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⑤初めての遠征クエスト

今回は初めての遠征クエストに参加した物語です。

遠征クエストの中では難易度が低いのですが

クエストにかかる期間は3日間です。

この中で俺は大事なことを思い出すのでした。

この物語を楽しんでいただければ幸いです!

俺は初めてのBランクのクエストである遠征クエストを受注した。

このクエストは複数人の冒険者と共に

数日かけてクリアするタイプのクエストだ。

街から拠点へ移動し、拠点から現地に移動して魔物を倒す

そして拠点に戻ってきて夜は休む

翌日また拠点から出発し、現地へ向かいまた魔物を倒す

それを繰り返して討伐対象を倒し、拠点から街へ戻る

といった流れである。

大まかな説明を冒険者ギルドの受付から聞いた後に

俺は遠征クエストを受注した。

今回の遠征クエストは3日ほどかかるらしい。

フェイに家のことを頼んだので家のことは大丈夫だろう

というのもこの世界は奴隷は地位こそ低いのだが

他人の奴隷に手を出すと打首になるというルールがあるからだ

ある意味この世界での奴隷は仕えている間は安全なのだ。

もちろん主人が奴隷を大事にしてくれるかは別の話ではあるが・・・


遠征クエストの参加者はおおよそ20人近くいるようだ。

俺は街から拠点へ移動中に隣にいた"オークの戦士さん"と話す事になった。

彼はガタイの良いオークで大きな剣と大きな盾を持っていた。

前衛の戦士タイプといったところだろうか

良い兄貴分といった感じの方だったので

この際に遠征クエストに関して詳しく話を聞いてみると

オークの戦士さんは快く遠征クエストについて教えてくれた。


遠征クエストはクエスト自体はクリアできることが多いのだが

負傷者が出ることはかなり多いようで、そのせいか

自分の身は自分で守るというのが遠征クエストでの常識らしい。

他人の心配をしていると自分の身が危ないとのことだ。

そして拠点では自分のことは自分でやるのがこの世界の常識だそうだ

これも他人の心配をしていると自分の身が危ないから

というところに繋がっているようだ。

共に遠征クエストをこなす仲間ではあるのだが、

クエストを確実にクリアするために多くの人数で挑むというだけで

全員で協力してクリアするというわけでは無いらしい

あくまで個人個人が頑張って、結果的にクリアを目指すというスタイルだ。

だからこそオークの戦士さんは言っていた

「お前さんが危機に陥ったとしても、俺は助けることはできないだろうな

 助けてやりたい気持ちが無いわけではないんだ。

 だが俺も街で家族が待っている以上、死ぬわけにはいかないんだ。

 だから遠征クエスト中に手を貸して自分が命を落とすなんて事はできないんだ

 アドバイスくらいならできるかもしれないけどな・・・

 だから遠征クエスト中は基本的には自分でなんとかするしかないと思ってくれ」

「その気持だけでも嬉しいですよ。ありがとう」

俺の遠征クエストのイメージとは結構かけ離れていたので少し衝撃を受けた。


複雑な気持ちになったのだが・・・

その際にオークの戦士さんから思わぬ一言をかけられる

「そういえば、お前さん同伴者はどこにいるんだ?」

「同伴者・・・?」

「あぁ、遠征クエストには同伴者を1名連れてこれるだろう?」

「・・・え?そうなのか?」

「お前さんギルドの受付から説明を受けてないのか?」

「いや・・・説明は受けたけど、同伴者の説明なんかされなかったぞ?」

「・・・そ、そうか・・・大変だなお前さんも・・・」

オークの戦士さんから遠征クエストの同伴者に関して説明してもらった。

遠征クエストには同伴者を1名任意で連れていける事になっているらしい

参加者が多く見えたのは、実際はどの冒険者も同伴者を連れてきていたからで

実際のクエストを受注した冒険者は10人ほどだったようだ。


同伴者は基本的には戦力になる者を選ぶのが基本だそうだ。

これは自分自身の命を守るためであり、

冒険者達は遠征クエストで傭兵を連れているものだった。

今回の遠征クエストではただ一人を除いて・・・

「説明されていないとはいえお前さんは一人で頑張らねばいけないからな・・・

 俺は手を貸すことができないと思うが・・・頑張れよ」

「ありがとうオークの戦士さん・・・

 無事に街へ帰ったらあの受付はぶん殴ってやろうと思うよw」

「そうしてやれw」

拠点についてからは個人の戦いになるのだが

拠点にたどり着くまでは案外会話は弾むもののようだった。


拠点にたどり着くと俺は拠点の端っこに荷物をまとめた。

その後すぐに冒険者たち拠点を後にして

討伐対象のいるエリアを目指して戦闘をしに向かった。

かなり数の多いゴブリンを倒しながら道を進んでいくが

本日の目標地点に達したので拠点へ戻る事になる。

夜は各自で食事を作って、各自好きな時間に就寝となる

俺も不慣れな食材を炎魔法で焼いたりしながら食事をとる

