第二章 第9話:使い魔激おこ事件 ―― リリス、存在感を取り戻す
世界樹へ向かうため、
理央たちは獣王国の北門へやってきた。
荷物の最終確認をしつつ、
ミュナは地図を広げて説明している。
ミュナ
「世界樹までは、だいたい三日の道のりです。
森の中は魔物も多いので警戒しないと──」
ルル
「任せて! あたし、狩りは得意だから!」
理央
「俺も魔法の反復練習できるし、いい感じの旅になりそうだな」
そんな和やかな空気の中──
ぷるぷるぷるぷる……
小さな震えが理央の肩から伝わってくる。
理央
「……ん?」
ルル
「リリス、なんか震えてない?」
ミュナ
「寒いのかな……あ、マント貸すよ?」
リリス
「ち・が・い・ま・す・の!!!!!」
突然、理央の肩の上でリリスが爆発した。
◆ ■ リリスの怒り、天へ届く(大爆発)
リリス
「最近!! 私!! 出番!! なさすぎ!!
私は!! ただの肩の飾りじゃありませんの!!!」
理央
「あ、あー……いや最近色々忙しくて……」
リリス
「その“忙しくて”の中に、
私が含まれてませんわよね!?」
ルル(苦笑)
「うわ……久しぶりに怒ってる……」
ミュナ(小声)
「リリスちゃん、かわいい……」
リリスはさらにヒートアップする。
「私は!!
正式に“理央の使い魔”ですわよ!?
魔王級のポテンシャルがありますのよ!?
なのに!! 最近の私の扱いと言ったら!!」
指を一本一本折りながら言う。
「理央とルルの模擬戦を“見てるだけ”!!
ミュナとの魔法研究を“見てるだけ”!!
王様の暴走を“見てるだけ”!!
極めつけは──」
ビシッと理央を指差す。
「見てるだけ!!!!」
理央
「ぜ、全部見てるだけじゃん……」
リリス
「見てるの飽きましたの!!
使い魔として! パートナーとして!
もっとこう……活躍したいのですわ!!」
◆ ■ リリスの“魔族目線の推理”が炸裂
するとリリスは、
腕を組んでキリッと顔を引き締めた。
「それに──
今回の世界樹の件、明らかに異常ですわ」
理央
「……ほう?」
リリス
「魔族的に見れば、
“成長の理”は完全に人工的。
自然の魔力とは違いますの」
ミュナ
「えっ……人工的って……」
リリス
「世界樹の力ではありませんわ。
誰かが“世界樹に混ぜ物をした”のですわよ」
ルル
「混ぜ物……誰が?」
リリスはニヤリと笑う。
「決まってますわ。
女神エルネシアですわね」
理央とルルが息を飲む。
リリス
「魔族から見ても分かるくらい、
世界樹の魔力が不自然なんですわ。
あれは自然じゃなくて“加工品”」
理央
(さすがリリス……
魔族目線で見える情報があるのか)
リリスは胸を張る。
「だからこそ!
私の知識が必要なのですわ!
魔族由来の理・魔力の性質……
“理の種”の正体も、私なら分析できるかもしれませんの!」
ルル
「おお……!!
リリスちゃんマジで頼りになるじゃん!」
ミュナ
「すごい……リリスちゃん、やっぱり天才……!」
リリスは頬を染めつつ咳払い。
「ま、まあ……?
その気になれば? ですわ?」
◆ ■ 理央、素直に謝罪
理央
「……悪かった。
リリス、もっと頼るよ。
お前がいなきゃできないことも多いし。
これからは前に出てもらう」
リリス
「……っ!!」
一瞬だけ固まった後──
「も、もうっ……
最初からそう言えばいいんですの!!!」
ぷいっと顔を背けつつ、
しっぽ(魔力の炎)がブンブン揺れている。
明らかに嬉しい。
◆ ■ 再びパーティは動き出す
理央
「じゃ、世界樹へ行くか。
頼むぞ、リリス」
リリス
「任せてくださいまし!
このリリス・デビルテイル、
使い魔の本気、見せて差し上げますわ!!」
ルル
「よーし、行こっか!」
ミュナ
「うんっ! 一緒に頑張ろうね、リリスちゃん!」
こうして、
“怒り”でようやく存在感を取り戻したリリスを加え、
理央たちの世界樹へ向かう本当の旅が始まった。




