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第17話 激昂!怒れる拳

場所は青チームの拠点。

フードをかぶったネルスが、青チームの前に立つ。

――未知なる恐怖。

キャロルの膝は震え、まともに足に力が入らない。


「あなた...何するつもり?」


冷汗をかきながら、キャロルは尋ねる。


「何って、こうだよ」


瞬間、閃光が走る。


ソレは、一人の生徒の腹を貫いた。


ビチャッ。と、返り血があたりに飛散する。

ゾワリ。と嫌悪感が背筋を駆け巡った。


「さて、次はだれにするかな」


生徒たちは、断末魔に近い叫び声をあげて逃げようとする。

ドゴォン!

しかし、ネルスにより生徒たちの行く手を阻む爆破が起こった。


 ニタリと、ネルスは笑う。


「やっぱ、全員皆殺しかな」

「ほう...教師としては、聞き捨てならないセリフだな」


風がネルスの頬を撫でる。

次の瞬間には、ガシッ。と、手首を強くつかまれていた。

その筋肉質な腕。

見上げた先には、ディエールがいた。


「っ...!!」


手を振りほどき、距離をとる。

タラリと、冷や汗が流れた。


(あいつ...一瞬で俺との差を縮めてきやがった。それも...俺に気取られずに)


目を見開く。

モネが一瞬で殺された。あの報告が、頭をよぎった。


(こいつだ...!俺にはわかる、この威圧感)


ゴクリと、固唾をのむ。


(こいつが、モネを殺した張本人だ...!)


焦るネルス。しかし対するディエールは、目を細めてネルスを見ていた。

その眼は、まるでトラのように鋭い。


「ガキのお遊びに、大人が首を突っ込んでんじゃねーよ」


にやりと笑い、フン。と鼻を鳴らす。


「まあ、俺も人のことは言えないがな」

「随分と、余裕じゃないか...こんな荷物たちを持ってもなお、俺に勝てるとでも?」


ネルスは震える生徒たちを見渡す。

ディエールは、はぁ。とため息をついた。


「今回のジーノルタスの目的。それは、生徒たちを皆殺しにする。だろ?」

「...よくわかってるじゃないか。じゃあ尚更―-」

「逆だ」


ディエールはポキポキと手を鳴らし、構えをとる。


「荷物を持ってても、お前に勝てる」

「......そうかよ、じゃあ...!」


ネルスは杖を構える。

そして発動。


 しかし、静寂だけがそこにはあった。


「な...なぜだ!なぜ、魔法が使えない...!?」


もう一度、また一度と杖を振る。

しかし、何も起きない。


「魔法が発動しない。か。俺はどうやら、『すごく運がいい』みたいだな」


それじゃあ。と言った瞬間--。

ネルスの口の中に、胃液がいっぱいに広がる。

ドスッ!

腹にめり込んだ拳は、見事にみぞおちをとらえていた。


(なんなんだ...こい......つ)


ネルスの視界が、次第に薄暗くなっていく。

そして糸が切れたかのように、すん。と気を失った。

白目をむくネルスを、見下ろす。


「訂正するぜ、お前は大人なんかじゃなかった」


どっこいしょ。

肩に、ネルスを乗せる。


「大人になり切れてない、ただの『ガキ』だ」


と。














場所は赤チームの拠点。

目の前で繰り広げられている光景を、ダリアは歯ぎしりしながら見つめている。


(...隙を!)


ダリアが模索しているうちに、ベリルはディエーゴの横にたどり着く。

ちらり。とこちらを見て――

ドスッ!


「が...ああぁっ...!」


倒れるディエーゴを踏みにじった。

何度も、何度も。

踏みにじる音とともに、ディエーゴの叫び声が響く。


「いい声で鳴くじゃねぇか!ほぉら!もっと鳴いて見ろよっ!!」

「がぁっ...!あああぁぁっ!!」


耳をつんざくような声に、ダリアは思わず目をつぶってしまう。


鼓動が速くなる。


(早く、隙を...!)

『......うるさい...』


呼吸が荒くなる。


(一刻も早く...!)

『うるさい...』


ベリルは最後に、思いきりディエーゴの傷口をけりつけた。

ベチャリ。

血が、あたりに飛散した。


(早く...!)

