第二章 第8話:旅立ちの準備 ―― 王を守る祈りの首飾り
世界樹へ向かうと王に告げた翌日。
理央・ルル・ミュナは王城の特別室へ案内された。
そこは、
国の危機に対して勇士が出発する際に使われる“正式な準備室”だった。
武具、薬草、地図。
壁には歴代獣王の肖像が並ぶ。
ルル
「なんだか……本当に、冒険に出るんだね!」
ミュナ
「理央さん、ルルさん……危ないところだから、私しっかり案内するね!」
しかし、理央の表情はどこか晴れなかった。
ルル
「どうしたの、理央?」
理央
「……王様の状態が気になるんだよ。
昨日オーバーフローで一時的に抑えただけだから……
また暴走する可能性がある」
ミュナは胸の前で手を握りしめる。
「王様……本当に優しいの……。
民の事を一番に考えて、ずっと国を守ってきた人だから……」
理央
(……そんな王様が、女神の理のせいで苦しむなんて……
絶対に許せない)
その時だった。
理央の頭に、ひとつの発想がよぎる。
(……だったら作ればいいじゃん。
オーバーフローの“受け皿”を)
◆ ■ 理央の発想
“オーバーフローを溜める器”を作る
理央
「……アクセサリー作るか」
ルル
「えっ!? アクセサリー?」
理央
「そう。
王様の体にいきなりオーバーフローをぶっ放すんじゃなくて、
余分な成長の理を吸い取る“器” を作るんだよ」
ミュナ
「そんなこと……できるの?」
理央
「やってみる価値はある。
ミアの魔法式、セラフィーナの術式、
そして俺の祈りを合わせれば……いける」
三人は素材探しを始めた。
・魔力を蓄える鉱石
・微量の魔族核(リリスが提供)
・獣人が誇りにする世界樹の小枝(王より拝領)
これらを組み合わせ、
理央は両手を小さく動かして魔力を流す。
ルル
「理央って、たまに天才だよね……」
ミュナ
「いえ……いつも天才ですよ……!」
理央は照れる。
「やめてくれ……ただの“なろう知識+逆張り”だって……」
リリス(使い魔)
「ご主人、もっと誇っていいのですよ〜?」
理央
「誇らないのが日本人なんだよ……」
◆ ■ 完成 ―― 《祈りの首飾り(オーバーフローチョーカー)》
光が収まると、
そこには美しい銀の首飾りが生まれていた。
中央には淡い青い宝玉がはめ込まれ、
優しい脈動を繰り返している。
ミュナ
「……綺麗……!」
ルル
「すごいよ理央!!」
理央
「これは、王様の“成長の理メーター”みたいなもの。
暴走の気配が出ると、自動で余剰分を吸収してくれる。
ただし──」
ルル
「ただし……?」
理央
「吸収量に上限がある。
王様みたいな大物だと、いずれ溢れちゃうかもしれない。」
ミュナの顔が曇る。
「それでもいい。
少しでも……王様が楽になるなら……!」
◆ ■ 王への贈呈 ―― 側近たちの涙と、民の信頼
王室の私室に入ると、
王は依然として苦しげな姿勢だった。
グラウド
「理央……またわしのために何かしてくれるのか……?」
理央
「王様。
これを付けてください」
理央が首飾りを差し出す。
グラウド
「……これは?」
理央
「“祈りの首飾り”です。
王様の獣魔化を抑えるための……
俺なりの治療具 です」
王は驚いた顔でそれを手に取る。
「……こんな美しいものを……」
ミュナ
「王様に、元気でいてほしいから……!」
側近たちの目に涙がにじむ。
「王……!」
「ありがたい……!」
「王は……民にとって希望なのです……!」
王が首飾りを身につけた瞬間。
ふわり と柔らかい光が王を包んだ。
黒い鎖がゆるりとほどけ、
胸の苦しみが消えたように王の顔が明るくなる。
グラウド
「……体が……軽い。
これは……奇跡だ……!」
ルル
「よかった……!」
ミュナ
「王様、素敵です……!」
側近たちは涙をぬぐい、頭を深く下げた。
「理央様……我らは一生恩を忘れません……!」
「王だけでなく、国を救ってくださった……!」
理央
「いや、国民あっての国ですから。
王様に倒れてもらっては困ります」
グラウドは笑った。
「……そなたは、本当に……
“理の外側”から来た男だな」
◆ ■ 旅立ちへ
王は真剣な表情で言った。
「理央、ルル、ミュナ……
世界樹へ行ってくれ。
そなたらなら……この国を救える」
理央は静かに頷く。
「行きます。
絶対に、この国を守ります」
ルル
「もちろん! 行こう、理央!」
ミュナ
「私も……絶対に役に立ちます!」
こうして、
祈りと決意を胸に、世界樹への旅が始まる。




