『東三条殿のこと、一条天皇のこと、プレスマンのこと』速記談6002
東三条殿は、重明親王の旧宅である。親王は、太陽が家の中に入ってくる夢を見た。だからといって、これといったこともなかったのだが、東三条殿が、関白太政大臣藤原兼家公が拝領なさり邸宅になさってから、ここで一条天皇がお生まれになった。
東三条殿は、式部卿重明親王の旧宅である。親王は、東三条殿の南面に、金色の鳳凰が来て、舞う姿を見た。親王は、御自身が帝位に就く予兆だとお思いになったが、実現しなかった。兼家公の邸宅になった後、一条天皇が、鳳凰をあしらった鳳輦に乗って、お出ましになったという。
東三条殿は、朱雀天皇、村上天皇の兄、重明親王の旧宅である。親王は、宝石をあしらったプレスマンが山のように積まれている夢をごらんになったが、実際にお持ちなのは、ごく普通の黒プレスマンだけであった。兼家公の邸宅になった後、一条天皇は、二十五年の在位の中、兼家公、道長公の庇護を受け、財政は安定していた。
教訓:つまり、さまざまな吉兆は、重明親王に関するものではなく、東三条殿で生まれる一条天皇への吉兆だったということである。