『うるさい!』


スンッーー。


音が消える。

あの時と同じ。周りの音も、不要な考えも、何も感じ取れはしない。


 音のない世界で、ボウッ。と、火が灯される。

 殺意という名の炎が。


(もう関係ない...。隙とか、技術とか。そんなの...どうだっていい)


血が出るほど強く、こぶしを握る。


(今はただ...あいつを殴らなくちゃ気が済まない!!)


ポタッ。と、血が落ちる。

音のない世界で、ダリアはベリルの名前を呼んだ。


「ベリル...」

「あ?なんだ、今度はお前が――」


言葉を止める。

ダリアから向けられた殺意の目。

ベリルの記憶が、一気に頭をよぎった。


「っ!違う!俺はもう、あの時の俺とは違う!」


声を張り上げても、体は小刻みに震えている。

その手先で、強く、ヘルメスの首元をつかんだ。


「俺は、今のお前より強い!これは絶対だ!揺るぐはずのない概念のようなものだ!」

「...本当にそうか?ベリル」


目を細める。


(ありったけをぶつけてやらなきゃ...許せない!)


内に秘めた魔力を、すべて放出する。

限界を超えた、身体強化魔法。


 発動するなり、体のありとあらゆる場所から嫌な音が鳴り始めた。


「貴様の魔法なんかよりも、僕の右ストレートのほうが強いってこと、教えてやる」


一歩を、踏み出す。

ーーズドンッ!


ダリアの右ストレート。

今にもベリルを貫いてしまいそうなほどに、深くめり込んでいた。


ズンッ!―-


胃がつぶされたような不快感。

それとともに、ベリルは胃液と血が混じった混合液を地面に撒いた。

はずみで、ヘルメスを放す。


「きゃっ...!」


ヘルメスを、ダリアが抱きかかえる。


「大丈夫か、ヘルメス」

「...うん。ありがとう」


顔に熱を帯びさせながら、そっぽを向いた。

ヘルメスをおろし、ベリルのほうへと向かう。

息を荒くし、目を見開きながら、ベリルはダリアを見つめていた。


「はぁ...はぁ......」

「貴様は、僕がこの手で葬ってやる」


一発。また一発。

馬乗りになった状態で、目にも見えない速度でベリルの顔を殴打する。

悲鳴なんて聞こえない。

目に浮かべていた涙だって、ダリアの視界には映らない。


 拳から伝わる、生ぬるい温かさ。

 そして、だんだんと原形をなくしていく彼の顔だけが確かだった。


「おい」

「......」

「おい...!」


拳が赤黒色に染まるころ、ダリアの腕を誰かがつかんだ。

視線を上げる。

ディエールが、力強く手首をつかんでいた。


「ディエール...先生?」


ダリアの世界に音が戻る。

それと同時に、砕けてしまいそうな痛みが駆け巡った。


「ぐぅぅっ...!?」

「限界を超えて発動した代償だな...そこで休んでろ」


体が動かないダリアを横たわらせる。

ディエーゴのもとで涙を流すゼーラのもとに向かい、容体を確認した。

あたりには、血が飛散している。


「っ...」


鉄のにおいにより、以前の夢の光景が重なる。


「先生、ディエーゴが...!」

「狼狽えるな...教師は生徒を守るだけでなく、治すのも得意なんだ」


目を閉じているディエーゴに、手をかざす。

発動するなり、ディエーゴの傷が徐々にふさがっていった。


「...っ。あ...れ......。先生?」


徐々に明けていく視界。

ディエーゴは、そこで目を覚ました。

ゆっくりと視線を動かし、体の隅々を確認する。


 驚くべきことに、傷は一切見られない。


「先生、俺に何したんすか?」

「何って、回復魔法だが」


ディエーゴは疑いの目を向ける。


(回復魔法でも、こんなにきれいに治すことはできない...それに)


ディエールに担がれている一人の男に、視線を飛ばす。


(こいつもさっきの奴と同じ格好だ...なのに、先生は傷一つ負ってない)


一つの結論にたどり着く。

目を揺らしながら、冷汗をかいた。


(ヒーラーでもないのにこの回復魔法の精度...俺たちの担任、とんでもねぇ化け物じゃねーか...)


と。


最後まで読んでいただきありがとうございました!

読者様には主人公が最強に成り上がっていく、そのさまを長い目で見守ってくれたらなと思います!


何かおかしな点があれば報告してください!通知が来たら爆速で書き直しますので(笑)

☆☆☆☆☆やブックマークよろしくお願いします!!

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