 人は努力する人に惹かれるのだ。努力してない俺に惹かれる人なんていない。当たり前だ。甘えでしかない。

 風邪をひいている。誰が心配してくれるのだろう。

 恋人がいれば心配してくれるのだろうか。恋人がいる人が羨ましい。

 俺はもう寝る。答え合わせの時にまた1歩近づくのだ。どうして近づかなければならないのだろう。

 0点の答案用紙を貰うとわかっていて、どうして。

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