*第二章 第6話 暴走獣導士ゴール ―― 過強化神聖魔法オーバーフロー**
翌日。
生活魔法とルルの獲物調達によって、人族居住区は見違えるほど明るくなった。
しかしそれは――嵐の前の静けさだった。
ドォォォン!!
轟音が街に響き渡る。
ミュナが青ざめる。
「……まさか……!?」
悲鳴が続く。
「逃げろぉおお!!」
「ゴールさんが暴走したぞ!!」
ルルと理央はすぐに駆け出した。
◆ ■ 暴走獣導士ゴール
広場に着くと、
大柄な熊獣人――ゴールが四つん這いで吠え狂っていた。
普段は温厚で、子どもにも優しい獣導士。
だが今は──黒い筋が全身を走り、
瞳は真紅に濁っている。
ミュナ
「ゴールさん……なんで……!」
ルルは剣を抜く。
「理央! 私が止めるから、あなたは……!」
理央
「了解! 全力で時間稼ぎ頼む!」
◆ ■ ルル vs ゴール ―― 勇者としての激闘
ルルは身体強化を使って突っ込み、
ゴールの巨大な腕を受け止める。
ガァァァァッ!!
「うぅ……っ!! 重い……!」
獣人の“理による成長促進”を受け、
ゴールは通常の獣人の何倍も強化されていた。
だがルルも負けていない。
パァン!!
ゴールの腕を受け流し、顔面へ回し蹴りを叩き込む。
「これで……どうッ!?」
ゴールがよろめく。
理央
(やっぱルル強ぇ……!
でも長くは持たない……
なんとかするのは俺の役目だ)
◆ ■ 理央、観察開始
“呪いではない”と確信する
理央はゴールの体を凝視した。
黒い筋は確かに呪いに似ているが、違う。
(……これ、“成長の理”の暴走だ。
女神が獣人に埋め込んだ“成長促進の枷”。
本来はクラスアップのためのもの。
でも今は……過剰成長の暴走状態)
ミュナ
「理央さん! 浄化魔法は!?」
理央
「普通の浄化じゃ無理だ……これは呪いじゃない。
“女神のプログラム”みたいなもんだ。
成長を促す理が……制御不能になってる」
ルルが押し込まれながら叫ぶ。
「理央! 早く……なんとかして!!」
◆ ■ 理央の気づき
「なろうで見たアレじゃん……!」
理央の脳裏でひらめく。
(あ……これ、なろうでよくあるやつじゃん)
――“成長バフが暴走した時は、逆に過剰にバフを与えて上限突破させてリセットする”
そんな作品を読んだ記憶がある。
(つまり……
成長の理に“過剰強化”を与えることで、
オーバーフローを起こしてリセットできる!)
理央は手を掲げた。
「ミアの魔法……セラフィーナの神聖魔法……
全部混ぜてやる!」
◆ ■ 《過強化神聖魔法》発動
理央は魔力と祈りを合わせる。
女神への“お願い”ではなく、
ただただ ゴールが助かってほしい という純粋な祈り。
(成長の理よ、加速しろ……
限界まで、いや、限界を“超えろ”!!)
「《過強化神聖魔法》ッ!!!」
白い光柱 がゴールを貫く。
ミュナ
「え……なに、この光……!」
ルル
「理央……これ、ただの神聖魔法じゃないよ!!」
ゴールの黒い筋がビキビキと亀裂を走らせ──
パァァァァンッ!!!
外側へ“弾け飛ぶ”ように消滅した。
光が収まると、
そこにはぐったりと倒れたゴールがいた。
ミュナが駆け寄る。
「ゴールさん!!」
ゴールはゆっくりと目を開ける。
「……あれ……ミュナちゃん……?
わし、どうしたんじゃ……?」
浄化成功。
◆ ■ 理央の結論
成長の理の暴走 = 女神の設計(呪いの大本)
理央は深く息を吐いた。
「やっぱり……
獣人に埋められた“成長の理”が暴走してる。
呪いなんかじゃない。
女神が作った強制成長プログラムの副作用だ」
ルル
「そんな……じゃあ獣人が暴走するのって……」
理央
「全部、“理の修正”のせい。
これは国単位で危ない」
ミュナの顔が蒼白になる。
「王様も……このままだと……!」
理央
(そうだ……
王の鎖は、他の獣人と比べ物にならないほど太い。
あれが暴走したら……
国ごと潰れる)
拳を握る。
「……俺たちが止める。
絶対に。」
ルルが微笑む。
「うん。
ミュナの国を救おう」
ミュナは涙を拭きながら、二人に深く頭を下げた。
「理央さん……ルルさん……
本当に……ありがとう……!」
理央
(浄化の手段は見つけた……
あとは、女神の理そのものにどうやって干渉するか……)
第二章の核心へ向けて、
静かに物語は加速し始めた。




