報告
どうやら偵察が無事に終わった報告がきたようだ。部下全員に繋がるチャネルを作り、情報共有をしてもいいが、せっかくだから無駄に広い玉座のを有効活用しよう。そこで主君の威厳も見せたいしな。そう思うと、ノアに全員が集まった後、玉座に来て情報を共有するように命じた。
「我が僕達よ、玉座の間にこの天空城に住まうすべてのものを集めよ。」
そう使徒達に繋がるチャネルで一方的に喋って切った。そして俺は奴らが玉座の間に集まる前にイソイソと、玉座の間に向かい、椅子にどっかりと腰かけておいた。翼の置き方に苦労したが、何とか折りたためた。やっぱり主君たるもの部下より先に集合する事で、手本を見せないとな。しかも、部下が全員集まった後に入るのは遅刻をしたみたいで気が引ける。
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あれから時間が少し経ったが、玉座の間に繋がる重苦しい扉が開く様子は全くない。どうしたんだろうか。部下が一人も来ない。こっちから探しに行こうか。でも、それでばったり出くわしたら気まずい。
「うーん、どうしようか」
少し考え、様子を伺いに行くかと、立ち上がろうとすると、扉がゆっくりと開いた。使徒が己の持つ軍隊を引き連れて次々と厳粛に、一ミリの列の乱れもなく入場してきた。列の先頭はもちろん使徒筆頭の変わりである筆頭代理が、その後にはノエルが持つ軍団、各使徒の旗印を描いた旗を持った旗手を先頭にして行進して入ってきた。その後は同じように第一、第二、最後は第六と続いてきた。やはり幹部クラス、使い捨て要因と思われない奴らは翼の数もそれなりに多く、身に着けている装備も輝いている。全軍が入場し終えると、あれほど広いと思っていた広間も全員が入ると少し狭く感じた。
「われら使徒、ノア様の命令を受けはせ参じました。どうぞわれらにご命令を」
そうノエルの代理と思われる役の天使が叫び、一糸乱れず全員が、片膝をつき、いわゆる忠義の姿勢をとった。俺は咳払いをして(緊張してるとか言わないで下さい....)、立ち上がり
「ご苦労、貴様らの忠誠確かに受け取った。今日、皆に集まってもらったのは他でもないこの天空城の方針に関して決定するためである。何故ならば、われらは今、未曾有の状況にある。今まで見たことのない世界に我らは転移してしまったのだ。この世界の状況の手がかりが何もないなか、我々は生き延びねばならん。ノエルはいずこに」
「ハハッ、ここにございます。」
そういうと入口からゆっくりと、歩いて列の先頭に立ち、忠義の姿勢をとった。
「貴様が見聞きした事、すべてを個奴らに伝えよ」
そういうと、気だるそうに椅子に乱暴に座った。ノエルはそれに呼応するように立ち上がり、配下の方に向き直った。
「私が偵察した事を報告いたします。我々の周りは見渡す限り海であり、辺りには霧が立ち込めていました。霧は恐らく一時的なものではなく、永続的なものと思われます。また、魔法で使用し、探索しましたが、確認した限り、大陸や人影は見られませんでした。以上でございます。」
「ではお前が考えるこれからの方針を述べよ」
そういうとノエルは
「私が愚行いたしますに、ひとまず海を探索し、この世界の生態系を把握すべきであると思います。そこからこの世界の生物の強さを図る事にもつながります故。しかし、一方で同時に遠征隊を結成し、大陸を探し、そこの住民どもから情報を収集する事も進めると良いかと。」
いいじゃん、さすが、使徒筆頭ともなると纏まった意見をすぐ返してくれる。脳筋じゃなくてよかった。
「さすがは使徒筆頭であるな、ではその方針で進めよう、何か異論のある者は?」
しかし、聞いてから気づいたが、これに手をあげるのは勇気がいるよなと感じてしまった。俺も会社の会議でこう言われた時に手上げたことなかったもんなぁ。まあ過ぎてしまった事は仕方がない。
「では周辺の探索には第一、二、三使徒を、遠征隊は偵察に優れたものを選び、四、五、六使徒で計画せよ。ノエルは天空城内の整備を任す、我にいちいち許可をとる必要はない。いつ敵が来ても対応できるようにせよ。」
少しだけ修正しました