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第二章 第7話 獣王暴走 ―― そして世界樹の祝福の真実へ**

王城へ戻る道すがら、

理央の“祈り感知”はずっと胸騒ぎを訴えていた。


(……嫌な気配がする。

 王様の鎖……絶対に進行してる)


ルルも同じだった。


「理央……王様、大丈夫かな……?」


ミュナは唇を噛んでいた。


「王様、最近ずっと苦しそうで……

 あの黒い気配……街全体に広がってる……」


その直後だった。


ズドンッ!!


城の奥から、爆発のような音が響いた。


「……今の音、まさか──!」


ルルが叫ぶと同時に、

3人は走り出していた。


◆ ■ 暴走獣王 ―― 玉座で吠える影


謁見室の扉を開いた瞬間。


そこにいたのは、

“王”ではなかった。


玉座の前でうずくまり、

黒い筋を全身に浮かび上がらせた獣王――


グラウドだった。


赤黒い瞳で天井を睨み、

低い獣の呻き声を漏らす。


「ガ……ァァ……アアアアッ!!!」


ミュナ

「王様……!!」


側近たちは恐怖で後退し、

武器を構えるしかできない。


だが誰も、“王”に刃は向けられない。


ルルが即座に叫んだ。


「ミュナ! 一緒に王様を押さえ込むよ!」


「う、うん!!」


二人が同時に飛び込んだ。


◆ ■ ルル&ミュナの決死の抑え込み


暴走状態のグラウドは、

獣人の中でも最強クラス。


腕を振るだけで、

床石が砕けて粉塵が舞う。


ルルが身体強化を発動しながら、

正面から王の腕を受け止める。


「う……っ!! 重すぎ……っ!!」


身体強化+リミットブレイクリンクでも押されていた。


横からミュナが支える。


「王様!! 思い出して!!

 あなたは……民を守る王様でしょう!!」


その声に、

一瞬だけ王の瞳が揺れる。


が、すぐに赤黒さが戻る。


「ガアアアアァアア!!」


王の爪がミュナに迫る。


「ミュナッ!!」


ルルが片手でミュナを押し戻し、

自分が爪を受ける形になる。


ルル

「ぐっ……!!」


理央は叫ぶ。


「二人とも後ろに下がれ!!」


◆ ■ 理央の決断

「王様にも……ぶっ放す!」


理央は女神の理を完全に無視し、

祈りと魔力を合わせる。


(王様を……助ける!!

 だから祈りは“願い”じゃない。

 ただ……こうなってほしいって思うだけだ!!)


「ルル! ミュナ! 王様の動きを止めて!!」


二人が必死に押さえる。


ルル

「はやくお願いっ……!!」


ミュナ

「王様を……救って……!!」


理央は叫んだ。


「《過強化神聖魔法オーバーフロー》ッ!!!」


白い光柱がグラウドを包む。


側近

「なっ……!?」

「王に向けて魔法を……!?」


光が王の身体に流れ込み、

黒い筋がビキビキと破裂音を立てて剥がれていく。


パァンッ!!!


爆ぜるように黒い理が外れ、

グラウドの瞳が徐々に元の鋭さを取り戻していく。


◆ ■ 一時回復 ―― 国の危機を悟る


グラウド

「……う……うぉ……」


ミュナが涙ぐむ。


「王様! よかった……!」


ルル

「理央、成功したんだね!!」


理央は肩で息をしながら答える。


「いや……これは“応急処置”。

 根本を治したわけじゃない。

 また暴走する。

 王様が一番ダメージ受けてるんだと思う」


グラウドは、胸を押さえながら言う。


「理央……

 そなたの光は……わしを救った。

 この借りは……必ず返す」


その目は、今にも揺らぎそうな危うさが残っていた。


理央は続ける。


「王様……

 これは呪いじゃありません。

 女神が獣人に植え付けた“成長の理”。

 それが暴走しています」


玉座の間がざわつく。


◆ ■ 世界樹の“祝福の光”が全ての始まり


グラウド

「……世界樹の……祝福か」


理央

「知ってるんですか?」


王は静かに語り出した。


「建国の象徴たる世界樹……

 毎年、国民はその光を浴び、祝福を受ける。

 本来は、獣人の健やかな成長を願う光だった」


「しかし……今年の光は、違った。

 あれは……強すぎた。

 まるで……“力を眠らせていた種”に火をつけるような……」


理央

(やっぱり……!

 女神が世界樹そのものに干渉したんだ)


ミュナが静かに言う。


「……建国祭の光、みんな浴びてたもんね。

 でも私は……風邪で行けなかったよ……」


王の側近が驚く。


「では……祝福の光を浴びなかった者は、獣魔化していない……?」


ルル

「確かに……ミュナは暴走の兆候がないよね」


ミュナは胸に手を当てる。


「私……なにか……違うのかな?」


理央の祈り感知は、

彼女の胸から柔らかい光を確かに“聞いて”いた。


(ミュナの中には……女神の理が入ってない。

 だから“祈りの器”として育つ)


理央は前に出た。


「女神の理の種は、世界樹の光から広がったものです。

 源を断たないと、いずれ国が滅びます」


王は苦しげに頷いた。


「……わしを含め、獣人全てが……

 “獣魔化”する未来が見える……」


ルル

「そんなの絶対にダメだよ……!」


ミュナ

「王様……国を守りたいんですよね……?」


グラウドは震える声で言った。


「……頼む。

 世界樹を調べてくれ。

 わしには……もう時間がない」


理央は拳を握る。


「行きます。

 世界樹の真実を──暴きます」

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