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第7話 開幕!第一次試験および予選会

「特訓って言っても...ゼーラに特訓はしてもらってるんじゃないの?」

「してはもらってるけど...」


彼女は不安そうに胸に手を置く。

そしてギュッと、拳を強く握った。


「それにみんなに被害が及ぶかもしれないから、魔法はみんなの前で使ってないんだ...」


影響の出ない場所でやってもダメな部分がわからないし、かといって他人に教えてもらうことも不可能なわけか...それなら影響を受けない僕が適任っていうことね。

 

 しかし、彼には魔法の知識がまったくなかった。

 当たり前である。なにせ、授業はいつも眠っているのだから。


「お願い!そばにいてくれるだけでいいから!」


ダリアを見上げ、一歩近寄る。

必死な彼女の表情を見て、ダリアはその首を縦に振った。


「やったぁ!」


その屈託のない笑顔に、ダリアも思わず笑顔になってしまうのだった。


 そうしてわからないことはディエールに何度も聞いていき、教える立場と教えられる立場の両方をこなしているうちに、第一次試験の日が近づいてきた。









第一次試験、および予選会当日。

ボードの生徒全員が入り切るほどの大きな会場を舞台に、ついに予選会が始まった。


 そして今、ゼーラは着々と勝利を収めていた。


手で数えられる程度の回数で、基本魔法しか使わずに勝利する。

その姿から、ダリアは自身が知っている昔の彼女を忘れてしまいそうになっていた。


「わかってはいたが、まさかここまでとは思わなかったな。なあ、ダリア?」


ダリアの隣にいたディエーゴが尋ねる。


「まあね。それにしても、ここまで調子がいいとなんだか怖くなっちゃうよね」

「俺もそうは思うが、あいつなら大丈夫だろ。安心してみてよーぜ」


ディエーゴはそういいながら腕を伸ばし、眠気を飛ばす。

そうしてちょうどゼーラの試合が終わった時、ヘルメスとアルゼーヌ、そしてゼーラがダリアたちと合流した。


「アルゼーヌとヘルメス、お前たち、一体どこ行ってたんだぁ?」


ディエーゴが尋ねる。

その質問に、アルゼーヌは「ゼーラを出迎えてただけだよ」と答えた。

ヘルメスも首を縦に振っていた。


「ちょっと、私を出迎えてくれなかった二人、ひどくなーい?」

「なっ!?別にいいだろ、仲間の出迎えをする義務なんてねーからな!な、ダリア!?」

「ダリアは私たちの味方よねー?(圧)」


ちょっと、こっちに振ってこないでよ!!ただでさえ巻き込まれたくないなー、なんて思ってたのに!


ダリアは内心驚きながらも、すでに言う言葉は決めていた。


「うーん、どうかな...」ダリアがそう言おうとした時、彼の前には、一人の女性が立っていた。


金色の髪に外国人のような顔つき、スリム肉体に、なにより目立つ赤色のローブを身にまとっていた。


「君がダリア・メルデス君かい?」


彼女は朗らかな笑顔を添えて、ダリアに尋ねた。

しかしその背中にあるただならぬナニカが、ダリアを押しつぶそうと言わんばかりに佇んでいる。


「そうですけど...」

「そうか、私はアローネ・ブレイラン。よろしく」


そうして両者は握手を交わす。


「それじゃあ、いつか君と戦える日を心待ちにしているよ」


そう言い残して、アローネはその場から優雅に立ち去って行った。

事態の収拾が追い付かないダリアの肩を、ディエーゴはゆすった。


「おい、お前あの人に何かしたのか?」

「え?いや、特になにもしてないけど...」


ダリアがあたりを見渡す。

そこで彼は気が付いた。近くにいた全員が、驚いた顔をして自分を見ていることを。

余計に訳が分からなくなったダリアをよそに、ディエーゴは続けた。


「あの人はアローネ・ブレイラン、3年生Aクラス所属の、この学園一の実力者だ。あの赤いローブがその証拠だ」

「じゃあ、なんでそんな人が僕に...?」


きょとんとするダリア。

ディエーゴも、



「さあな。俺もわかりはしないが、あの人に目をつけられたからには、覚悟をしたほうがいい」


ディエーゴは固唾を飲み込み、重々しくその事実を告げた。


「あの人は今、対等な相手を探しているらしいからな。それも、命をかけた戦いができるような相手を...」


アローネ・ブレイラン。ダリアは彼女の名を確かに記憶し、いつか戦うことになるのだろうかと恐れた。

ダリアがそんな心配事を胸に秘めている間にも、予選会は終わりに近づいていく。


 やがて予選会は終わってダリアたちの合格は確定した。


 後日、決勝の張り紙が張られた。

無論アローネは決勝に進んでいたのだが、ダリアにはそんなことはどうでもよかった。

 ダリアたちが戦う一回戦目の相手は、以前絡んだDクラスの生徒なのだから。

 

