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第3話 絶望!Eクラス

ホテル状の施設の最上階でゆっくりと休み、日が昇るまでゆったりと睡眠をとる。

おかげで、ダリアは翌日は眠気もなく快調であった。

 

 (久しぶりにこんなによく眠れた。)


そんなささやかな嬉しさを胸にしまい、Eクラスと書かれた表札の下、がらりと音を立てて扉を開ける。


 彼の視界に広がったのは、全員が笑顔で話している光景だった。

絶望に暮れた表情すら見せずに、蜂の巣をつついたかのようにうるさい。

目新しい光景に目を奪われつつ、ダリアは静かに自分の席に着いた。

 

 席に着くなり、一人の少女が僕の目の前に現れた。


体格はダリアよりも一回り小さい。しばらくその鮮やかな赤色の瞳で、僕の顔色を伺う。

ふわりと桃色の髪がダリアの頬に触れた。

彼女とダリアとの距離は、目と鼻の先である。


「わあ!」


突然の出来事に目を見開き、わっ!とダリアは情けない声を出してしまう。

 顔が赤面していくのを感じ、プイと顔を背ける。


「見た目もそっくりだけど、そぶりもあの子にそっくしだねー」


「あの子って...?」

ダリアが尋ねた。


「ダリア・メルデスっていうんだけどさ、君があの子にそっくりなんだよ」


値踏みするように、ダリアの周りを歩き回る。


「まあただ、あの子は私がいないと生きて行けないような子だし...」


ダリア・メルデス本人は、彼女の話を聞いてゆくたびに心が狭くなっていくのを感じた。

やがて、ついに耐えられなくなった。


 ダリアは「僕が...ダリア・メルデスなんだけど......」と気まずそうに話した。


すると彼女の目は見開かれ、次の瞬間には叫び声に近い声で驚いた。

Eクラス生徒の目線が、ダリアたちに集中する。


「声抑えて...!」

「あー...ごめんごめん。まさか君がダリアだとは思わなくてさ」


それに...と言葉を足して、顔を覗き込む。

彼女の目は、獲物を見つけた肉食動物のように鋭い。


「あれからそこそこ経つけど、昔とまったく変わってないね...ずっとかわいいあの時のまま...」


そういって、ダリアの顔をまじまじと見つめる。


「ん?なにか言った?」


ダリアには最後に彼女が放った言葉が聞こえておらず、もう一度聞きなおす。

しかしゼーラは冷や汗をかいて答えを濁した。


 (髪型も髪色も、おまけに態度も変わったからなのか...別人みたいだ。)


「僕とは違って、ゼーラはずいぶんと変わったね」

「そう?」


(とんでもなく...変わったよ。)


そう言葉に表そうとした時、またがらりと扉が開く。

音がしたほうに視線を飛ばすと、そこには一人の男が、教壇に立ってあたりを一瞥していた。

 すらりとした細身の男性で、黒髪の短髪と青い瞳がよくマッチしている。


「さて、そろそろおしゃべりの時間は終いだ。席に着け」


前髪との間から放たれる鋭い眼光に恐れおののき、ダリアたちは急いで席に着く。

それはまるで魔法によって、命令に逆らえない傀儡のようにされた気分だった。


「まずは授業から...と言いたいところだが、まだお互い名前すらわからないだろ。だから今から少しの間、自己紹介の時間だ」


持っていた授業資料を、バンッ!と教卓に叩きつけた。


「表現方法は自由...魔法を目の前で披露するのもありだし、簡単な自己紹介だけで済ませるのもありだ」


それじゃあ、まずは俺が見本を見せるか...。

そう言って男は目を閉じ、再び開けると全員を一瞥した。


「俺の名前はディエール・アーレ。今日から、お前たちEクラスを担当することになった教師......やっぱ、面倒だな」


手にあったマニュアル本に視線を落とし、ゴミ箱に放り投げる。

頭をポリポリと掻いてはいるが、威厳は全く落ちていない。


「単刀直入に言う、俺についていける奴だけ来い」


最後の一言が、生徒を震え上がらせた。


ディエールの冷たい紹介が終わると、徐々に拍手の音量が大きくなっていく。

そんな中、ダリアはその教師にどことなく、親近感のようなものを感じていた。


「さて、それじゃあ今度はお前たちが自己紹介をする番だ。そうだな...」


それは相手も同じだったようで、ディエールはダリアのほうを見つめる。


「それじゃあダリア・メルデス。お前からだ」


クラス生徒全員の視線が、ダリアに集中する。

拒否しようにも、とても拒否できるような空気ではなかった。


 (なんで、一番最初がよりにもよって僕なんだ...。)


心の中で文句を垂れながらも、全員に聞こえるような声で自己紹介を始めた。


「こんにちは、ダリア・メルデスって言います。得意魔法は、簡易魔法の強化魔法です。よろしく」


全員がよろしくーや拍手を送り、ダリアを歓迎した。

 その後各々の自己紹介が終わり、最後にディエールが話を始めた。


「これから一か月後に、魔法試験というものがある...簡単に説明すると、不合格なら即退学。それだけだ」


全員が息をのんだ。

しかし構わず、ディエールは淡々と、冷静に話を続ける。


「だがしかし、試験で優秀な成績を収めた場合、Eクラスから上のクラスに上がることができる。次の第一次試験では、確か五人でグループを作って戦ってもらうといった内容だったな...お前ら、くれぐれも不合格になるんじゃないぞ」


不安にさせるような言葉を残して、ディエールは授業を始めた。

もちろん、全員は授業をまともに聞くことができなかった。


 (五人グループ...きっと強化魔法使いの僕は、みんなから避けられるんだろうな。いやでも、もしかしたら...)