「まっず!」

俺の頭の中には、肉は焼けばとりあえず食えるというのが常識である

だがこの肉は焼いてもまずい、生肉のまま食べるよりは遥かにマシだが

焼いてもまずいのだ

木の実やスパイスをかけてみてもとにかくまずい

「フェイの飯が食いたい・・・」

遠征クエスト初日の夜にしてフェイの料理が恋しくなる

そして俺は決心した。

次の遠征クエストを受注する際は必ずフェイを連れて来ると


2日目も戦闘をして拠点に戻る。

勇者として転移させられているのもあって

戦闘は本当に苦ではない。正直楽なのだ。

前衛として活躍するのではなく、ひっそりと後ろから魔法で援護に徹する

いざとなれば落ちてる石をぶん投げれば事足りるのも大きい


3日目

飯がまずすぎて話にならない

初日に食べた焼いた肉が一番美味かった

それ以外はもはや料理とは言えないレベルの味が続く

何をどう料理してもまずいのだ。

舌が腐りそうになる。

この日は朝食だけ軽く済ませた。

討伐対象も無事に討伐し終えたので拠点から街へ戻る際に

オークの戦士さんからは無事だった事を大いに喜ばれた。

しかし飯がまずすぎて・・・という話になると

オークの戦士さんもオークの戦士さんの傭兵さんも大笑いしていた。

オークの戦士さんと街の広場で世話になったと礼をし

お互いに遠征クエストで無事だった事を称え合った。

家は反対側だったので、その場で解散となった。


家に帰宅するとフェイが抱きついて出迎えてくれた。

遠征クエスト自体は成功しても

負傷者・死者が出る事はあるというのをフェイも知っていたからだ

そしてフェイには俺が勇者として異世界に転移させられた事を話していない

フェイは、もしかしたら負傷して帰って来るかもしれない・・・と

心配になりながら待っていたのだ。

「ただいまフェイ・・・」

「おかえりなさいご主人様!」

フェイが抱きついてくるとフェイの胸が俺に押し当てられる

やっと家に帰ってきた実感が湧き始める・・・

「フェイごめん・・・」

「あ、す、すみません・・・」

「もっと胸押し当ててくれる?」

「え!?」

帰宅早々に最低である。

だがフェイは胸が大きかったのが理由で売れ残っていたので

胸が大きい事は奴隷にとってデメリットだと思っているのだが・・・

役に立てるならとぎゅっと抱きついて胸を押しあえてくれた。


すぐにでもフェイのご飯が食べたくて仕方ないので

フェイにご飯を頼むと喜んで作ってくれた。

生き返るレベルで美味い

「フェイの料理は本当に美味しいなぁ・・・」

フェイが照れくさそうに笑う

フェイも一緒になって食事をとるのだが

その際に遠征クエストの話になった。


「え!?ご主人様は遠征クエストの同伴者を連れて行かなかったんですか!?」

「連れて行かなかったというより、知らなかったんだ・・・

 冒険者ギルドで説明受けてなかったからね・・・」

「私は知ってましたが、戦力にはなれませんので留守番を申し出たんです。

 ご主人様は傭兵を連れて行くと思ってましたので・・・」

なるほど、フェイが留守番を申し出たのはそういう理由だったのか・・・

遠征中に自分で作る飯があまりにもまずい話でも盛り上がった

フェイ曰く、どうやらその肉は焼く前にとある工程を挟まないとまずいままらしい

流石に料理が得意なフェイなので、的確にアドバイスしてくれた。

その後も遠征クエストでの出来事を話しながら家で過ごした。

頼れる兄貴分だったオークの戦士さんといろいろ話したこと

遠征クエスト中の戦闘に関してなどなど

そして俺はフェイに"次の遠征クエストにフェイを連れていきたい"と伝えた。

フェイは戦力にならないので私を連れて行っても何の役にも立てないから・・・と断るも

フェイの料理の腕を遠征クエスト中でも俺に役立てることで

長期的な遠征クエストでもパフォーマンスを落とす事がなくなること。

拠点でフェイが待ってる以上、心配をかけないためにも負傷できない

だからこそ戦闘のモチベーションが高く保てることなどを伝えると

フェイはお役に立てるなら!と次の遠征クエストに同伴者として同行することを承諾してくれた。

読んでくれてありがとうございます。


以下ちょっと補足です。

・遠征クエストの移動

馬車でも良かったけど大人数なので歩きの設定です。

荷物も大量には持ち込めないので

食事も基本的には現地調達になる。

・遠征クエストの同伴者

遠征クエスト自体が危険なクエストなので

自身を守るために戦力になる者を選ぶのが基本であり

要は命を落とさないために傭兵を選択するのが常識という世界

なので、拠点や遠征クエスト全体を考慮して同伴者を選択するのではなく

戦場で死なないために同伴者は戦力のある者を選ぶ

という考えが根付いている世界となってます。

・ギルドの受付

後で無事に上司にぶん殴られてます


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