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第6話 選抜!予選会

時刻は夜。

外ではダリアがある女に吹き飛ばされ、彼の仲間が介抱している時間帯である。

 そんな時間に、学園長室の扉がノックされる。


 こんな時間に、一体誰が...?


初めての体験に驚きつつも、「どうぞ」と言って、扉の向こうにいる人物に許可を出した。

その者は丁寧に扉を閉めて、学園長の前まで来た。


「どう?この学園は」

「なかなかだな。設備も教員も素晴らしい、本当に俺がいていいのかと思うぐらいだ」


近くにあったソファに、豪快に座る。


「それに試験というのも斬新で面白い。本来ならテストという形で各々の成績や魔法の知識を確かめるんだが、この学園は互いを競わせることで、さらなる成長をもくろんでいる」


ニヤリと、ディエールはオリベルを見て笑った。

まるで同類を見ているような、そんな目だ。


「さすがというべきだな、オリベル学園長は」


ディエールがオリベルを称賛すると、彼女はフンと鼻を鳴らした。

よほどの自信である。


「それで、私を散々ほめているけれど、何か目的があるんじゃないかしら?」

「へへ、やっぱりアンタならすぐ気が付くよな」


左手で頭をかき、わずかに口角を上げる。


「少し、第一次試験のルールが俺の受け持つEクラスの生徒には苦しいんじゃないかとな。なんでわざわざチームメンバーを、自身と同レベルでなければいけないのか、教えてくれ」