授業中のダリアの心の中で、落胆と希望がせめぎ合っていた。





 


 




 (心が落ち着かない....散歩でもしようか。)


昨日のように眠りに入ろうとしたダリアだったが、うまく寝れない。

不安といったネガティブな感情は、今のダリアにはない。

それなのに、なぜかうまく寝付くことができなかった。

 近くにあった湖まで歩いて休息を取り、月光と湖が作り出すその幻想的な光景をまじまじと見つめる。


 (それにしても、あのディエール・アーレっていう人、なんとも言えないけど...なんか他とは違う何かを感じる...僕の勘違いかな?)


そんな疑問も、目の前に広がる景色に消えてゆく。

 どれくらいたっただろうか、ダリアがはっと気を確かにしたときは、かなりの時間が経っていた。


「ふ、ふわぁぁ~...眠くなってきたし、そろそろ寝ようかな...」


そう踵を返そうとした時だった。

近くにあった茂みあたりから、ガサリと物音がする。


 (この音は間違いない...人だ。)


彼は今まで、自然に囲まれた環境で生きてきた。

だからこそ、彼は自分自身が狙われていることを確信する。


 (多分、逃げれないな...だったら...。)


覚悟を決め、背後を振り返る。

そして暗い視界の中、ダリアは口を開けた。


「そこにいるのはわかっているんだ。出てこい!」


震える声でそう叫ぶ。

すると先ほどの茂みから、一人の影が現れた。

視界が暗いせいで、ダリアはその人物像をはっきりと把握することができなかった。

フードをかぶった何かが、じわじわと近寄ってくる。


 ソイツは静かに懐から杖を取り出し、ダリアに向けた。


危機を感じ取り、寸でのところで回避する。

ズガンッ!

直後、元のダリアがいた方向で、大きな爆発が起こった。


 (なるほど。個人差が出る普通魔法を封じて、身元を隠しているのか...なら対処法はあるかも...。)


しかしダリアの思惑通りにはいかない。

絶え間なく続く基本魔法の嵐に、ダリアはよけることが精いっぱいだった。


 (これじゃあ防戦一方だ...なら...!)


身体強化魔法を再び発動する。

いつもより強く魔力が循環していくのを意識する。

血管が軋む音が止まない。


 しかし気にせず、地を踏み、一瞬でソレに接近する。

 ちょっとしたスピードの変化でも、ソイツに隙を作らせるには十分だった。


ダリアの拳が、ついに攻撃可能範囲に届く。

ついにその拳が影に...そうダリアは確信したが、ソイツはついに魔法を発動した。


 次の瞬間、ダリアは衝撃を食らったように、近くにあった木に背中から衝突した。


「ぐっ...!」


背中から衝撃が伝播する。

視界が揺れ、意識が混濁するのを感じた。

しかしそれでも、ダリアは歩を進めた。

歪む視界には、魔法を発動しようとするヤツが見据えられている。


「よく頑張った...後は俺に任せておけ」


次の瞬間、ディエール・アーレが横から飛び出すと同時に、一瞬にしてその男を沈めた。

 一撃だった。

 魔法じゃない、ダリアと同じように、拳で。


 拳はソレの腹に深くめり込んでいた。


 重たい一撃により、それは口から胃液を吐く。

 そして最後に、白目を剥いて気絶した。


「せ、先生...」


しばらくの静寂が続いたが、ダリアがそれを破る。

唖然とするダリアをよそに、ディエールは淡々と男を縛り付け、肩に乗せた。


「こんな夜遅くだ...今日は早く帰れ。補習を受けたいなら別だがな。また明日、じっくり話そうか」

「......」


ダリアは複雑な感情を胸にしまい、その場を去る。

影とディエールだけが残され、あたりは静まり返っていた。


 (それにしても、驚いたな...まったく、君の血筋は本当に恐ろしい。)


真実、ディエールはダリアと例の影との戦闘に出くわしていた。

しかし彼は応戦することはなく、ただダリアの戦闘スタイルを見極めていた。


戦闘スタイルを見て、昔の記憶がよみがえる。

 彼を支えた、一人の青年の背中姿がはっきりと映った。


「安心してくれ。君の約束通り、ダリアは俺が育てるさ...」


暗い夜道を...静かな夜を、一人の男が歩く。


「最強になるまで...」


夜風が、彼の髪を揺らした。

===

最後まで読んでいただきありがとうございました!

読者様には主人公が最強に成り上がっていく、そのさまを長い目で見守ってくれたらなと思います!


何かおかしな点があれば報告してください!通知が来たら爆速で書き直しますので(笑)


☆☆☆☆☆やブックマークよろしくお願いします!!

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