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第12話 開始!第二次試験

毎日の特訓の成果を、見せる日が来た。

きたる二次試験、試験周辺にある孤島が今回の試験会場だ。

ダリアの前に、大きなバリアが立ちはだかる。

絶対的な防御であり、ダリアを高いところから見下ろしているような高さを持つそのバリア。


 このバリアは、俗を通さないための絶対的な壁。および外と中を隔絶する仕切りでもあった。


「今からあなたたちにはこのバリアの中で戦ってもらうわ」


拡声魔法を使いながら、オリベルは説明を始めた。


「ルールは簡単、全学年のAクラスとDクラスをチーム赤、B、C、Eクラスをチーム青に分けて拠点防衛戦を繰り広げてもらうつもりよ。三日間の間に、先に拠点に立っている旗をとったほうが勝利。勝ったチームには20点をあげる」


直後、オリベルはにやりと笑う。


「だけど、さらに特殊なアクションを起こした場合は追加で点数を上げるわ。アクションに応じて点数は変動するから、最後まで頑張って頂戴」


長々とした説明を終え、オリベルは一息をつく。

その後オリベルの横にずらりと並ぶ各クラスの担任が、一斉に拍手を送った。


 人の熱狂といった感情が渦巻くたまり場から何とか離れたダリア。

 彼はようやくディエーゴたちと合流した。


「まさか、試験直前に試験の説明があるなんてね。正直予想外だったよ」

「ああ、まったくだ。ディエール先生に教えてもらった俺たちは幸せもんだな」


ディエールに教えてもらったことで、ダリアたちはそれぞれ第二の刃を持つことに成功していた。


 バン。と、ダリアはポケットの中にあるソレを叩く。


すると、ざわざわと前にいる生徒たちがどよめきを起こす。

彼らは何かを避けるようにして離れていく。それの進路には、だれもいない。


 海を割るモーセが、その道を通って現れた。


 ソレはダリアを苦しめ、絶対的な壁として立ちはだかるアローネであった。

 しかし今回はAクラスとDクラスは仲間、実に頼もしい。


「やあ、ダリア君。今回の試験でちゃんと戦えると思っていたんだけど...残念だね。でも、今回は君の成長ぶりをしっかりと見せてもらうよ」


相も変わらず、アローネはそれだけ言い残してどこかへ去って行く。

まるで風のようだ。

しかし風は止まずに、まだ吹き荒れる。


 ドンッ。と、ダリアの肩と少女の肩がぶつかった。


「ごめんなさい!」


ダリアはすぐに謝るが、少女はダリアのバッジをじろりと見つめて眉をひそめた。


「ちょっと...!一体どこ見て歩いてるのよ。低俗が!」


少女は金切り声を上げる。

そして向こうには瓜二つの少女、青を基調とした容姿を持つ双子だ。

彼女らには金のバッジ...つまりBクラスの文様が彫られていた。


「やだ...Dクラスごときが私に触れないでよ。あーあ、また洗わなくちゃ。ほんと、人ごみって嫌いだわ」


そう言いながら、先ほどダリアとぶつかったところを払い続ける。


「やっぱり、こういう低俗どもがいるところは嫌になるわ」

「大丈夫だよお姉ちゃん。あとでやり返せばいいよ」


後ろの少女が、睨みを利かせてギロリとダリアたちを睨んだ。


「そういえば、私たちは敵だったっけ。きっとほかの生徒にやられちゃうと思うけど、もし私たちのところまで来れたら、その時は存分に可愛がってあげるわ」

「かわいがってあげる。泣いて謝るまでね」


双子はダリアを挑発し、そしてどこかへ去ってしまった。

優雅に立ち去るその姿とは裏腹に、ゼーラは二人の姿が見えなくなるまで彼女たちをにらみつけていた。

 その時の彼女を渦巻くのは、負の感情が入り混じったような、どろりとした殺意であった。


横にいたアルゼーヌがダリアに駆け寄る。


「ダリア君、大丈夫?」


アルゼーヌがダリアの様子をうかがう。

大丈夫。とそれだけ言って、彼女たちが去って行った方向を見つめる。


「行こう。どんなに言われようと、今の僕には対抗できる力があるんだから」


ダリアは強く拳を握り締める。

その拳には、今までの成功体験や敗北といったすべてが乗っているようだった。

















「さて、それじゃあ拠点争奪戦なんだけど...」


一から三の学年のAクラスとDクラスの生徒が、作戦会議を始めた。

もちろん、司会はアローネである。

彼女は目の前に移る旗の上部を力強く指さし、作戦を唱えた。


「なるべく攻める部隊と守る部隊の人数を一致させたい。それに食料調達部隊も」


机に広がる一枚の地図を広げる。

彼女はここだといわんばかりに強く、たたきつけるように指をさした。


「守る部隊にはAクラスをお目に配置して、食料調達部隊は非戦闘系の魔法を主とする生徒を置きたいわ」


そして...。と、アローネは言葉を付け加える。


「攻撃部隊は少数精鋭...だから私が出る。あとはそこにいるDクラスの生徒たちを主体とする編成で行くわ」


そう言って、アローネはダリアたちのほうを指さした。

「ありえない...」「Dクラスなんかに務まるわけないだろ!」という声が聞こえてくる。


 やはりDクラスであっても、所詮は下級の存在である。


その事実を、たたきつけられるような感覚にダリアは陥る。

しかし、アローネだけは違った。

それじゃあ。と立ち上がり、あたりを一瞥する。


「この中で、私の重力に耐えた人はいるのかな?」


今一度周りを一瞥する。

しかし、だれも声を上げようとはしない。


 誰も、彼女の重力に耐えられた人物はいなかった。


彼女はうなずき、再びダリアのほうへ視線を飛ばす。


「あの子は私の重力に耐えられた。だから、彼らに託すわ。彼らのほうがよっぽど頼りになる」


唖然とする周り。しかし彼女だけは違った。

しっかりと目に勝利のビジョンを抱き、ソレをつかもうとしている。


「作戦は単純だ...」



 それから長々とした作戦会議が始まった。











場所は観客席。

全学年のA、Dクラスの担任が、バリアの外で生徒の安否を心配する。

しかしその中で一人、ひょうひょうとしている教師がいた。


 もちろん、ディエールである。


彼はぼーっと空を眺め、時間をつぶしていた。

生徒への心配は、一ミリもない。

コツン。

靴が地面と触れ合う音。しばらくして、ディエールの視界にオリベルが映りこむ。


「なんだ?学園長」

「あなたに聞きたいことがあるの。ちょっといいかしら?」


ディエールは頭をかき、気怠そうに息をついた。


「しょうがねぇな。さっさと終わらせてくれ」

「重要な話だから、そう簡単には終わらないけれどね」


ドスリ。と、ディエールは力強く、その筋肉質な腕をオリベルの肩に乗せる。


 パチンと。オリベルが指を鳴らすとともに、視界が暗転する。


気が付けば、目の前は学園長室であった。

窓から差し込む日光が、ディエールの目を刺す。


「話す内容は、わかっているわよね?」

「さあ?まったくもってわからないな。説明してくれよ...学園長?」


とぼけている教師に、オリベルはあきれるようにため息をつく。

紅茶を一杯すすり、鋭い目でディエールを睨む。


「あなた、モネをどうしたの?」


と。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

読者様には主人公が最強に成り上がっていく、そのさまを長い目で見守ってくれたらなと思います!


何かおかしな点があれば報告してください!通知が来たら爆速で書き直しますので(笑)

☆☆☆☆☆やブックマークよろしくお願いします!!

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