オリベルはコップに注がれた紅茶を一口飲み、コトンと音を立ててコップを皿の上に置いた。

コップから湧き出る湯気を見つめながら、彼女は答えた。


「簡単なことよ。弱者には弱者の戦い方を、強者には強者の戦い方を知っておく必要がある」


はぁ。と息を吐く。


「私も少しおかしいとは思うけれど、この学園がこの魔法主義の国に建てられた以上しょうがないとは思うけど」


それに...。

と、オリベルは言葉を加える。

彼女の表情は、いたずらをする子供のようだった。


「あなたのクラスにも、一応戦力はいるのでしょう?」

「ハハ、やっぱりアンタには全部お見通しってわけだ。やっぱりわかる奴にはわかるんだな」


ディエールはその場で含み笑いを浮かべた。


「なら、俺がここへ来た本当の理由もわかってるんだろ?」


まあね。とオリベルはそれだけ言って、また紅茶をすする。

そしてコップを置くと、彼女はため息をついた。


「普通に考えてダメに決まっているでしょ、予選会のくじ引きをあなたに任せるなんて...」

「そこをなんとか頼めないかな...それに、新任だからこそ公平だろ?」


彼女はその質問には答えず、ジト目でディエールを見つめる。

彼はため息をついて、一か八かの賭けに出た。


「あんたほどの実力者なら、当然魔法を無効化する結界を張ることだってできるはずだ。ここにその結界を張って、俺がくじ引きをすればいい。これなら公平だろ」


ほかの担任は宛てにならないから、いつもは彼女自身がくじ引きを引いていた。

なにせ自身が受け持つクラスの成績が良ければ、必然と自分自身の評判も良くなるからだ。


 しかし、ディエールはうそをついていなかった。


もしかしたら、ほかに思惑があるのかもしれない。

だとしても、ほかの教師よりかは頼りになるのは確かだった。


「...まあいいわ、特別に許してあげる」

「ありがとさん」


そうしてオリベルは虚空から箱を取り出すと、ソレを机の上に置いた。

魔法が使えない状況下で、ディエールはその箱の中からあるくじを何枚も、手探りで探す。

しばらくして、すべてのグループの対戦表が完成した。


 ダリアたちの戦う相手は、すべてE、またはDクラスの生徒たちだった。












翌日。

ダリアが教室に顔を出した時、生徒は黒板に釘付けになっており、ソレを見ながら騒ぎ立てていた。


 黒板に張り出されているそれは、第一次試験の予選会、その対戦相手の張り出しだった。


まさかしょっぱなからAクラスとか...ないよね?なんて心配しつつ、ダリアは遠くで対戦表を見た。

一戦目にEクラス、もう二戦目のまたEクラス。

E...D...D...E...E......と、ダリアが戦うクラスはEとDだけであった。


よかったぁ...。


心の中で安堵し、ホッと胸をなでおろす。

しかし他の生徒はそうではなかったようだ。


「クソッ...どうして予選会にAクラスがいるんだ!」

「なんでダリアたちだけ!」


ギロリと、憎悪が籠った視線で睨まれる。


その時、ディエールが教室に入ってきた。

彼は絶望に暮れる生徒たちを見て、はぁとため息をつく。


「対戦表を見たところで変わらんぞー。それよりも、しっかり勉強してたほうがいいからな」


バンッ!と、いつものように授業資料を乱暴に叩きつける。


「じゃあ、授業をはじめるとしようか」


そうしていつもの授業が始まり、いつものようにダリアは眠りにつく。

そして目が覚めれば、いつものようにディエールが眉間にしわを寄せてこちらを見ていた。


「調子はどうだ?寝坊助」

「あー...すごくいいですよ。すっごく快調!」


ダリアは冗談を言ってみるが、あまりウケてはいないようだ。

しかも、先ほどの表情とは打って変わって、ディエールは目を細めてダリアを見つめていた。


「はぁ...とりあえず、昨日と同じように特訓するぞ」


そうしてたどり着いた真っ白な空間。

ここで今日は何をするのだろうと、ダリアが疑問に思った時であった。

ディエールは戦闘態勢に入り、場の空気が一気に変貌した。


「お前が使える魔法は強化魔法だけだとしよう、遠距離を主とした魔法使いと近距離を主としたお前、一体どっちが勝つと思う?」


魔法使い。

即答であった。どんなに近距離を極めたとしても、間合いに入れなければ意味がない。

それに遠距離を極めている魔法使いなら、なおさらである。


「よくわかっているじゃないか。だが、お前は一つ勘違いをしている」


チッチッチッ。と舌を鳴らして指を振る。


「もしお前が一瞬で間合いを詰められるすべを持っていたら、話が変わってくる。どれだけ遠距離を極めても、攻撃する隙を与えずにこっちのテリトリーに持ち込めれば、こっちが断然有利なんだ」


じゃあどうやって。とダリアは尋ねた。

するとディエールは含みのある笑い方をし、そしてこう答えた。


「ただひたすらに、体を鍛えるしかない」


その言葉をきっかけに、ディエールによる強化特訓が始まった。













特訓が終わり、日はすっかり落ち切っていた。

薄暗い空を眺めながら、ダリアはボロボロになった体を必死に動かし続ける。


「まさか、こんなにきついなんて...」


近距離戦はある程度できるほうだと、ダリア自身そう思っている。

しかしディエールと相対するとき、なぜか彼は、自分が赤子のように感じてしまう。

それほどに、彼は別格だった。

 例の場所から入り口まで、なかなかな道のりを歩いている最中、ダリアの耳にふと人の声が入ってきた。

 その甲高い声は、聞き覚えのある声だった。


「まさか...ね」


そうつぶやき、ダリアは声のした方向に向かった歩を進める。

近くまで来たとき、またその声が響く。

花は枯れ果てており、生命の力を感じ取れないほどに、その場所だけ異様な雰囲気に包まれていた。


顔をのぞかせると、そこにはヘルメスが息を切らしてへたり込んでいた。


「こんなところで、一体なにしてるの?」


ダリアがそう尋ねた時、ヘルメスは驚いた表情で彼を見た。

その表情は罪悪感と驚きを隠せてはおらず、足と腕が震え切っている。


「今、私の声聞こえましたか?」

「うん、聞こえたけど、どうかしたの?」


その言葉を聞いて、ヘルメスはますます顔を青くしていく。


「いったいどうしたの?そんなに顔を青くしてさ」

「だ、だって...魔法を使った私の声を聞いたんですよ...あなた死んじゃうんですよ?」


突然の死亡予告に、ダリアは目を見開く。


「......え?」


普段から冗談を言わないヘルメスの言葉に息をのみ、彼は全身をくまなくチェックする。

しかしこれといった異変はなかった。


「特になんもないけど...?」


そういった瞬間、ダリアの手の平に何か温かいものが触れた。

視線を上げる。

するとそこには、初めて触れられる人を見つけ喜んでいる彼女の姿があった。

 

 ヘルメスは彼に顔を近づけて、嬉しそうに言う。


「急で悪いんですけど...私の特訓に付き合ってくれませんか?」


と。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

読者様には主人公が最強に成り上がっていく、そのさまを長い目で見守ってくれたらなと思います!


何かおかしな点があれば報告してください!通知が来たら爆速で書き直しますので(笑)

☆☆☆☆☆やブックマークよろしくお願いします!!

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