 そして次に彼が驚いたことは、決勝は明日行われることだった。













後日。


ついに来てしまったのかとダリアはため息をつき、目の前を確かに見つめる。

目の前に広がるのはゼーラとDクラスの生徒、サミュエルが互いをにらみ合っている光景であった。

彼らの真ん中にいる審判は両者のほうへ振り向く。

準備が終わると、腕を上にあげ、決勝を始める合図を出した。


「はじめっ...!」


その言葉と同時に動いたのはサミュエルだった。


 全部の予選を見てきたからな...。確かゼーラとかいう女は、必ず先手を取ってくる。なら、先に先手を打てば俺にも勝機はある!


自身の持つ杖に魔力を籠め、雷魔法を発動した。

しかし、彼女に届く寸前のところで雷魔法はいとも簡単に消滅した。


「なに...!?」

「へー、防御魔法って知らないんだ」

「いやっ、しっている。知っているが...」


なぜ、こいつがそんな魔法を使えるんだ?防御魔法はまだ教えてもらってないはずなのに...。


「じゃあ、今度は私のターンだね」


ゼーラはいつものことをするように、緊張感なく、軽く、サミュエルに炎魔法を発動した。

その速度はかなりのもので、サミュエルは避けきれずに全身黒焦げになった。

彼は力尽き、気絶した。


倒れるサミュエルを見て、審判は「ゼーラ選手の勝利!」と声を大にして言った。


会場にいる生徒たちがどよめきの声を上げる中、ゼーラは観客席いるディエーゴへ向かう。

彼女は「次は任せたよ」とだけ言ってその場を去って行った。


「わかってるって」


鼻を鳴らし、ディエーゴは席から立ち上がる。

そして意気揚々と、選手の入場口まで歩を進めるのだった。









観客席よりも上にある、教員専用の観覧席。

そこでDクラスの担任をする女性、エーテルは歯ぎしりをしていた。


「私の生徒がEクラスの生徒なんかに負けるわけ...!」


表情筋をプルプルと震わせる彼女の横で、ディエールはフンと鼻を鳴らして見せた。


「俺の教え方がうまくて、お前さんの教え方が悪かったんじゃないのか?スペックはお前さんの生徒のほうがあるようだしな」


その言葉で、エーテルの怒りは限界に到達した。

セットした茶色の髪は何本かはね、化粧を施した顔にはしわが浮き出て余計に面白おかしさが増していた。


「馬鹿を言わないで!あんたが何か細工したんでしょ!?そうに決まってるわ!わたしがあんたのような教師に負けるわけないですもの!」

「じゃあお前さんは、授業において何を頑張ってるんだ?」


言葉に詰まる。

彼女は、ただ教材に書かれている説明文を読んでいるだけ。

本気で生徒を育てようとはしていなかった。


「それは...」


ディエールはすかさず追い打ちをかける。


「何も頑張ってないお前さんとは違って、俺はまず理解させ、それから本格的な演習に取り組むといったように工夫している。そこがお前さんと俺との違いなんじゃないかな」


エーテルは何も言い返せず、ただディエールをにらみ、獰猛な獣のように彼を威嚇していた。

そんな彼女をしり目に、戦場に降り立ったディエーゴを心配の目で見つめる。


 正直ゼーラの勝利はわかっていた。だが、この後はわからない...後はアイツ次第か...まあ、あいつなら大丈夫なはずだ。


ニヤリと、ニヒルに笑う。


なにせ、この俺が鍛えたんだからな。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

読者様には主人公が最強に成り上がっていく、そのさまを長い目で見守ってくれたらなと思います!


何かおかしな点があれば報告してください!通知が来たら爆速で書き直しますので(笑)

☆☆☆☆☆やブックマークよろしくお願いします!!

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